表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
227/346

6ヶ月目 3

 睡眠から目覚めた。

 目を開いた視界の先に人間サイズ化し、こちらを見つめるフィアが居た。

 

「氷河~?」

「…………やっぱフィサリスが混じっちゃてるか……」

「混じっちゃってるかーじゃないでしょ? 何してるのー?」


 我が愛しのパートナー様のジト目が痛い。可愛いけども。


「…………何してるんだと思う?」

「浮気」

「…………だよなぁ」

「氷河? 前にも言ったけど望まれた事に対して、応えればいいってもんじゃないんだよ?」

「……そんなホイホイ応じてるつもりは無いんだが……」

「違うよ氷河。氷河は相手の考えが分かっちゃうから、相手のして欲しい事が分かっちゃうの。例えば、水奈が傍に居て欲しいと思った時は傍に居ようとするでしょ? 構って欲しい時は構って上げるし、1人になりたい時は1人にしてあげるでしょ? 相手にとってベストな行動が見えてしまう氷河は自然とそれを行いがちなんだよ、だから人に好かれやすいの。そして好意を向けられると相手の良い部分を見つけやすくなって、相手を好きになりやすいの」

「……フィサリスに対しては、相当望まれてない様に動いたつもりだったんだが」

「ローブ」

「……風邪ひかれるわけには行かないだろ……」

「そういうとこ」

「……どうしろと」


 フィア先生の難問。でもして欲しい事が分かってる上で、して欲しくない事をして行くのって性格悪くない? 星原みたいになっちゃうよ?

 ……悪役貫き通すなら、そこまでする必要があったのかなぁ……

 

「ん……ん~……おはよう、ごしゅじんさま……」

「……起きたか」

「……んふ、んふふふふ、えへ~」


 だらしなく頬を緩ませやがって……幸せそうだな、おい。

 

「ご主人様は私と穂乃香ちゃんどっちの方が好き~?」

「穂乃香」

「即答っ!?」


 そりゃ、お前、穂乃香は揺るがぬよ。

 

「ぶー……まあ、いいけどね」


 ぶーって……あざといぞ22歳。

 

 

 

 風呂と食事を済ませて後は城を攻めるだけとなった。

 なったのだが…………

 

「……? どうしたのご主人様?」

「……………………フィサリス。お前が言った、俺の隣に立つ条件って……覚えてるか?」

「――――――――」


 『――ご主人様の隣に立つ条件、それはご主人様に愛されない事――』

 フィサリスが固まった。まあ……そうだよな……

 

「――で、も……私は人を殺せる! 戦闘力だって足手纏いでは無いでしょ!? 確かに魔法阻害の装置を使われたら戦えないけど、でも今度は絶対に指示を守るからっ! 私はご主人様の力になりたい! 私は――」

「――――お前が俺の左目となると、そう覚悟を決めてから一つの確定未来が見えた…………死にかけてボロボロの俺を……レベルアップさせて回復させようと、自ら俺の持つ剣に心臓を突き刺し……俺の経験値となって死ぬお前の未来だ」

「――――――――待って……」

「お前と出会ってすぐの俺なら、あるいはそんな選択肢も選べたかもしれない…………でも、もう無理だ――――俺はお前を愛しちまった」

「待ってよご主人様っ!! だって……! 私と一緒に戦ってもご主人様は死にかけてるんでしょっ!? なのに私無しで戦ったりなんかしたら……!」

「かもな。…………だとしても、お前を犠牲にしてまで俺は生きようと思わない」

「駄目っ! 嫌だ! それじゃあこれまで戦ってきた意味が……! 私は……! 私がご主人様に愛されなければ連れて行ってもらえたの!? だったら私は……! 私は愛されなくて――――」


 ……………………

 

「――っ! ………………う……ぅぅぅうううぁぁあああああん!!!! いやだぁ! なんでっ!? でも、無理だよっ! っようやく……愛して貰えたのに……っ! でもそれだとご主人様が……っ……なら私はっ…………っ……私が……っ……」


 ……やっぱり泣かせちまったか……


「『我が奴隷に主から命ずる――」

「っ! まって……! いや――」

「――生きて、リノの下へ帰れ』……フィサリス」

「あぁ……ぁいやぁ……っ……『て、れ』嫌っ……っ『てれ……ぽー、と』」

「………………」


 フィサリスの身体が、俺の命により人間族領に向けて転移移動を始めた。

 これで――――フィサリスの死ぬ未来は見えなくなった。

 

『……氷河、死ぬ気なの……?』

「……確定はしてねぇ。……俺が確定して生き残る未来は、フィサリスが確定して死ぬ未来だっただけだ…………だけど、フィサリスが確定して生きる未来になったからって、俺の死が確定する訳じゃ無い」

『…………確率は……?』

「……9割…………けど俺には未来視がある。最善に動けば1割を引き当てるのも難しくは無い。0じゃない限り問題はねぇよ…………あーでも、フィアに抜けられると俺が死ぬの確定しちゃうから……一緒に来てくれねぇ?」

『……っ! 当たり前でしょ! ずっと一緒に居るって約束したんだから、最後まで一緒に決まってるじゃない! 死なせてなんてあげないんだからっ!』

「…………ありがとな、フィア」


 死ぬ気なんてサラサラねぇ……ハッピーエンドをもぎ取りに行こうじゃねぇか。

 

「行くぜ、フィア。――最終決戦だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ