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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
224/346

5.5ヶ月目 

「……アンタが巷で噂になっている人間か? 魔王の奴隷達は俺も気にくわねぇが……同族が殺されるのを、黙って見過ごすわけにもいかねぇよなぁ……」

「……俺は奴隷達以外に用は無いんだが?」

「アンタに無くても俺にはあるって話さ。一般人には手を出してねぇみたいだが、だからって恐怖を与えねぇ訳じゃねぇ。国民が不安を感じている時期に国外に出られると困るって、国王直々に頼まれてこっちとら他国に行けない状態になってんだ。冒険者が冒険できないってどんな皮肉だよ、おい」

「……お前が国民の不安を取り除くってか?」

「ああ、アンタの相手は奴隷共じゃない――この俺だ」


 フィサリスには目標の数と位置、見た目の特徴を事細かに説明している。

 その上で魔人型ゴーレムを同行させて目標を教えるから大丈夫だろう。

 俺は……こいつの相手をしてやるか。放って置くのは難しい戦力だ。

 

「…………最近悪役しかしてねぇな、俺……」

「あん?」

「何でもねぇよ」

「準備はいいか……? 行くぜ!」






「ご主人様~! こっちは終わったよ~!」

「ああ、見えてるよー」


 ここら周辺に居る奴隷を始末し終えたフィサリスが戻って来た。

 隣にゴーレムがずっと居たんだから、俺が知ってるって分かるだろうに、律儀に報告して来やがる。

 それ喋らないだけで、俺の分身みたいなもんなのよ?

 

「おい……! テメェ……なんのつもりだ……っ!」

「……あ?」


 俺にボロボロにされたあげく、錬金術によって金属壁にガチガチに固定された冒険者が、文句を言っている。

 

「俺を……捕えて……どうするつもりだ……っ! なぜ殺さねぇ……!」

「最初から言ってんだろ。奴隷以外に用は無い」

「……っ! 戦士と戦士の戦いだっ! アンタは俺を侮辱しようってのか!」


 戦士か……暗殺、謀略ばかりして来て、今更戦士だなんて名乗れるほど綺麗なもんじゃないな。

 名前を付けるなら……殺人鬼だろう。

 

「お前みたいな奴が、魔族の未来には必要だ」

「――――――」

「――が、死にたければ勝手に死ね。自殺でもなんでもすると良い」

「…………はっ。魔族殺しの人間に……魔族の未来を心配されるなんてな……」


 此処にはもう用は無い……次に行くか。

 

「おい……! ここで俺を殺さなかった事……いつか後悔するかもしれないぜ……!」

「お前にその気があったら、な。……楽しみにしておいてやるよ」

「……ちっ……! くえねぇ野郎だ………………っておい! この金属外して行けよ! おい! うぉおいっ!」


 この国の英雄なんだろ。気付いた人が助けてくれるって、きっと。


「テメェー! 絶対許さねぇからなぁー!」


 遠くから山彦が聞こえた様な気がした。

 全力で無視した。

 

 

 

 

 

 睡眠から目覚めた。

 目を開いた視界の先に宙に浮き、こちらを見つめるフィアが居た。

 

「…………」

『…………』

「…………」

『…………』

 

 しばらく見つめ合っていると、フィアが口を開いた。

 

『氷河……氷河が救われなくていいと思ったとしても、私は氷河を救ってみせるからね』

「フィア…………」

『私はその為に……氷河のパートナーになったんだから』

「…………ごめんなフィア。お前は俺の為に尽力してくれるのに、俺はお前の理想から遠ざかってばかりだ」

『……ホントだよ、無茶ばっかりして…………でも、最後は幸せを掴むんだよね?』


 幸せ、か……

 

『私は、氷河が本当の幸せを掴むまで、氷河のパートナーで居続けるからね!』

「…………なぁ、フィア。俺が幸せになった後はフィアは一緒に居てくれないのか? パートナーじゃ無くなるのか?」


 だとしたら俺は、幸せになり続けない方法を探さねばならない。

 

『そ、それは……う~~~もうっ! 氷河は放って置くと何しでかすか分からないから、私がずっと一緒に居てあげるわよ! 全く世話が焼けるんだからっ!』


 そっぽを向くフィアの顔は仄かに赤い。

 あぁ……やっぱり俺のパートナー様は世界一最高だ。

 フィアの小さな体を両手で優しく包み込み、胸元へ引き寄せる。

 

「ありがとな……フィア」

『…………うん』

「――――ご主人様とフィアちゃんがラブラブしてる…………精霊状態でもフィアちゃんはラブラブしてるのに、なんで私の時はラブラブした雰囲気にならないのかなぁ……」

『ラ、ラブラブ!?』


 フィアが真っ赤になって俺の手から離れてしまった。

 ツンデレのフィアが珍しくデレてくれたと言うのに……

 

「なんだフィサリス、不満か? 飯時の肉は増やしてやっただろう」

「私、別に大食いキャラじゃないよ!? ご主人様は私に対してコミカルに接し過ぎなんだよ~、ほら私、宮廷魔術師の元筆頭だよ?」

「ギャグ要因だろ」

「酷いっ!」


 シリアスブレイクしまくっていながら、何を今更。

 

「ほら、交代の時間だ。さっさと寝ろ」

「わっ……はーい!」

(氷河の投げ渡したローブを毛布に使ってる……私からすれば、二人は毎日イチャイチャしてると思うんだけど……)


 別にイチャイチャはしてねぇよ。ローブはもう諦めただけだ。

イオニアのステータスに不備発覚。

ちょっと色々改変してしまいます。お話には影響を出さない様に調整するつもりです。ごめんなさい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の命を軽く見てる奴が幸せになんかなれるかよ
2020/02/22 19:29 退会済み
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