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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
223/346

5ヶ月目 3

 ステータス構成、装備を見ても完全に固定大砲だ。

 防御力は高くないので数発当たれば勝てるが――!

 

「フィサリス! 風が来る! 合わせろ!」

「『サイクロン』」「「『グレイシャー』」」


 属性相性で言えば風には氷が有効なんだが……

 俺とフィサリスで合わせても相殺がやっとか……一撃くらっただけでこっちが死ぬな。

 

「どうするのご主人様!」

「数で攻める! 転移で距離を取りつつ多角的に攻撃だ!」

「「『テレポート』」」


 転移して距離を取り、サンドカッターを打ち込んでいく。

 俺は適正の問題で土魔法に関してはサンドストリームすら使えない。

 雷魔法を使われるとフィサリスだけしか応戦できなくなってしまう。

 見抜かれる前に倒しておきたいところだ。

 

「『ファイヤーカッター』『サンダーカッター』『ダークカッター』」

「『ウインドカッター』『アイスカッター』『ファイヤーカッター』」

「……小技で攻めて来るか……しかし多彩なものだな『グランドフォール』」


 カッター系による多角的かつ、ボール系に比べて速く鋭い攻撃で攻めたが、全て岩の壁に阻まれてしまった。

 堅いな……だがこれで空間魔法を使う以外に移動方法が無くなった。

 

「『テレポート』」「『テレポート』」


 そして俺には、転移する事も転移先も読めている……!

 

「『ホーリークラッシャー』」



 イオニア

 Lv 101

 HP 226/510

 MP 807/1020


 

 削った! もう一発当てれば勝て――!

 

「『フレイムトルネード』」「『メイルストローム』」


 反動無しに攻撃してきやがった……あぶねぇ……

 

「……なぜ転移先が分かった……? 転移する事も読んでいたのか?」

「さて、どうだかね」


 転移する固定大砲……普通なら厄介この上ないが、俺相手に限り、転移は命取りだ。

 未来視が手に入った今、転移をしようとするタイミングまで合わせられるからな。

 これでお前は文字通り『固定』大砲だ。

 宙を蹴って距離を取る。こいつの転移を止めるには、こいつが転移を行う際に俺が魔法を唱えていない事が必要条件だ。

 よって俺も今後不用意に転移は出来ず、魔法も使いにくい。

 剣術で攻めるのも一つではあるが、相打ち覚悟で魔法を使われると俺が負ける。

 ならこいつに任せるしかない。

 

「フィサリス!」

「はいはーい『ホーリーボール』」


 フィサリスのホーリーボールが俺を避けてイオニアに迫る。

 魔法で防御しても良いが、こいつが防御する時が俺の攻撃出来る時だ。

 そのためあえて俺に接近を仕掛けてきた。

 まあ、俺との距離が近くなったからと言って、フレンドリーファイヤをするほどフィサリスの魔法制御は甘くない。

 それに……

 

「悪いが――2人じゃ無いんだわ」


 MPはくれてやる! 頼むぜ。

 

「フィア!」

『任せなさい!「プロミネンス」』

「何っ!?」


 イオニアは防御をしようと魔法を使う。

 お前の防御の時が、俺の攻撃の時だ。


「『アクアストリーム』」「『サンダートルネード』」



 イオニア

 Lv 101

 HP 37/510

 MP 678/1020

 

 

 フィアの魔法は相殺できても、俺のサンダートルネードまでは相殺しきれなかった。

 後一発で終わる……だってぇのに

 

 

 月島 氷河

 Lv 63

 HP 320/320

 MP 27/640

 

 

 俺のMPが残ってねぇ……まあ、大技連発してるしな。

 それに比べて相手はまだMPは半分残ってる。逆転もあり得る。

 だから――その選択肢はここで消す。

 

「……この装置、見た事あるよな?」

「――! それは!」


 フィサリスは遠くに離してある。範囲内であっても、こいつの接近して攻撃できる範囲では無い。そもそも俺がそんな事はさせてやらない。

 俺は魔族が持っていた、魔法阻害装置を起動させた。

 これで……この場における魔法の使用は不可だ。

 さぁ――決着と行こう。

 

「……ここまでか」

「なんだ、随分と潔良いな」

「私に武術の心得は無いからな……剣術使いに敵う義理もない……なぜそれを始めから使わなかった?」

「馬鹿言え。所持者の体力を原動力に起動するような欠陥品、魔法型の人間が長時間扱えるわけないだろ」

「……そうか……そうだな」


 魔法阻害装置のデメリット……使用者のHPを吸って阻害空間を作り上げる事だ。

 それ故に体力の多い武闘派しか所持していない。

 それでも魔法使いにとっては脅威だけどな。

 と言うか今も俺の体力が減ってるんだから、言い残す事があるなら早くして。

 

「俺を殺せばまた一つ、魔人へと近づくだろう……それでもなお、進む事は止めないか?」

「ああ、止めるつもりは無い。もし俺が魔人になったとしたら、それが俺の選んだ道だ」

「そうか…………無駄に生きてしまったな。第2の俺を作るまいと思っていたが、会ってみれば救いようの無い阿呆と来たものだ」

「悪いな……だが、あんたの心意気は受け取っとくよ」

「…………ふん」


 魔人が1人、この世から去った。

 

「ご主人様~! 私レベルが上がったよ~!」

「ああ、見えてるよー」


 フィサリスはレベル78に、俺は67に上がった。

 流石レベル100を超えた人間といった所だな。

 

「HP、MP共に俺はボロボロだ。一度ポーション休憩をとってから次に向かうぞ」

「おー……ご主人様タフだね。了解~」


 このまま人殺しを続けて行けば、ゆっくりと……けれど確実に魔人へと近づいていくのだろう。


「……なんで俺の真横に座るんだよ」

「え~いいじゃん、一緒に飲もうよ~。私もMP使ったしさ~」


 その殺伐とした日々の中で俺が心を見失わず、殺すだけの人形にならずに済んでいるのは、

 

「んふふ~」

「……何だよ」

「ご主人様美味しい? 私の手作りポーション」

「苦い」

「いや、そうだけど……そこは美味しいって言ってくれてもいいんじゃない?」


 この馬鹿が俺の隣で、ずっと馬鹿やってるからなのかもしれない。

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