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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
2/346

日坂、退場

目が覚めると――見知らぬ建物に居た!

いや、ここ何処だよ。

つうか滅茶苦茶頭痛いんだけど。なにこれっ!? はぁ!?


「氷君!?」

「お兄ちゃん!? 大丈夫!?」

「…………あぁ……大丈夫だ」


 全然大丈夫じゃねぇよ……マジか……

 

「異界の勇者達よ、ようこそおいで下さいました」


 高そうなドレス着た美人が俺たちにそう言って頭を下げた。

 異界。そう、俺らはどうやら異世界に飛ばされたらしい。

 頭に大量の情報が流れ込んできやがる。

 魔族との戦争? 魔王復活? ステータスまであんのか? ゲームかよ!

 つうか何? 俺にもステータスあるって事?

 

 

 月島 氷河

 Lv 1

 HP 10/10

 MP 20/20

 

 STR 4

 DEF 5

 AGL 8

 DEX 12

 MIND 15

 INT 18

 LUK 10

 

 固有スキル『鑑定(極)』

 

 

 あったよ。

 って紙装甲じゃねぇか! なんで攻撃も防御もねぇんだよ!

 くそっ……文化部で体を鍛えなかった結果がこんな所に……

 でもさっきから馬鹿みたいに情報が流れてくるのはコレか。

 『鑑定(極)』

 (笑)とかじゃなくて良かったけどよ、コレあれだな。

 所謂いわゆるチートだ。

 この世界での鑑定スキルってのは、自身しか見る事のできないステータスを勝手に見る事が出来るって奴らしい。

 何故俺がこの世界の常識を知ってるかって?

 目の前にいる美人から情報を得たからだ。

 

「私はローズと申します。我が国『ブルーゼム』の王妃を務めております」


 そうこの美人、王妃なのだ。

 召喚主は王女では無く王妃、人妻である。

 男子の一部が残念そうにしている。お前ら何気に余裕あるじゃないか。

 じゃなくてだ。俺に見えているのは王妃のステータス――だけじゃない。

 王妃の歩んできた過去、王妃の好きな物、王妃の今考えている事など丸分かりである。

 俺の鑑定にっ! プライバシーなどと言う概念は無いっ!

 という訳で現在、絶賛この世界の情報を受け取っている訳だ。

 

「突然の事で驚いていらっしゃると思います。きちんと説明を致しますので、皆さまこちらに来ていただけませんでしょうか?」


 王妃の行く先、その先にはこの国の王がいる。

 丁度良かった。どうやら王妃に与えられている(・・・・・・・)情報は少ない(・・・・・・)みたいだからな。

 王妃の記憶の中の王は、明らかに隠し事をしている。

 だが王妃は教えられぬ事は知る必要の無い事と、完全に王を信じている。

 考えても仕方ない、一度会ってみるか。

 

 

 

 謁見の間に案内された俺たちは、立派な顎鬚を持った王らしき王の前に立たされていた。

 おい、王、ふざけんなてめぇごら。

 

「良く参られた勇者諸君。儂はこの国の王グリオスだ。君たちを呼んだのは他でもない、世界を滅ぼさんとする魔王を倒してほしいのだ――」


 それは王女の記憶で知ってんだよ!

 くそっ……バレると厄介だから、知らないフリして聞いてなきゃいけない……

 せめて……王が話してる間に情報の整理だけでも終わらせたいが……

 

「――ああ。魔王を倒せば君たちを、元の世界に帰すと約束しよう――」


 ああ、約束されていた。王妃の記憶の中ではな!

 帰すなんて嘘っぱちだ、こいつら召喚はできるが返還はできないんだ。

 ふざけんじゃねぇ! 俺はな! 一日一個一プリンって決めてんだよ! プリン無き世界になど居てたまるか!

 くっそ~プリンでなくてもいいから糖分が欲しい。じゃないと頭回らないんだよ。

 え? プリンがあればいいのかって?

 いいよ? 俺別に未練とかないし。

 水奈がいる、穂乃香がいる、ついでに日坂までいやがる。

 ほら十分じゃない?

 

「――勇者の諸君には魔王に対抗するための、固有スキルが発現しているはずだ。それを今から我が国の鑑定士に見て貰う」

 

 情報を纏めるのに時間が掛かったせいで見れてなかったが、他の奴はどんなスキルなんだ?

 頭痛を訴えたのは俺だけだから鑑定(極)は俺だけだと思うが……

 おいおいおいおい……日坂……お前運悪すぎだろ。

 

 

 日坂 統也

 固有スキル『奴隷強化』

 

 

 『奴隷強化』、従者のステータスを一.五倍にし、その一割分のステータスが主のステータスに上乗せされる。

 つまり受ける側も施す側も強くなれてwin-winなスキルだ。

 だが従者は主に対して逆らえず、攻撃も出来なくなるため、まさに奴隷となる。

 そう、それが問題だ。

 この国では奴隷は禁止されていて、奴隷に纏わるスキルの持ち主は牢に入れられる。

 つまり日坂は、あっちの都合で呼ばれた上に、あっちの都合で牢に入れられるわけだ。

 理不尽極まりねぇな。

 

「グリオス様……」

「…………なに!? ……そこの君ちょっといいかね」


 不味い、日坂が鑑定士に気付かれた。

 日坂はそのまま別室へと案内されていった。

 まあ、つまりは牢行きだな。

 薄情? 無茶言うな。事情を知らないはずの俺が騒いだら俺まで牢行きだ。

 日坂……お前が居なくなったら……

 年上が俺だけになって浮くじゃん。

 結果日坂以外はスキルに問題が無かったため、俺と水奈のクラス一同は城内を案内される事になった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] それは王女の記憶で知ってんだよ! 王女⇒王妃 王女ってこの時点まだ登場してないです
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