土地
日坂に預けていたリノを装備して俺は商業ギルドへと向かった。
目的は土地の買収。屋敷の近くに生徒たちの学生寮を作らねばならん。
作るのはこっちでどうにかするにしても、土地については許可を取らないと後から面倒くさい。
前回と同じ受付のおばちゃんに話を付けて貰い、問題なく屋敷周辺の土地は俺の物となった。町外れなだけあって案外安かったな。
「幽霊屋敷どうだったかい」とおばちゃんに聞かれたから「幽霊と仲良くやってるよ」と答えたら顔を引き攣らせていた。
おばちゃん、貴女が可愛がったこの女の子、生霊だったんだぜ。言わないけど。
屋敷へと戻り、学生寮を建設するスペースを決める。
残る人数が不確定だから先に必要な部屋と設備を作っていく。主に錬金術で。
大きな食堂と風呂……なんでうちの屋敷は16部屋なのに風呂が3人入るとギリギリの小ささなんだ……大きくあろうよ風呂。
あと厨房とトイレ、風呂もだがこの辺は地下水道と繋げないといけないからちょっと手間がかかる。人数多いからトイレも多めに設置しないとな。
脱衣所と洗濯物スペース、解体所、火床に調合用釜戸も作るか。働いて貰うからな。
休憩スペースと階段、倉庫の場所を確保して1階はこんなもんで良いか。2階より上の個室については人数が決まってから作る。とりあえず1階を作るか。
石柱と土壁、錬金術で作ったから馬鹿に出来ない強度。
そして窓枠……窓は買ってくるしかないな。家具買ってくる際に一緒に買うか。
浴槽、火床、釜戸は今のうちに作ってしまう。この後も予定詰まってて時間ないし。
うーん、今出来るのはここまでかな。そろそろ一時間経つし。
「一時間……全く休憩出来なかったな……」
「……? ……パパどうしたの?」
「……何でもねぇよ」
リノの頬をむにーっと引っ張る。何これ柔らかっ。
その後も指で突いているとパクッと咥えられてしまった。
おまっ……やってくれるじゃないか。
ただ、強く噛み付かなかった点に関しては褒めてやる。よくやった。
『よくやったじゃないでしょ。早く抜いて戻りなよ』
「いや、なんか小刻みにハグハグされてるんだけど俺の指。ちょいちょい当たる舌が生温かい……」
何、俺の指ポッキーなの? お前ハムスターなの? なんでそんな小刻みなの。
引き抜こうにもリノが口を開かないため、仕方なく2本目を入れて上下に開かせ、隙を見て引き抜いた。
事あるごとに俺の指を咥えるの止めなさい? まったく。
『事あるごとに氷河がリノをプニプニしてるからでしょ』
「いや、そうだけども……」
でもリノの頬ってさ、滅茶苦茶柔らかいんだよ? プ二りたくもなるでしょ。
穂乃香の御山並に興味が惹かれる物だと思います。向こうは反動が怖いから夜しか触れないけど。
一度屋敷に戻ってリノをフィサリスに預ける。
流石に肩車したまま教卓に立って語り掛けたらカオスだからな。
……さて、生徒たちの答えを聞こうじゃないか。