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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
193/346

クーデター7

 マグオートへ向けて上空から大量のアイスボールを放つ。

 マグオートは後退して全て躱したが、元々当たったところであいつの防御力を貫通出来なかっただろうから問題ない。下がらせるためのハッタリだ。

 

「月島様……いったい何故……」

「…………惚れた女に泣かれちゃ困るからな」


 呆けた顔をしていたロータスが、呆れ顔になった。

 

「……最低ですね……私のなんですが」

「ハッ、なら余計潔い選択なんてぜずに、汚く生き残って見せやがれ」

「貴方は……本当に自分勝手な人だ」


 ロータスの隣に降り立つ。

 ロータスに負ける前提で戦われると俺も困るからな。生きる気にはなった様で何よりだ。

 

「……小僧、お前さんも指名手配されている危険分子の1人だな。若い芽を摘み取るのは心苦しいが、王の命だ。ここで死んでもらうぞ」

 

 

 マグオート

 Lv 92

 HP 930/930

 MP 465/465

 

 STR 519 (+80)【+0~105】〔599〕

 DEF 282 (+30)【+0~105】〔312〕

 AGL 453 (+20)【+0~105】〔473〕

 DEX 344 (+20)       〔364〕

 MIND 108      

 INT 173 (+15)       〔188〕

 LUK 55  (+10)        〔65〕

 

 

「月島様……勝てるのですか?」

「さあな……でも勝つしかないだろ。ロータスは足止めに徹してくれ、攻撃は俺と――『サモン』」

「わっ! 急に何、ご主人さ――まぁあああ!?!?」

「――フィサリスが行う」


 俺に呼び出されたフィサリスは目を白黒させている。

 まあ死地から逃がされたのにまた戻された訳だからな。

 

「ちょっとご主人様これどういう事!? ロータスは犠牲になったんじゃないの!?」


 ……なってねぇよ……勝手に殺してやるな。

 

「…………なあ、フィサリス――お前の命、俺に預けて貰っていいか?」

「…………マジ?」


 マジマジ、大真剣。

 フィサリスは呆れたように溜め息を吐いた。

 

「いつになく無茶苦茶だね、ご主人様。…………良いよ、ご主人様に拾われた命だし、好きに使って」

「…………悪いな。お前の回避は俺が担う、だからフィサリスは攻撃に集中してくれ」

「――こうも討伐対象が集まってくれるとは……今日はツイてるのかもしれんな」

「そうとは限らないぜ騎士団長様。今日、あんたの人生初の黒星がつくかもしれねぇよ?」

「ほう……では試してみようか!」「――来るぞ、フィサリス! 距離を取れ!」

「「『テレポート』」」


 マグオートが突っ込んでくると同時に、俺とフィサリスはそれぞれ違うポイントに転移した。

 マグオートの正面にはロータスが居るが、ロータスの相手をしていると三角形に位置取りをしている俺とフィサリスに背を向けてしまう事になる。

 魔法の的に成りたくないマグオートは当然俺かフィサリスに向かってくる。

 定石でいえば一番弱い俺から倒すのが普通だが、フィサリスは接近戦においての力が皆無だ。

 当然マグオートもその事を知っている筈だし、フィサリスの魔法が一番厄介なのも理解してるだろう。となればフィサリスが狙われる。

 フィサリスはマグオートの高速戦闘に付いていけない為、狙われた場合対処できない。

 隙を見てマグオートがフィサリスに接近を試みる。

 

「『サモン』」


 だが、向かう頃には既に俺の手元へ引き寄せている


「『テレポート』」


 固まって居ると同時に狙われるため、手元に引き寄せた後すぐに俺が移動し位置取りを変える。

 フィサリスに接近しようと動いたマグオートの、がら空きとなった背中にロータスが攻撃を仕掛ける。

 マグオートはそれの防御を行った。

 

「『ダークスラッシュ』『テレポート』」


 マグオート

 Lv 92

 HP 921/930

 MP 465/465


 その防御を行った背中に斬りかかり、すぐさま回避する。

 俺の魔剣術を使った時の威力とマグオートの防御力はほぼ一緒の為、あまりダメージは入らない。だがダメージは入れられた。

 もっとも身体強化で全て防御に回されてしまうとダメージは通らなくなってしまう。

 まあ、俺の役割はあくまで遊撃だ。マグオートにとって嫌なタイミングで動いて行く。

 ヘイトが俺に向けば十分だ。俺もフィサリス同様高速戦闘にはついていけないが、『鑑定(極)』でマグオートの思考を見て次の動きを知りながら、『並列思考』で先に動く事が出来る。

 その為マグオートに不意に接近されて、転移の詠唱が間に合わなくなる事は無い。

 俺の方に来たマグオートから転移して逃げた時に、マグオートの背中に迫るのはロータス……ではなく、フィサリスの魔法だ。

 マグオートにこれを防ぐ手段は無い。

 

 マグオート

 Lv 92

 HP 793/930

 MP 465/465


 例え身体強化でマグオートが防御力を上げたとしても、フィサリスの魔法の威力は防ぎ切れない。

 そして魔法の晴れた先、マグオートへ切り込むのはロータスだ。

 ギリギリだ、ギリギリだがどうにか保っている。

 ロータスが攻撃して来る為相手をするが、そうするとフィサリスの制御コントロールされた魔法が飛んで来たり、不意打ちで俺の斬撃が来る。

 ロータスを振り切ってフィサリスを取りに行けば、思考を見て読んでいた俺がフィサリスを回避させ、ロータスが後ろから追撃をしてくる。

 フィサリスでは無く、俺を狙えばフィサリスの魔法が飛んでくる。

 三人いる事でどうにか成り立っている。

 制御コントロールしているフィサリスの集中力が切れるのが先か、転移と召喚を繰り返す俺のMPが切れるのが先か、打ち合う度に少しずつダメージが蓄積されていくロータスのHPが切れるのが先か、マグオートのHPが削り切れるのが先か。

 根競べと行こうじゃないか。





 月島 氷河

 Lv 40

 HP 205/205

 MP 37/410

 

 フィサリス

 Lv 74

 HP 375/375

 MP 284/750

 

 ロータス

 Lv 73

 HP 127/740

 MP 370/370

 

 マグオート

 Lv 92

 HP 73/930

 MP 465/465

 

 

「は、はははは! ……はぁっ……はぁ……まさかここまでやられるとはな……」


 全速で駆け回り打ち合い続けたマグオートとロータスには疲労が見られる。

 身体強化はステータスが上がる代わりに体力の消耗が激しいからな。

 

「……マグオート、俺らはあんたを殺したいわけじゃ無い。今回もリコリスの起こすクーデターを止めれればそれで良かった。あんたが此処で死ぬと本格的にこの国が終わる、それはこちらとしても望む所では無い。退いてくれると嬉しんだが」

「……はっ! ……敵の情けで生かされるのか」

「情けでは無いな。利用価値がある……というか働いて貰わないと困る。死ぬんならもう少し働いてから死ね」

「くっくっくっく…………生意気な小僧だ」


 息を整え終えたマグオートはゆらりと歩き始めた。

 

「今回は俺の負けだ、大人しく退こう。小僧の言う通り仕事が山積みだからな。次会う事があった時、王命であればまた戦う事になるやもしれん……その時に今殺さなかった事を後悔しない様に強くなれ。そして……その時はサシで勝負をしよう」

「絶対嫌だ」

「はっはっはっ! 敵同士でないなら酒でも飲もう……では、またな」


 ボロボロのくせに笑って去って行きやがった。

 タフなおっさんだ。国王にしこたま怒られて来い。

 マグオートが姿を消したと同時にロータスが膝を床に付けた。

 相当疲労が出てるな。早く撤退するか。

 

「……フィサリス、お前ラミウムを拠点に置いて来やがったな」

「置いて来たっていうか着いたら呼ばれたんだけど……転移先は拠点だよ?」

「……ラミウム戦闘中ずっと、城に向かって走ってたぞ……」

「え……」


 マグオートが居る間はどうにも出来なかったが、今は問題ないし、今すぐ呼んでやるか。

 

「『サモン』」

「きゃっ!? ――! ロータス!」


 召喚されたラミウムはロータスを視界に入れると、すぐさま駆け寄った。

 ……さてと。

 

「俺は水奈達を回収してくるから、フィサリスは少しの間二人の護衛を頼む。じゃ『テレポート』」

「あ! ちょっと! ご主人様~!」

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