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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
188/346

クーデター2

呪剣のマイナス補正をLUKのみからLUKとINTに変更しました。

 完全武装した兵士が庭園を駆け抜ける。

 目指すは王室、グリオス王の首。

 国王派の警備兵が一斉に押し寄せてきた同国の兵士相手に驚いているが、目的は王族のみの為構わず城へと進む。

 一番厄介な敵となる騎士団長を倒すため、地下で準備をしているリコリスと、説得に成功した一部の勇者達と合流する手筈になっているが、どちらの姿も見えない。

 おかしい、私たちは最後に到着する手筈のはずだ。

 人数の多い私たちの移動は、多くの視線を集めてしまう。

 国王派の兵士との戦闘は国力の低下につながる為最低限にしたい。

 その為私たちが最後に到着し、合流後すぐに奇襲をかける作戦であった。

 だと言うのに何故どちらとも居ない? ここで合流を待ってしまえば国王派が集まって来てしまう。

 …………仕方ない、私達で先に仕掛けるか。

 騎士団長相手と言えど、私とサーシス、これだけの兵が要れば時間は稼げる。

 リコリスも勇者達も城中には居るので、戦闘音が聞こえれば援軍として駆け付けるだろう。

 

「皆、行くぞ! 私に続け!」

 

 先陣を切って城へと入って行く。

 正面の扉からエントランスホールへと入った我々の先に、

 

「――そんなに急いでどこ行くの~?」


 大量の火球が降り注いだ。


「――!? サーシス!」 

「『アクアストリーム』」


 大量の火球はサーシスの水魔法によって打ち消された。

 しかし今の魔法、それに今の声は――

 

「ダリア隊長、お久しぶりです。いえ、ダリア副団長が今は正しいのでしょうか」

「ロータス副団長!? それにやはりフィサリス筆頭……なぜ貴方達が此処に……」

「ちっ! ゴミ捨て場育ちの目障りな小娘が……」

「その小娘に実力で勝てない家柄だけの負け犬が、吠えるなっての」

「あぁ!?」

「やめろサーシス!」


 元副団長のロータスと元筆頭のフィサリス……なんで城の中に居るんだ!?

 この二人はリコリスの手によって牢の中に入れられたはずだ。

 逃げ出したという噂だったが、そうだったとしても指名手配書が作られたから城の中に入る事は不可能なはずだ。

 何より犬猿の仲である筈のこの二人がどうして一緒にいる!?

 

「久しぶりですね、ダリア、サーシス」

「ラミウム王女……」


 2階の階段の上、ロータスとフィサリスの間に入るようにラミウム王女が現れた。

 攫われて行方不明となっていたラミウム王女の登場に兵士が騒めく。

 ロータスとフィサリスが一緒に居る理由は納得できた。

 だがそもそもなぜ、ラミウム王女と2人が一緒に居るのかが分からない。

 攫われた姫と攫った指名手配犯が何故共に行動している? 王女は寝返ったのか?

 

「ダリア、私は元々攫われてなどいません。貴方達の起こすこのクーデターに備え、遠くの地で力を蓄えていたのです。そもそもこの二人は貴方も知っている通り、リコリスの手によって無実の罪で捕まっていたのですよ?」


 王女のスキル心眼か!

 20日も前からクーデターを行う事がバレていた。

 ロータスとフィサリスを指名手配犯とし王女を行方不明とする事で、我々の認識から外させたのか!

 となるとリコリスや勇者達の合流が遅れてるのも…………やられたな……


「ちっ! おいダリア! どうする!」

「…………相手は3人だ、ロータス副団長もフィサリス筆頭も俺らより強いが、大きく差がある訳じゃ無い。数ではこちらが圧倒している、勝てない戦いでは無い! 王女は生け捕りとし、他は殺しても構わない! 行くぞ!」


 私はロータスに、サーシスがフィサリスへと向かって行く。

 相手はレベル70越えだが、俺たちだってレベル67まで上がっている。

 他の隊長格の騎士や魔術師と連携すればこちらが勝つ!

 

「いや~ご主人様も粋な計らいをしてくれるよね~。私を嵌めやがった奴らに――仕返しのチャンスをくれるんだから」




 ダリアが護衛騎士団の屯所から兵士を連れて城へと向かう間に、リコリスの居る城の地下室へと向かう。理性の無いキタコレを戦場に連れて行くには空間転移しかないため、必然的にキタコレいる場所も空間転移阻害エリア外となっている。

 リコリスはマグオートとの戦いになったら地下室に転移し、キタコレを連れ出すつもりでいる。

 それは阻止せねばならない。

 理性の無くなったキタコレの目撃情報が増えれば、生徒の1人に異常が起きると知っていて、報告しなかった事がバレてしまうからだ。

 呪剣なんて物の存在が知れ渡れば、勇者達にパニックを与え、イレギュラーをより起こしやすくなる。水奈の精神的にもよろしくない。

 誰にも知られる事無く闇の中で処理してしまおう。

 

「『ダークスラッシュ』」

「――!?」


 転移からの奇襲の一発はリコリスに躱された。

 最初から首は欲張りだったか?

 

「何者ですか……ここを知ってる人間はそう居ない筈なのですが」

「そうだな……初めましてだが、名前は聞いたことあると思うぜ、月島氷河だ」

「あぁ。貴方がイレギュラーですか」


 イレギュラーねぇ……

 

「訓練には参加していなかったにも拘らず魔法を使えたと聞いています。固有スキルは鑑定。本来呼ばれる事の無かった部外者で、彼は貴方を魔王の手先だと思っていると報告にありますが……実際の所、貴方は何者なのですかねぇ」

「さあな、少なくてもお前の敵って事は確実だな」

「……そうですか……残念です」


 とても残念そうには見えない愉悦な笑みを浮かべ、リコリスはキタコレを連れてきた。

 

「マグオートと戦う前の試運転と行きましょうか。簡単に倒されないで下さいね、イレギュラー」



 雲山 充

 Lv 20

 HP 157/157

 MP 157/157

 

 STR 72 (+250)〔322〕 

 DEF 24 (+250)〔274〕

 AGL 48 (+250)〔298〕

 DEX 24 (+250)〔274〕

 MIND 72 (+250)〔322〕

 INT 48 (-All)〔0〕

 LUK 19 (-All)〔0〕

 

 

「ガァァァァァァアア! ツキシマァァァァア! ツキシマヒョウガァアアアアア」

 

 知性を無くし、人型ながらまるで獣の様だが、俺を見るなり名前を呼んできた。

 呪剣のせいで聖剣術は使えないみたいだな。

 属性もあるが、まず詠唱するという知性が無いからな。

 

「……勇者という枠組に囚われて兵器となろうとしてる俺も、呪剣に呑みこまれて使い捨てにされようとしてるお前も、憐れな道化と言う意味では一緒だな、滑稽だよ。……愚か者同士、同情はしてやるから――さっさとくたばれ」

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