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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
177/346

集中力

「――、―――」


 ……まだ……

 

「――、朝―よ―」


 ……あぁ、朝か。

 

「氷君、おはよう」


 見慣れた穂乃香の良い笑顔。今のうちにしっかりと目に焼き付けておく。

 穂乃香は明日が待ち遠しくて仕方ないみたいだな。今日は我慢と自制しつつ明日の事を考えては頬を緩めている。

 折角のご褒美だ。出来る事なら俺も穂乃香にとって最高の1日にしてやりたいとは思う。

 ……不安が無いわけでも無いが。

 

「水奈、起きて」

「……んぅ……」

「水奈、朝だよー」

「……んぅ? ほにょか……?」

「水奈、おはよう」


 穂乃香が俺を起こす時と同じようにして水奈を起こした。

 昼夜2回に分けてレベリングしてた時よりは睡眠時間が増えてマシになったが、それでも早起きはどうも苦手だ。水奈はもっと苦手で俺より早く寝ているのに起きるのは遅い。

 逆に穂乃香は寝るの遅いのに起きるのが早い。睡眠時間がそれで足りているのだから不思議である。

 水奈も起こした事で今日は穂乃香の良い笑顔を2回も見れたな。得した気分。

 

 

 

 今日のレベリング場所は沼地、メンバーは穂乃香、神奈、ラミウムとフィサリス。

 動きにくさはあるけれど前衛二人は空中戦が可能だし大丈夫でしょう。

 何より昨日みたいに人に遭遇する事もないはず。

 異変が起きた際は召喚術で呼び出すのだが、神奈だけは俺の奴隷では無いため直接拾いに向かわなければならない。

 日坂に合流してから召喚術を使うように促しても良いのだが、どちらにしても時間が掛かってしまう。

 その短時間で取り返しのつかない事になるとは思わないが、一応のためフィサリスに目の前から穂乃香とラミウムが消えたら、神奈の守りに徹し警戒をするように伝えた。

 強力なモンスターより、悪意ある人間を警戒しないといけないとはな。

 穂乃香達を沼地へと連れて行き、いつもの森へと向かう。

 日坂たちと別れ、水奈と向かい合う。

 

「訓練内容は前回と同じだ、俺が攻撃するのを水奈が防ぐ。今回は武器の種類を増やしたから攻撃パターンが変わって来る、良く見て対応するように」


 そう言って俺は木製の杖を構える。扱うのは棒術、モンスターが扱う事の多い戦闘スキルだ。

 その他にもブルーゼムに行った帰りに買って来ている。木製の剣、木製の竿、木製の看板、木製の鎌、荒縄を結んだ棒など。

 剣術、槍術、斧術、鎌術、鞭術を使って攻撃していく。看板は斧に含めるらしい。

 因みに鞭に関しては木製の杖に荒縄を結び付けただけである。

 だけではあるが割と冗談にならないレベルで痛い。その上他の武器とは違い、感覚で寸止めが出来る武器でも無い。

 俺がもし万が一でも水奈を攻撃するようなことはあってはならないので、最悪当たりそうになれば重力魔法フルパワーで縄を固定化する予定ではあるが、出来れば防ぎきって欲しいと思う。

 集中力勝負だ。水奈の集中力が切れれば攻撃が当たりそうになり、俺の集中力が切れれば攻撃が当たってしまうかもしれない。傷付く可能性は水奈にしかないからこそ、何としても切らしてはならない。

 深呼吸を挟む。ふぅー…………――いざ、尋常に勝負!

 

 

 

「……やっぱり氷河の真剣になるタイミングっておかしいと思う」

「パパ、カッコいい」

「……うーん、武器が看板とか荒縄とかじゃ無ければ、もっとカッコよかったと思うな」

「リノもあれ欲しい」

「あれって……荒縄!? ……いや……それはどうだろう…………氷河に後で相談してみようね?」

「うん」




「そこっ!」

「――っ!」


 水奈の首ギリギリに木剣をピタリと止める。

 指先から腕の筋肉一つ一つに細心の注意を払って、決して水奈には当てない様にする。

 水奈はだいぶ盾の使い方が上手くなった。反応も良くなってきている。

 来ると警戒してからの攻撃には対応できるようになったが、不意打ちにはまだ弱い。

 そこをどうにかして行くのが課題になって来るが、今の所は良いだろう。

 水奈の集中力もだいぶ切れてきた為、休憩にする。俺もだいぶ疲れたしな。

 

「水奈、いったん休憩にするぞ」

 

 水奈に水の入った水筒を渡す。

 

「ん……ありがとう、お兄ちゃん」


 俺も水を飲む。

 守りに徹する場合、攻撃時に比べて動きが少ないため体力的消耗は少ない。しかし守りは攻撃時よりも集中力を使うため精神的消耗が激しい。

 単純な防御であればそうでも無いかもしれないが、水奈に今教えているのは攻撃の捌き方だ。タイミングや角度が重要になってくるため、集中力を使う。

 体力的な消耗は気力で誤魔化す事も出来るが、精神的消耗は体力が有ったところで誤魔化せる物では無い。適度休ませる必要がある。

 

「ん……んぅ……」


 頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を閉じた。

 相変わらず撫でられるのが好きなんだな。

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