残り時間
夕食後、風呂上り。
今日はリノがフィサリスと一緒に寝る日で、穂乃香を甘やかすのは休日のみの為、水奈と2人である。
今日と明日の分を明後日に纏めたから、明後日が怖いな……
水奈にも説明しておかなければならない。
「――と、いう訳で次の休日だけは一緒に寝れない事になった」
俺と並んでベットに腰を掛ける水奈に、今日の訓練時の褒美についての話をした。
「……丸1日穂乃香と一緒に居るの?」
「朝一で穂乃香が起こしに来てから、次の日の朝までだろうな」
「…………ずるい」
拗ねるように呟く水奈可愛い。と思った次の瞬間ベットに押し倒されてしまった。
え? あれ? 水奈が押し倒すのん?
「今日は穂乃香来ないんだよね?」
「ああ、朝一に起こしには来るだろうが、夜は来ない筈だ」
「……じゃあそれまでは、私がお兄ちゃんを独り占めしても良いよね……?」
独り占めって……押し倒されてマウント取られてるのに、発言に可愛さを感じる不思議。
と思ってたら水奈に唇を奪われてしまった。やだ、水奈ちゃんてばいつになく積極的。
水奈から求められるのは悪くないが、どうせならもっと甘くラブラブしたいなぁ……嫉妬によるものじゃ無くて。
水奈の背中に両腕を回して抱き締める。と同時に右手で頭を撫でてやる。
頭を撫でながら水奈が唇を放すのを待つ。
「――……水奈。今日は朝まで二人っきり、明日の訓練は俺と水奈がペアだし、リノとの解体を挟むけど、リノが居るから風呂も一緒で寝るのもまた一緒だろ? ほぼ丸1日一緒だけどそれじゃ不満か?」
「それは……そうだけど……でも休日全部とはまた別だし……」
「不満げだな。俺は水奈の笑顔が見たいんだけどなぁ~」
「むぅ……だって……お兄ちゃんが穂乃香ばっかり甘やかすから……」
「穂乃香ばっかりか? 穂乃香は勝たないと俺と一緒に寝れないが、水奈とは毎日一緒に寝てるぞ?」
「……それは…………」
反論する勢いがなくなってしまった水奈を、強く抱き締める。
「水奈が嫉妬してくれる事は凄く嬉しい……それだけ俺を想ってくれてるって事だからな。拗ねてる水奈も可愛くて大好きだが、俺としてはやっぱり笑顔の水奈が一番好きだ。そんなに難しい顔しないで、笑ってくれないか?」
「…………お兄ちゃん、ずるい…………」
拗ねるようにそう呟いたが、先ほどに比べて表情が柔らかく、最後は微笑んでくれた。
やっぱり水奈には笑顔が良く似合う。
クーデターまで残り時間。それは俺がこいつらと一緒に居れる時間でもある。
だから今は、目いっぱい一緒に過ごそうと思う。




