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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
172/346

『当たり前の様に』

 賊は1人1人が強い訳では無い。ステータスではこちらが勝っている。

 

「死ねオラァ!」

「くっ……!」


 2人……3人までは何とか対応できたが、5人同時は対応しないといけない範囲が広すぎる!

 

「『サンダースラッシュ』」


 魔剣術で前方3人を同時に弾き飛ばす。

 後方から来る4人目のナイフに蹴りを入れて弾き、左方から来る5人目のカットラスに剣をぶつけて防ぐ。

 

「隙ありぃ!」

「なっ……!」


 右後方から6人目――!? 反応できな――!

 

「――『ダークスラッシュ』」


 6人目の……首から上が斬り飛ばされた。

 

「な、なんだテメェ「『ダークブレード』」――!」


 声を上げた4人目が動かなくなった。

 フードを被ってるため氷河の表情は窺えない。だが、詠唱する声が余りにも淡々とし過ぎていて、まるで作業をするかのようで、背筋が凍るような寒気を感じた。

 あいつは本当に、俺の知っている月島氷河なのか……?

 

「じょ、冗談じゃねぇ! 俺は死にたくねぇ!」


 俺に魔剣術で吹き飛ばされたうちの1人が逃げ出した。

 そいつの後ろから、氷河の剣が迫った。

 

「そこまでです、月島様」

「……ロータス」


 氷河の剣はロータスさんの槍によって止められた。

 残った賊は全てロータスさんが殲滅する事となった。

 

 

 

「月島様、何故戦意を無くし逃げようとするものまで殺そうとしたのですか? それでは彼らと変わりないではありませんか」

「……そんなの考え方の違いだろ。奴らをここで逃がして別の所で罪の無い誰かが奴らに殺された時、その罪の無い誰かを殺したのは奴らを逃がした俺らって事にならないか?」

「――! そんなの詭弁ではありませんか!」

「ああ、だから悪を滅ぼし事前に防いだと悦に浸るのも、戦意を無くした者は追わない殺さない奴らとは違うと悦に浸るのも、結局は自己満足だ。意味なんてない」

「――っ!」

「人殺しを望む様な奴らを逃がした所で、まともに更生する奴なんか1%にも満たない。あいつらを生かせば消える命があり、あいつらを殺せば生きる命があるかもしれない。どちらにしろ誰かの命が犠牲になるんだ、ならああいう奴らの命が消えた方がまだマシなんじゃ――程度の話だ。俺にとってはその犠牲が身内に降りかからなければどうでも良い」

「――! 月島様、貴方は――――」


 氷河とロータスさんが言い合いをしている。

 いや、ロータスさんが攻め立てているのか。

 だが、俺の頭に二人の会話の内容は入って来ない。

 ただ一つの疑問がずっと頭を渦巻いていた。

 

「――なあ、氷河」

「―――……なんだ」

「どうしてお前……当たり前の様に人が殺せるんだ……?」


 俺は……俺たちは、人が良く死ぬような、人を殺す事に慣れるような世界に産まれた訳では無い。

 いや、同じ世界では戦争があって、殺し合いが行われてたかもしれない。

 だが、俺たちが育った日本ではそんな事無かったはずだ。

 俺たちは、平和な世界を生きていた一般人だったはずだ。

 

「……俺は人を殺したのはこの世界に来てからが初めてだ。殺した数だって数えるほどしかない」

「なら――」

「――でもな日坂。お前、俺の中の経験に、いったい何千人の殺した経験が詰まってると思う?」

「――――――」


 声が、出なかった。

 

「……今日のレベリングはここまでだな。水奈達と合流して屋敷に戻るぞ」


 小学校から一緒で悪友とも呼べる存在、

 

「『サークル』」


 そいつの背中が……あまりにも遠くに離れてしまった様な気がした。

 

「……『テレポート』」

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