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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
168/346

自ら

 夕食を神奈に1人で作らせたが問題はなさそうだ。

 よくやった神奈。褒美にハチミツレモンを与えよう。

 これで作り手が俺、神奈、ラミウムの3人になった。

 食事は1日2食。つまり一人は1日の中で作らなくても良くなる。

 1人当たりの負担が減った。そして可能なら俺の調理回数を減らして貰いたい所。

 掃除に料理と解体……確かにスキルは多いけど、俺働き過ぎじゃない?

 もちろん分担をして来てはいる。洗濯に関しては水奈が受け持ってくれてるし、今回料理を神奈が一人でも任せられるようになった。ラミウムは掃除と料理両方ともしてくれるし、解体は最近ロータスが手伝い、リノも覚え中。

 家事に参加してないの誰だ。穂乃香、日坂、フィサリスの3人だ。

 フィサリスに調合をさせるの忘れてたな。明日からでもさせよう、必要な薬草は千里眼で確認できるしすぐ取って来れる。MPポーションを増やすのだ。

 裁縫は前まではぬいぐるみしか作って無かったが、最近はリノの洋服まで作り始めたからなぁ……まったく何もして無いとは言えん。

 やたらフリッフリの洋服を準備しているフィサリスと、それをまんざらでも無く着せ替えられていくリノの姿を千里眼で何度か確認している。

 リノのおしゃれな服が最近増えているのはあの親バカ(フィサリス)が原因である。

 その上最近は水奈にも服を作って着せたいと考えていやがる。

 フィサリス、作る時は俺も呼べ。手伝うから。

 問題は未だに軽業しか身につけてない穂乃香と日坂か。

 日坂は解体や鍛冶に興味を示してたからその内身につけるかもしれないけど、穂乃香だよなぁ。

 あいつはやらせれば何でも器用にこなす出来る子なんだよ。でも『やれば出来る子』っていうのは、逆を言えば『自らやらない子』なんだよ。

 穂乃香は趣味とかもこれといって特に無いし、興味がある事もない。小さい頃から俺や水奈がする事を一緒にするって感じだったからな。

 花火は好きな訳じゃ無いけど、水奈と一緒にするのは好き。将棋も別に好きな訳じゃないけど、俺とするのは好き。

 色んな事をさせてはみたが、結局元の世界に居た時の内にあいつ自身の好きな事を見つけてやる事はできなかった。

 文明の違うこの世界で……穂乃香に自らさせてやれることは無いだろうか。

 

 

 

「お兄ちゃん? どうしたのボーっとして」


 現在は風呂。リノと水奈の3人である。

 穂乃香に何をさせてみようか考えていると水奈に声を掛けられた。

 並列思考をも思考に回して、周りへの意識が向いてないなら並列の意味無いな。

 考え事をしながら違う事も出来るのが並列思考の真骨頂だろうに。

 

「ああ、ちょっと考え事をしてた」

「考え事?」


 首を傾げる水奈可愛い。

 水奈をじーっと見つめる。じー。

 

「な、なにお兄ちゃん? そうマジマジと見られると恥ずかしんだけど……」


 水奈がもじもじとし始めた。見られるのなんて今更だろうに、可愛い奴め。

 だが、思いついたぞ。そうだつまりは――

 

「――逆だ」

「……逆?」




 風呂上がり。水奈の部屋のベットに3人で横になる。

 俺が中央なのはいつもの事。2人が寝るまで待って穂乃香の部屋に行くのだが、

 2人して俺を抱き枕扱いして寝やがった。これじゃ俺抜け出せないじゃん。

 穂乃香との約束は守らなければならない。今も部屋で1人寝ずに待ってるんだから。

 なら穂乃香をこっちに呼ぶか? だがベットに4人は流石に入らない。

 ……仕方ない。

 

「『グラビティ』」


 水奈、リノに抱き着かれた状態のまま宙に浮く。

 水奈のベットを空間収納に仕舞い、近くの家具も少し仕舞う。

 明日の朝には元に戻すから許して。

 水奈のベットが有った場所にふかふかベット(キング)を置く。

 ゆっくりとベットに着地する。

 そして空いてるスペースに穂乃香を呼ぶ。

 

「『サモン』」

「わっ」


 穂乃香は急に景色が変わった事に驚いた後、俺の方を見る。

 

「悪い……この状態だからそっちに行けなかった」

「氷君……今日は4人で!?」

「アホか、自重に決まってんだろ」

「えー」


 なんでそうなった。リノを混ぜて良いわけないだろ。

 

「水奈が左、リノちゃんが右……じゃあ私は上!」


 穂乃香に上から覆いかぶされた。何のためにベットをキングに変えたのよ……

 俺の胸板に頬擦りをする穂乃香を見ながら、思いついた内容を提案してみる。

 

「なあ穂乃香、お前『裁縫』してみないか?」

「裁縫? なんで?」

「お前、生活系スキル持ってないだろ? 何をさせようかと考えたんだが――穂乃香、水奈の服を作って着せて見たくはないか?」

「したい!」


 即答である。まあ、だよね。

 拘りが物事に向かず、人物に向くのであれば、人物を絡めた事をさせればいいのか。

 色んな格好を水奈にさせたい、その為に着せたい服を自ら作る。やる事はフィサリスと一緒だな。これを機にフィサリスとも少しでも仲良くなってくれれば、なお良しである。

 

「それって氷君の服も作っていい!?」

「ああ、それは構わな――」


 ん? んん? あれ? ねぇ? 穂乃香ちゃん?

 君の想像する俺の服、俺の見間違えじゃ無ければ女物に見えるんだけど、どういう事?

 冗談だよね? 冗談だよね……?

 

「……穂乃香? 俺に作る服って当然男物だよな……?」

「うんー? 男物もちゃんと作るよー?」


 ……………………選択を間違えたかもしれない。

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