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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
165/346

ラミウム

 国王と王女による親子喧嘩を傍観した後、ラミウムと共に城から出て拠点の洞窟へと向かう。

 ラミウムに対しての評価は低いくせに傍には置きたがる。あれこそまさにツンデレと言う奴ですな。

 

「お父様のツンデレなど、これっぽちも嬉しくありません」


 自分の父親がツンデレ……確かに嫌かもしれない。

 でも国王が今のラミウムを素直に評価できないのは、ずっとダメな子扱いしてた手前褒めにくいからだからなんだよなぁ。

 今でこそできる子ラミウムだが、昔はそうでも無かった。

 人間と言う種族はHPとMPに限り、レベルに比例して3通りしか存在しない。

 HPがMPの2倍ある体力型。神奈やロータス、リノがこれに当たる。

 HPとMPが同じ数値の万能型。日坂や穂乃香がこれに当たる。

 MPがHPの2倍ある魔力型。俺、水奈、ラミウムとフィサリスがこれに当たる。

 この数値倍率は遺伝しやすく、ブルーゼムの王族家は皆魔力型である。

 魔力型で且つMINDの高いラミウムはフィサリスと同じ生粋の魔法向きステータスである。

 ……俺も魔法向きだけどINTの方が高いから生粋では無い。鑑定の副作用かな。

 そんな魔法に高い素質を持ったラミウムだったが、魔法の適性があったのは精霊魔法だけだった。俺は鑑定でその人の適正魔法が見えるが、通常は練習して見ないと分からない。

 精霊魔法はコアな方の為適性がある事に気付くのが遅く、他の魔法を練習しても使えなかったた為、魔法向きステータスを持ちながら魔法を使えない、宝の持ち腐れ扱いをされてしまった。

 そんなラミウムには天性の才があった。それは狙った的を的確に射貫く弓の才だ。

 だがラミウムのSTRは俺や水奈と争うレベルで低い。故に当たりはするがダメージが入らない事が多く、またしても宝の持ち腐れ扱いをされてしまった。

 そしてある時ラミウムは精霊と契約を結び、ついに魔法が使えるようになった。だがそれは大精霊ではない普通の精霊の為、強めの魔法が使える訳では無かった。

 それでもラミウムはひた向きに努力を続けた。精霊との親和を深め、契約数も増えて多くの魔法が使えるようになり、弓の練習もずっと続けていた。

 そして魔弓術のスキルを覚えると共にダメな子ラミウムは、できる子ラミウムになったのである。

 ……俺としては心眼持ってるだけでも十分だと思うんだけど。

 

「……それではまるで、私の価値は心眼しかないみたいではありませんか」


 いやいや、そんな事思ってないよ。

 むしろ心眼持ってるからこそ凄いと思うんだけど。

 周りの評価の本音を知りながら折れずに努力し続ける心の強さ、忍耐力。

 何より幼少時代から自分の周りで渦巻く悪意と人間の汚さに触れていながら、それらに染まる事無く清らかに在り続けて、悪意ある者にもない者にも接して行こうと思う心意気。

 そういった所に加えて気遣いや面倒見の良さ、心眼や弛まぬ努力を続けて得た魔弓術スキルや経験、全部ひっくるめてお前の価値だろう?

 

「……! あの……その……ありがとう、ございます……」



 ラミウム

 幸福度 80



「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「……とりあえず拠点に着いたし、掃除を始めるか」

「は、はい……そうですね」 

 

 ……なんだこの空気。俺が悪いのか? 俺が悪いのか?

 とりあえず掃除しよう。めっちゃ掃除しよう。うん。

 錬金術で塞いでいた入口を開き、ぎこちないラミウムと共に洞窟へと入って行った。 

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