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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
160/346

兄妹

 夕食後の風呂上り。

 急いで水奈の部屋へと向かう。

 なんで急いでるかって?

 あいつ怖い事があった後は毎回1人になった時にぶり返すんだよ。

 今部屋に居る水奈の頭には自身に迫る刃物がリピートされてる。

 トラウマにさせる訳にはいかん。

 ノック無しの許可は下りているため、ノックせずに部屋に入る。

 

「……! お兄……ちゃん……」



 月島 水奈

 恐怖度 80

 

 

 今にも泣きそうな顔で佇む水奈へと近づき、ただ抱き締める。

 

「……お兄ちゃん……」

「………………」


 水奈が俺の服を掴みキュッと力を入れる。

 俺から言える事は何もない。水奈が今感じている恐怖は俺が与えた物だから。

 だから俺は、ただ黙って水奈が落ち着くまで抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 月島 水奈

 恐怖度 30

 

 

 水奈の恐怖度が下がって来たところで俺はようやく口を開いた。

 

「……戦闘は怖いか……?」


 俺の服を掴む水奈の力が強まった。

 

「……うん……怖い」


 今にも消えそうなか細い声で水奈はそう答えた。

 俺は質問を続ける。

 

「盾術の訓練は……止めにするか……?」


 俺の質問を聞いて、水奈は葛藤している。

 頭によぎるのは迫る刃と明確な死、俺との訓練、そして穂乃香達とのレベリング風景。

 それらを思い返し、水奈の出す答えは――

 

「…………ううん。訓練は続ける」


 ――継続だった。

 

「確かにまだ怖いけど……やっぱり足手纏いにはなりたくない。穂乃香達と一緒に戦った時、私の力もきちんと役に立った……みんなの役に立ちたい、力になりたい……だから続けたいと思う」


 水奈の頭に過ったのは穂乃香、神奈と3人で戦ったオーク戦。

 水奈は後衛からの広範囲攻撃で大いに貢献した。と同時に接近戦の対応が出来なかったが故に神奈が防御に専念せざる終えなかった。場合によっては穂乃香も防御に回っていた。

 あの時に水奈が盾術を使えていたら、神奈はともかく穂乃香はもう少し攻撃に回れていただろう。

 後衛に自衛手段が少しでもあるのか全く無いのかで、他の戦闘員の動きやすさが変わって来る。

 

「私がみんなを癒す、私がみんなを守る……そのための治癒回復ちからすべも持ってるから」


 戦闘は怖い、でも仲間が傷つくのはもっと怖い。だから戦う――か。

 俺としては戦闘を望まない水奈を戦場に立たせたくはない……が、本人がそう言うのであれば仕方ない。

 

「これからの訓練でまた怖くなるかもしれない、それでも続けるんだな?」

「うん、続けさせて……」

「……わかった」


 抱き締めていた腕を放し、水奈の顔をじーっと見る。

 

 

 月島 水奈

 恐怖度 0

 

 

「……なぁに?」

「いや、やっぱり俺の妹だなぁと思って」

「なにそれ」


 水奈が笑いながらおでこをくっつける。

 

「……うん、お兄ちゃんの妹だもん」

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