蜂蜜
日坂とロータスの訓練が、区切りの良いところになるまで待つ。
その間水奈と戯れていようかと思ったが、フィアからの視線が冷たかったため、リノと戯れる事にする。
リノーおいでー。
リノが空間魔法を使って飛んでくる。
そして目の前が真っ暗になった。
「………………」
…………リノちゃん、抱っこを希望するならもっと下においで? 肩車が希望なら向きが逆だよ。
俺の視界、リノの下腹部しか映ってないんだけど。いや、千里眼で他も見えるんだけどね?
フィアのジト目が更に細くなって来たので、召喚術でリノを逆向きに召喚し、通常の肩車の形に戻す。
これに関しては俺は悪くないと思うんだよ。無罪を主張します。
そして再びリノの小さなお手てで視界が真っ暗になる。なに、視界を塞ぐのブームなの?
リノを落ちるか落ちないかのギリギリで支えて揺らしてやる。本人は楽しそう。
日坂たちが区切りが付いた様なので合流する。日坂は魔剣術に加えて光魔法の聖剣術も使える様になったみたいだ。
休みの日もレベリングを行ってる事もあって、イエンロードに来てすぐの時は一番レベルの低かった日坂だが、今では穂乃香達三人よりもレベルが高くなっている。
力は付いて来た、後はその先だな。
穂乃香達を拾って屋敷へと戻る。
モンスターの解体を行わなければならないので、労働力と助手を早めに確保して置く。
早速解体を始めて行く。山と森だったのでラインナップは普通な感じ。
今までおかしかったのは俺が変な所ばかり連れて行くからだったのか?
「なぁロータス、キラービークイーンが倒されてるって事は巣ごと落としたんだよな?」
「はい。中に居たキラービーベビーも全て倒しました」
「巣はどうした?」
「少しですが回収してあります」
蜂蜜は確保できたわけか。
ヨーグルト……いや、ホットケーキを作ろうかな?
とりあえず前に買った果物の中にレモンが有ったはずだからハチミツレモンだな。
しかし水奈は昨日大変だっただろうな、あいつ虫苦手だからな。
リノは……迷わずキラービーの解体に乗り出している。相変わらず肝が据わってるな。
タイラントスパイダーの解体にも挑むの? マジか。リノすげぇな。
経験ではたくさんあるから俺も問題は無いけど、経験無しに蜘蛛の解体に挑もうとは思わなかっただろうなぁ。
リノへ解体を教えた後は、神奈に料理を教える。
と言ってももうだいぶ出来るようになって来たし、そろそろ一人で作らせてみるか?
神奈が1人で作れる様になれば作り手が3人に増えて負担が減る。
まあ、一緒に料理を作る事で神奈とラミウムでのコンタクトが増えるから、もうしばらく行っても良いけどね。
話す機会、きっかけは多い方が良い。……穂乃香が少ないんだよなぁ。
他は割と話そうとしてるのに……穂乃香は相手に懐かないと喋らないからな。
「神奈は剣道部のマネージャーやってた時に、ハチミツレモンとか作った事あるか?」
「ハチミツレモンですか? 一度他の先輩が作ったのを頂いたぐらいですね」
つまり自分で作った事は無いんだな。
俺は神奈が料理を作る傍ら、ロータスから受け取った物を見せる。
「昨日、日坂たちが倒したモンスターの巣から蜂蜜が手に入ったんだが……作ってみるか?」
「ぜひ!」
やはり甘党、食い付いたか。
たかがハチミツレモン、されどハチミツレモン。
皮の有無、蜂蜜に付けておく時間や温度で変わって来るのである。
今から作っても食べれるのは早くて明後日だけど。
夕食を作る傍ら、ハチミツレモン作りも行った。




