壁の心
戦闘員組が帰って来て、今は報告会が行われている。
俺は安定の端っこの壁。
壁て……
ほら、良くいるじゃん。
集団の中で黙って一人、壁に背を預けて腕組みしながら、
時折フッって笑う奴。俺それ。
やだー中二病ー。
まあ、実際はただ眺めてるだけなんですけどねー。
月島 氷河
Lv 15
HP 80/80
MP 80/160
STR 18
DEF 19
AGL 38
DEX 40
MIND 59
INT 62
LUK 17
固有スキル『鑑定(極)』
通常スキル
打撃系
『剣術Lv7』『槍術Lv4』『弓術Lv1』『棒術Lv2』『斧術Lv3』『拳術Lv4』『蹴技Lv2』『居合術Lv2』『投剣術Lv1』『暗殺術Lv2』
魔法系
『回復術Lv2』『結界術Lv1』『錬金術Lv2』『火魔法Lv3』『氷魔法Lv6』『水魔法Lv5』『風魔法Lv5』『土魔法Lv3』『雷魔法Lv4』『光魔法Lv2』『闇魔法Lv1』『聖魔法Lv1』『空間魔法Lv3』『重力魔法Lv2』『精霊魔法Lv1』
複合系
『聖剣術Lv2』『魔剣術Lv1』
非戦闘系
『軽業Lv2』『解体Lv5』『鍛冶Lv2』『調合Lv2』『料理Lv2』
うんうん。レベルアップしてる。
してないのもあるって?
まず、弓術、投剣術、結界術、精霊魔法、魔剣術の五つだが、
これらは持ち主が戦闘を辞退した女の子だ。
戦闘を実際に参加するのと、訓練だけじゃやっぱり伸び方が違うらしい。
そして闇魔法、聖魔法だが、それは単純に穂乃香の気分が向かなかっただけだ。
あいつどうやら割と氷魔法使うらしい。
理由が俺の名前らしい。
あいつ俺の事大好きすぎだろ。
でも氷か……そっちはもう上がりにくいんだよな……
レベル1をレベル2に上げるのは難しくない。何回か扱って慣れれば上がる。
でもレベル3から難しくなってきて、レベル5だともう熟練クラスになる。
レベル7とかはもう国トップクラスとかになって、レベル9は人間の極地。
だからこそポテンシャルがレベル10を誇る勇者が魔王討伐に選ばれるわけだ。
レベル10に至れるのは勇者だけだから。
魔剣術辺りは俺も使って行く予定だから、自分でもあげようかなー。
他? 他は良いよ。みんなが上げてくれるから。
レベルの低いスキル使うより、レベルの高いスキル使った方が早く倒せるじゃん?
だから俺が使うのは基本強いスキルなわけで、
弱いスキルはみんながその内上げてくれるんだ!
はっはっはっは。あぁ…………
月島 水奈
恐怖度 80
水奈が帰って来たにも関わらず恐怖度が高いままだ。
どうやら今日の戦闘で神奈が怪我したらしい。
神奈は水奈や穂乃香とは違い、前衛の接近戦だ。
その分怪我する確率も上がって来る。
水奈にとって、俺、穂乃香、神奈の三人は、他のクラスメイトより特別な存在だ。
その神奈が傷を負った事で、死への恐怖が昨日より増している。
……もし、俺や穂乃香が傷を負った場合どうなるのだろうか……
考えたくもないな……怪我だけはしない様に気を付けないとな。
「――以上で今日の報告会を終わります」
おー終わった。
じゃあ夕食を食べて、壁から水奈の兄へジョブチェンジだな。
壁って仕事? いつかドンされたり、バンバンされるのかもしれない。
壁殴り代行が俺の下へ来ない事を祈ろう。
みんな壁殴っちゃ駄目よ? 壁だって泣くのよ?
俺、なんで壁に感情移入してるんだろう……
「お兄ちゃん何してるの? 早くご飯食べに行こう?」
アホな事考えてたら水奈に催促を受けてしまった。
もう、水奈ちゃんてば、そんなにお兄ちゃんと一緒にご飯食べたいのね。
大丈夫お兄ちゃん一緒に居てあげるから。部屋でもベットでも。
……間違っては無いけどこの言い方はシスコン臭がする。
いや、シスコンだけども。