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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
149/346

人間

 朝食後、フィサリスに魔結晶の杖を渡した。

 

「わー! ありがとうご主人様――って……なんか短くない?」


 あ、気付いちゃった? 気付いちゃったかぁ~。

 元々は1.2m程有った木製の杖だが、魔結晶の杖に変わった今は0.8m。

 うん。気付かない筈が無い。魔結晶をぐるぐる巻きにした結果、ステッキ程の大きさである。

 

「長さは変わったが俺が使ってた杖で作った物だ。魔力だけじゃ無くて攻撃力も少し上がってる」

「う~ん……接近戦はしないからSTRは無くても良いけど……まあ、いっか!」


 フィサリスは近距離でも魔法をぶっ放す……というか近距離に近づかれる前に仕留めるからな。

 水奈、ラミウム、フィサリスの3人は接近戦が出来ない。遠距離専門だ。

 俺と穂乃香は両方こなせるバランサー、日坂、神奈、ロータスの3人は近距離戦が主である。

 と考えると、割とバランスが良いんだな。リノはテイマーだから特殊型だな。

 

「フィサリス、ちょっと試し打ちに行くか」

「試し打ち……?」


 そうそう試し打ち。

 大事だよ試し打ち、不具合とかないか確かめないとね。

 うんうん。

 キュアと戯れているリノの頭をポンポンする。

 

「リノ、これからパパとママは出かけて来る。キュアと一緒に良い子にしてるんだぞ?」

「パパ……ちゃんとかえってくる……?」

「ああ、帰って来る」

「……わかった」

 

 寂しがるリノの頭をくしゃくしゃに撫でやる。

 リノが満足するまで撫でた後、フィサリスを連れて外に転移する。

 

「ご主人様~……こんな雨の降る中どこ行くの~……」


 フィサリスは髪が濡れるのを嫌ったためフードを被っている。

 こんな雨の降る中レベリングに向かった日坂やロータスだって居るんだぞ。

 文句言うんじゃない。

 

「目的地は『デスライン』だ」

「デスラインって……ご主人様、あそこケルベロスとかグリフォンとか……今日みたいに雨降ってるとリバイアサンとか出る化け物の巣窟だよ~? 私レベルなら大丈夫だけど……あ」


 気付いたか。うん、そうだよ。

 

「……ご主人様、マジ?」

「マジだ。今日中にレベル40……6以上は上げたい所だ。試し打ちついでに手伝え」

「ご主人様はそっちが目的でしょ~? 大体レベル30代なら3日で1上がれば早い方なんだよ~? 1日で6上げるなんて異常だよ異常、ラミウム様に無茶するなって怒られるよ?」

「怒られる回数を減らすためにも今日で6は上げとくんだよ。不可能ではないだろう?」

「そりゃそうだけど……怒られる前提なんだね」


 デスラインへ向かって怒られない訳がない。

 デスライン……人間領の中で唯一レベル90代のモンスターが生息する地帯で、モンスターの平均がレベル70。

 ワイバーン並のモンスターがうようよしており、小さい子に言い聞かせるおとぎ話で恐怖の象徴として扱われる。

 悪い子はデスラインに連れていかれるぞ~とかそんな感じ。

 A級ランクの冒険者でも滅多に近寄らない。つまりはそんなとこ。

 

「下手したら私まで怒られるんじゃないかな~……ハイヒューマンにもならずデスラインに挑もうなんて事するのご主人様か自殺志願者ぐらいだよ?」

「これからハイヒューマンになるんだよ」


 人間はレベル40を超すとステータス伸び方が圧倒的に多くなる。これは人間がヒューマンからハイヒューマンに進化するからである。

 と言っても見た目や何かが大きく変わる訳では無い。あくまでステータスの伸びしろが上がると言うだけだ。

 それだけではあるが、レベル40を超しているか超していないかは、実力を判断する材料ともされている。

 人間の完成は本来レベル80だ。

 だがレベル80以上の人間も存在する。騎士団長なんかがそれに当たる。

 レベル80を超すとステータスの伸びは更に大きくなる。しかし人間の完成はレベル80。つまりその先は余分……過剰だ。

 その過剰を取り過ぎた限界、人間としての形を維持できる限界がレベル99。100に上がると同時に限界を超え、人間は魔族へと変貌する事になる。

 そして魔族のレベル最終着点は120。これ以上はどうやっても上がる事は無い。

 レベル80を超えた人間もレベル100を超えた魔族も種族で言えばグレートヒューマンなのだが、見た目や体の構造に変化が起きる為人間と魔族で分けられている。

 ここで質が悪いのは、体の構造に起きた変化は子孫にも引き継がれる事だ。だから全く別の種族として扱い、同じヒューマンであったのにも関わらず争い合っている。

 まあ、地球では人間しか居なくても争っていたんだから、構造とか違えばなおの事か。

 悲しきは敵が無ければ仲間たりえない人間の性だろうか。

 

「悲しいな……人間は」

「ご主人様? どうしたの急に?」


 人間とはについて考えていたら、フィサリスに不思議そうな顔をされてしまった。

 時間も無いし早く行こうか。 

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