膝枕と抱き枕
風呂上がり。
水奈は本格的に潜水のスキルを取得してみたい模様。
潜水……水着着せて水奈と一緒に海にでも行きたいなぁと思ったがもう休みの空きが無かった。残念。
一緒にお風呂で我慢だな。
全て終わらせた後の楽しみとして取って置こう。
水奈、リノと一緒に水奈の部屋のベットに横になる。
ほんと俺は自分の部屋で寝てないよな。物も空間収納があるから置く必要もなくて、屋敷に居る時はリビングかダイニングだから碌に入りもしない。
自室にも限らず客間の様なスッキリさ。というか客間だな。
生活感が無いどころじゃない、まず生活してない。
リノですら色々置いてるのに。と言うか置き過ぎ。
外に出るたびに色んな物拾って来てはコレクションにしている。
その木の実集めてどうするの? お部屋の飾りなの?
家主の俺、部屋を持たない。違う、考え方を変えよう。この屋敷全部俺の部屋。
うん。そしたらちゃんと住んでる。もしくは水奈と穂乃香の部屋が俺の部屋。
あかん。それだと寄生虫に聞こえる。でも実質一番多く居る部屋は水奈の部屋。
まあ、水奈は自室から俺の匂いがする事に嬉しいみたいだから良いけどさ。
「ねぇお兄ちゃん。今度潜水のスキル教えてくれる?」
「……ああ……教えてやる」
教えてやる、それは約束する。でも具体的にいつとは言えない。
言えないけど、その約束は絶対に守ろうと思う。
無性に水奈の頭を撫でてやりたくなったが、左腕はリノの枕。右腕は水奈の枕になってる上、右手は水奈の左手と繋がれてるため出来なかった。
まあ、眠ってから撫でてやればいいか。この後穂乃香の所に行かないといけないし。
水奈とリノが眠るのを待つ。思ったよりもリノが眠るのが遅くて俺も眠くなって来た。
でも穂乃香が呼んでるから起きる。
リノも眠った事を確認して、腕を引き抜き、枕を入れる。
後は任せたよ枕。
水奈とリノの頭を撫でて、穂乃香の部屋に転移する。
「あ、氷君待ってたよ~」
穂乃香が笑顔で出迎える。
…………駄目だ、眠い。
「穂乃香、ちょっとお願いがあるんだが」
「ん~?」
あ~やっぱり絶景である。
「なぁに氷君、私の膝枕気に入ったの?」
現在穂乃香に膝枕をして貰っている。
寝起き以外でされるのは新鮮である。
「ああ、今日の朝久しぶりにして貰って気付いたんだが、思った以上に俺はお前の膝枕を気に入ってたらしい」
朝一で見る笑顔とかな。
「ふふふ、じゃあ明日から毎朝してあげるね。水奈の部屋で寝てる時は水奈の部屋にお邪魔して」
水奈と2人で寝た後とかだったら水奈がまた拗ねそうだな。
また今日みたいにキスシーンを見せられるんだろうか。
そんな事を考えつつ意識が遠のいて来た。
「おやすみ、氷君」
最後に唇に柔らかい感触を感じつつ、眠りについた。
「――、―――」
今は――
「――、朝――」
ん? ……朝か。
「氷君、おはよう」
朝一の穂乃香の笑顔。やはり良い。
ってうん? 膝枕? まさか昨日から?
あ、ちゃんと寝てる。良かった。
俺を抱き枕にして寝た後、起きてまた膝枕してくれたのね。
まあ、元々穂乃香が甘える権利だったのに俺が甘えちゃったからな。
抱き枕にした際に誘惑に負けて唇に何度も吸い付いた事は目を瞑ろう。




