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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
128/346

溺死

 酔いには種類がある。

 泣き、笑い、怒り、喋る、黙る。

 明るくなったり暗くなったりとさまざまだ。

 そして穂乃香はというと――

 

「ひょ~くぅ~ん」


 絡み……いや、甘えか? 甘えと言うよりは絡みだな。

 甘えてるというより絡んで来る。レアっちゃレアだけども。

 

「あ~ひょーくんまぁた難しい顔してるぅ~。えい」


 頬を引っ張られる。

 また?

 

「む(じゅ)かしい顔して(りゅ)ように見え(りゅ)か?」


 頬を引っ張られて喋りにくい。

 別に酔ってる訳じゃ無いよ!

 ようやく放してくれた。

 

「うん~ひょーくんは転移して来てからずぅっとしてる。ずぅっと悩んでる」

「……分かるか?」

「分かるよ~私ひょーくんの事ずぅっと見てるからねぇ~」


 うん。過去を見てもストーカー一歩手前レベルで見てんな。

 ちょっと怖いよ。なんで俺の写真だけでニ冊アルバムが出来てるんだよ。もうすぐ三冊目完成だったのかよ。

 まあでも部屋一面に貼られてるとかじゃなくて良かったよ。部屋には一枚だもんな。

 等身サイズ一枚。それどうやって印刷したの? ポスターなの?

 でもって貼るとこ抱き枕なの? 毎日抱いてたの?

 色々つっこみたいけど地雷踏むといけないから止めとこう。

 

「でもひょーくんは話してくれないんだよねぇ~、私にも水奈にもぉ。ひょーくんはそういうとこ男の子だから。だから私はひょーくんが話してくれるまで待つしぃ、ひょーくんが話す必要が無いと判断したなら聞かなぁい。……でぇも、気になりはするんだよ?」

「……お前はほんと、良い女だよな」

「えへへへ~ありがと。私はひょーくんの為にある。ひょーくんの為なら何だってしちゃうんだから~」


 何でも……か。

 

「お前の何でもは、冗談抜きで何でもしそうだから怖いな」

「う~ん? 何でもするよ~? 何だってするよ~? どんな事でも、どんなプレイでも」

「それはお前の願望だろ」

「えへへ。でも本当に希望には答えるよぉ? SМでもお医者さんごっこでもメイドさんごっこでも良いよ~」

「穂乃香、お手」

「わん!」


 こやつ……できる……!

 

「じゃあ穂乃香には放置プレイだな。自重せよー自重せよー自重せよー」

「あぁ~そんなイジワルを言うのはこの口かぁ! そんな口は食べちゃうんだからぁ、んっ」


 おい、希望には答えるんじゃなかったのか。

 しばらく唾液の交換を行い、穂乃香は満足したのか唇を放した。

 

「ん~美味しかったぁ」

「味なんてするのか? したとしたらそりゃ酒だろ」

「するよぅ~フルーティーな香りとひょーくんの味。ひょーくんの唾液って割材?」

「んな訳あるか。変態じみた発言は止せ」


 ほら、自重せよー自重せよー自重せよー。

 また食べられるわ。止めとこう。

 

「なぁ穂乃香。俺と水奈が海で溺れてて、穂乃香の乗るボートに乗せられるのは1人だけ。さてどちらを助ける?」

「なぁに、またイジワル~?」

「ちょっとした興味心だよ」

「う~ん……私も跳び込む!」


 なんと三人揃って心中。

 

「そして三人で海底で暮らすの~」

「マーメイドになるのか。そうだ穂乃香、明日お前らのレベリング場所は海岸だが、水着着たいか?」

「水着! ……でも明日ひょーくん居ないんだよねぇ?」

「俺はスキルアップ組だからな」

「じゃあいい。海にはひょーくんと行きたい」

「良かった。俺も知らん奴に穂乃香の水着姿見せたくなかったからな」

「えへへ~もう、ひょーくんの欲張りぃ~~」


 俺自身も酔いが回っていたからか、穂乃香と甘い甘ーい一時を楽しんだ。

 ただ一つだけ、意識的に話を逸らさせた話題。どちらを助けるか。

 もし、穂乃香と水奈が溺れていたら俺はどちらを助けるのか。

 確実に一人は助からない。でも逆を返せば一人以外は助けられるんだ。

 なら簡単じゃないか。

 水奈と穂乃香をボートに乗せ、俺が沈む。

 一つの犠牲で二つ助かる。

 自分が助かる前提じゃなきゃ、ちゃんと二つとも救えるんだ。

 穂乃香は何でもする。穂乃香は三人でと言った。

 俺はそんな穂乃香が大好きだ。自分でも呆れる程に愛している。

 だから――穂乃香は連れて行かない。

 俺はこれから沈みに行くんだから――

 

「ひょーくん? 何考えてるの~?」

「……ん? 未来の事だ」

「未来……私はねぇ、ひょーくんのお嫁さんになる~!」

「……婿に貰うんじゃなかったのか?」


 穂乃香の為にも、溺死はしたくないところだ。

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