ご褒美
日坂たちと別れて組手に入る。
「氷君」
組手に入る。
「氷君てば~」
………………
「……なんだよ」
「さっきの手合わせ、私が勝ったじゃない?」
(何かご褒美が欲しいなぁ……)
また器用なおねだりの仕方をしやがって。
しかしご褒美か……甘やかすのはこれからの組手の勝ち数だし……何か渡すか?
明日は海岸でレベリングさせる予定だから……水着? は俺が一緒じゃないから却下。
穂乃香の水着姿を知らん奴の視界に入れるなど俺が許さない。
となると……麦わら帽子とか? 雪山用の手袋やマフラーみたいな季節ものを作るか?
あ、浴衣! 穂乃香に浴衣着て欲しい! って俺の願望じゃねぇか。
穂乃香に直接聞けばいいか。
「何か欲しいものはあるか?」
「氷君」
直球。
ブレないね君。
ある意味じゃもう手に入ってる様なものじゃない?
お前これ以上俺に何を望むってゆうのよ。
「氷君最近リノちゃんや水奈、美鈴に構ってばっかりで……寂しい……」
いや、神奈の相手は稽古なんだけどね?
でもそうか……おざなりにしてるつもりは無いが、養子と妹を甘やかしてばかりで、恋人に構ってやる時間が少ないか……
「そうだな……じゃあ今日晩酌に付き合ってくれないか?」
「晩酌……? お酒飲むって事?」
「って言ってもカクテルだけどな」
穂乃香に冷や酒は出さない。アルコールの少なくジュースの様なカクテルの方が飲みやすくて良いだろう。
「でどうする? 飲むか?」
「うん! 飲む!」
(氷君と2人でお酒……酔った勢いでそのまま……きゃ~~!)
楽しそうだね君。
普通にお酒飲みたいだけだからそっちに持って行かないで。
っておまっ! わかめ……どこでそんな知識覚えたんだコラ!
「普通の酒盛りだ普通の。つまみも作ってやるから変な事考えるんじゃない」
「は~い!」
返事だけは良いんだから全く。
「それより組手を始めるぞ。フィア、引き続きリノの相手を頼む」
「はーい、任せて」
日坂と穂乃香が手合わせをしている時から、リノは卵を抱えたまま人間サイズかしたフィアの膝の上である。
どうやら相当ワイバーンの卵を気に入ったらしく、寝食を共に過ごしている。
割らない様にだけは気を付けてね?
「さて、リノの見てる手前そうやすやすと負けてやる訳にもいかないな」
「この3日間の甘えられる数が変わって来るからね。私だって負けられない。多く取って見せる!」
剣無しの俺は攻撃力では明らかに劣ってる。だが同じぐらいスピードでは穂乃香が劣ってる。そしてスキルレベルは俺の方が上だ。
それにレベルアップもして来たからな。今回は全部勝たせてもらう!
「……二回! 二回勝ったぁああああああ!」
二本とられた……フラグだったか……?
俺がレベルアップして上がってた様に、穂乃香もレベルアップしてるもんな。
しかも穂乃香はステータス1.5倍補正だ。成長は穂乃香の方が大きい。
……今後どんどん負けて行くかもしれん。
(今日は晩酌、明日と明後日で一回ずつ……つまり三日とも甘えられる!?)
おい、ナチュラルに今日を一回に含めるな。
だが、まあ。
(えへ、えへへへ)
穂乃香が嬉しそうだし良いか。




