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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
123/346

追体験


「――、―――」


 疲れた……

 

「―君、―――い―食―――うよ~」


 ……不穏なワードが聞こえたような……

 

「んっ」

「…………」


 朝から穂乃香のキス。しかもディープ。

 

「――ぷはぁ、あ、起きた。おはよう氷君」


 そして満面の笑みである。幸せそうだね君。

 今日も膝枕では無い。俺、穂乃香、水奈の順で横になっており、俺と水奈が穂乃香を抱き締めている形である。

 つまりは穂乃香の天国。お前が幸せなら俺はそれで良いけどさ。

 俺が起きた事を確認した穂乃香は、まだ眠っている水奈へと顔を向ける。

 

「水奈、起きないと食べちゃうよ~」


 やはり不穏なワードだったようだ。

 

「んっ」

「んぅ……? ――!?」

 

 そして俺と同じくキスされる水奈。もちろんディープである。

 

「――ぷはぁ、おはよう水奈」

「……あ、うん。おはよう穂乃香」


 目覚めのキスで起こされた水奈はお疲れである。

 俺の視界には穂乃香のうなじが広がっている。

 仕返しにかぶり付こうか……いや、反動が恐ろしいな。自重しよう俺。

 目覚めはしたもののしばらく動かず、俺と水奈は穂乃香を抱き締めたままだった。

 

 

 

 お疲れな俺と水奈であるが今日はスキルアップ。休みでは無い。

 1人艶々で活気に溢れている穂乃香には恐れ入る。

 

「お兄さん、昨夜はお楽しみでしたね」


 俺、水奈、穂乃香の様子を見て察した神奈が茶化しに来やがった。

 主に楽しんでたのは穂乃香だけどな。いや俺も水奈もか。

 

「うるさい、ヘタレ」


 こいつらは昨日一線超える直前で止めたらしい。

 少しずつ進展してるようで何よりだよ。

 

「別にヘタレてません! 次は結ばれるから良いんです! あと勝手に見ないで下さい!」

「見てるんじゃない、見えるんだよ。追体験はしてないから安心しろ」


 可能な限り、野郎から弄られる感覚なんて味わいたくもない。

 

「変態」

「こと、これに関しては今更だな」


 見えるのも今更だし体験するのも今更だ。それは過去に起きた事は全てに当たる。

 その過去にはもちろん情事だって含まれる。

 

(それはつまりその……ロータスを通じて私とも……)


 うん、簡単にいうとそういう話だけど、そういうのは言わないのがお約束。

 俺も極力そういう使い方はしないようにはしてる。

 体験し過ぎると自分がまるでその人自身であるような錯覚を起こす事もあるし、必要以上に同情をしてしまう可能性がある。

 何よりそいつが一度死にかけたり、ひどい仕打ちを受けていればそれを俺も味わう事になる。フィサリスが不味いご飯と評した飯はマジで不味かった。

 だから追体験は善し悪し表裏一体。どちらかというと悪い事の方が多そうだけど。

 だからやたらに使うもんじゃない。

 他人に同情ばっかしてると俺が疲れるからな。

 

(それで……ロータスを通じて私を味わったのですか?)


 味わったって……だからそれは――

 

(どうなのですか?)


 …………少しだけ……。いや、すぐに止めたんだよ? ほんとだよ?

 だって俺からするとそれってただの自慰だからね。

 出来心だったんです。すみませんでした。

 

(……………………ずるいです)


 はぇ?

 

(私は氷河様を感じる事は出来ないのに、氷河様は私を感じる事が出来るなんてずるいです)


 まてまてまてまて、落ち着け、落ち着こう、落ち着きましょう。

 そこから先は色々と不味いって、踏み止まりましょう?

 

(踏み止まらなかったのは氷河様ではありませんか)


 まったくを持ってその通りでございます。

 俺が悪かったですごめんなさい。

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