スキンシップ
朝食後も水奈はずっとご機嫌斜めであった。
俺と視線が合う度プイッと顔を背け、穂乃香の独占に掛かる。
穂乃香は訳が分からずではあるが、いつも以上に水奈から構って貰えて嬉しそうだ。
天使がご機嫌斜めである事にご不満の神奈からはジト目を頂く。
何をしたんだと目が聞いている。いや、心でも思ってるんだけど。
何って……兄妹間における普通のスキンシップだけど。
あ、いや普通の兄妹はあんな事しないか。
普通じゃない兄妹間における普通のスキンシップだけど。
普通じゃねぇじゃねぇか。
今日は俺、日坂、神奈、ロータスのスキルアップ組と、
水奈、穂乃香、ラミウム、フィサリスのレベリング組に別れる。
レベリングは4人とも戦う事がある為、リノはスキルアップ組、即ち俺に付くことになる。
水奈達を砂漠のオアシスに置いて行く。今日の課題は土属性モンスターだよ、魔法使いしかいないパーティーだから環境適応も大丈夫だろう。頑張って。
(火山に引き続き砂漠……容赦ないですね)
いや、俺だって心苦しい気持ちはあるんだよ?
でもほら、辛い事から逃げてたら強くなれないからさ。
心はスパルタに。頑張って。
日坂たちを連れて森へとやって来る。
自分だけは森かって? 別に甘やかしてはないよ。訓練に適してるだけだよ。
あと、リノの事とかも考えただけだよ。ほんとだよ。
ロータスとの稽古はしない。あいつ新装備で更にパワーアップしたんだ。
無理無理。勝てる訳ない。
という訳でさっそく二手に別れて特訓を始める。
俺の相手は神奈。見学者はリノ。
ただ空中戦闘のためリノは間違えなく暇になる。
そこでこの方にリノの相手をして貰います。
『……ねぇ氷河、私大精霊なんだけど』
そこをなんとかお願いしますフィア様。
最近構って上げられる頻度が下がって暇そうにしてたじゃない。
『失礼な事考えてない?』
「考えてない」
『ふーん……まあいいけど。代わりにMPは貰うからね』
フィアが人間サイズ化した。
やるからには全力で。フィアって良い子だよね~。
という訳で俺は集中して神奈の相手が出来る。
神奈 美鈴
Lv 14
HP 150/150
MP 75/75
STR (32)=48 (+30)〔78〕
DEF (34)=51 (+15)〔66〕
AGL (41)=61 (+43)〔104〕
DEX (38)=57 (+15)〔72〕
MIND (30)=45 (+5)〔50〕
INT (36)=54 (+15)〔69〕
LUK (16)=24 (+5)〔27〕
固有スキル『抜刀術』
通常スキル『剣術Lv3』『重力魔法Lv2』『軽業Lv2』『礼儀作法Lv1』
神奈のステータスは基本、得手無く不得手無くだ。
ただあるとすればMPが少ない。
そういう意味では空飛ぶよりも空駆ける方が神奈には合っている。
飛び続けるより、局所的に使った方がMPが節約できるからな。
そして駆ける方が抜刀術との相性が良い。抜刀術は一撃必殺が基本。
一瞬で勝負を仕掛けるという意味でも空を駆けた方が良い。
実は理に適ってるんだよなコイツの夢。
……ちょっと試し斬りするか。
「フィア、リノの護衛を頼む。少し危険な場所に移動するぞ」
「護衛ね? 任せて!」
「『サークル』『テレポート』」




