戯れ
「―――――、―――」
ん~……
「お――――、―だよー」
あれ? ……あぁそうか。
「お兄ちゃん、やっと起きたね。おはよう」
「おはよう」
天使の満面の笑み。癒される。
昨日手を繋いだまま寝たのか……まあ、酔ってたしな。
月島 水奈
幸福度 90
しかしいつになく上機嫌である。どったの。
ふむふむ。あー……確かに。
手を繋いで朝まで一緒に居たのって転移してから今日が初めてなのか。
眠るまでは手を繋いでるけど、起きる時にはもう居ないもんな。
毎朝起きるたび少し寂しさを感じてた訳か。
それが今日は起きても、変わらず手を握って隣で寝てたから幸福感を感じたと。
可愛い奴め。
「水奈っ!」
「きゃっ! ちょっと、お兄ちゃん!? まだ酔ってるの!?」
隣で横になっていた水奈に覆いかぶさる。
別にもう酔ってはないよ?
「……水奈……」
「な、何……お兄ちゃん……」
「……特に意味は無い」
「……へ?」
目をトロンとさせてドキドキしてる水奈可愛いなぁって。
ただそれだけ。
「~~~! お兄ちゃん! からかわないでよ!」
「でも水奈も満更じゃないだろ?」
「ん~! お兄ちゃんのスキルずるい!」
ずるいか。ずるいよな~俺もそう思う。
「私ばっかり心覗き見られて恥ずかしいんだから!」
「じゃあ俺も嘘偽りなく曝け出そう。――水奈、好きだ」
「ふぇっ!?」
「好きだ水奈、可愛いよ」
「~~~~~! もう! お兄ちゃんのばかっ!」
水奈に思いっきり突き飛ばされた。
地味に痛い。
「本心で言ったのに……理不尽だ」
「別に言わなくても良いでしょ!? 他の人にもそういう事言ってるの!?」
「そんな訳無いだろ。こんな事水奈にしか言わねぇよ」
「…………本当に……? 穂乃香には?」
「穂乃香にこんな事して見ろ。迷いなく襲い掛かられるわ」
「穂乃香なら……確かに……」
結果こうして甘い言葉囁いたり、反応みて和んだりできるのって水奈だけなんだよ。
他の奴だと色々問題があるからな。水奈は満更でもないし。
「嘘は口にしてないし、こういう戯れができる相手はお前しかいないんだ。水奈とのこういう時間を大切にしていきたいと思ってる」
「……いい感じに纏めようとしてるけど、お兄ちゃん私で楽しんだんでしょ……?」
「うん、楽しかった」
「~~~もう知らない!」
水奈が起き上がって怒りながら扉へ向かう。
怒らせるつもりはなかったんだが……やり過ぎたか。
「…………私だって好きなのに……お兄ちゃんのばか……」
そう呟いて部屋から出て行った。
……なにあれ可愛過ぎか。




