やる気
朝食を終え、2グループに別れてスキルアップとレベリングを行う。
今日は初日同様、俺、水奈、穂乃香、フィサリスのパーティーと、
日坂、神奈、ラミウム、ロータスのパーティーに別れて行う。
初日と違うのは、俺らのパーティーにリノが付いて来ると言う事だけ。
まあ、危険な事をする訳じゃ無いし大丈夫だろう。
日坂たちを火山の火口付近に置いて来る。今日の課題は対火属性モンスターだ。頑張って。
俺たちは森へとやって来て、水奈とフィサリス、リノの3人と、俺と穂乃香の2人に別れる。
リノが向こうに付くのは単純に組手を見せるより、魔法を使う所を見せた方が為になるからだ。リノは一番は俺、次点でフィサリスと一緒に居たいらしく、どちらかと一緒なら良いらしい。因みに3番目は水奈である。水奈、ちゃんと懐かれてるよ。
という訳で俺の訓練相手は穂乃香である。
「穂乃香、組手の前にグローブを使った上での魔拳術の確認をするぞ」
「うん」
穂乃香の拳が燃え上がる。
耐久性は問題なさそうだな。なにあれロマンじゃん。
この間は属性の相性からダークナックルしか使ってないからな。
火、雷、氷、風。この4つは下手すると自身にダメージが入りかねないからな。
試し打ちできそうなものは……
ゴブリンキング
Lv32
HP 380/380
MP 140/140
STR 138
DEF 113
AGL 69
DEX 56
MIND 43
INT 85
LUK 27
……あいつで良いんじゃない?
穂乃香ならいけそうな気がする。問題なく。
まあ、もしもの場合には俺も居るし。
でも確か俺の初チャレンジってレベル23だったよなぁ。
穂乃香まだレベル13なんだよなぁ。
でも当時の俺とステータス変わらないし、俺が戦ったゴブリンキングよりレベル低いし、何よりあの時みたいに立派な剣も盾も持ってる訳じゃ無いし大丈夫だろ。
「穂乃香、ちょっと強めな奴相手にするが……問題ないか?」
「――! うん」
(氷君に期待されてるって事……? 頑張るよ!)
おう、頑張れ。
如月 穂乃香
Lv 15
HP 120/120
MP 120/120
STR (43)=64 (+30)〔94〕
DEF (24)=36 (+30)〔66〕
AGL (48)=72 (+15)〔87〕
DEX (43)=64 (+15)〔79〕
MIND (62)=93 (+45)〔138〕
INT (62)=93 (+15)〔108〕
LUK (22)=33 (+5)〔38〕
本当に難なく倒しやがったコイツ。
全部試してみたがグローブに異常はなさそうだ。
一番威力が高いのはダークナックル。
でも穂乃香が好んで使うのはファイヤーナックル。
燃やすの好きだね~君。
暇だった俺は周りのゴブリンどもを魔拳術で倒してました。
ロマンかな、ロマンだな。
「氷君はグローブ付けないの?」
「俺は経験だけはあるから怪我する事は無い。それにグローブは穂乃香の手を傷つけないための――あ」
(グローブは私の手を傷つけないため……えへ、えへへ)
……余計な事口走った……
「魔拳術の確認は終わりだ。戻って組手するぞ」
「あ、氷君。別に照れなくても」
「照れてない。『サークル』『テレポート』」
元の地点に戻って来た。
さて組手だが……
「穂乃香、今日の組手で俺から取った本数だけ甘やかしてやる」
「え!? 好きなだけじゃないの!?」
「アホか、俺の体力が持たねぇわ」
お前をやたらに甘やかすのは危険だと学んだ。
ご褒美ぐらいが丁度いい。
「そっか……じゃあ何としても勝たなきゃね」
おう……穂乃香がいつになく本気だ。
どんだけ甘やかされたいんだお前。
まあ、やる気が出たなら良いか。
剣無しの俺は既に穂乃香より攻撃力が少ない。持久力も劣ってる。
それを踏まえた上で対処しなきゃな。
「行くよ……」
「……来い!」
「うぅ~~~! 一回しか勝てなかったぁあああ!」
はぁぁぁ……疲れた。
穂乃香もガチ、俺もガチの組手はそれはそれは激闘だった。
終盤一本取られて焦ったが、最後の最後は取り返した。
そう何度も負けてやれん。
「氷君! 次の組手っていつ!?」
次の組手? 明日は別パーティー、明後日は休み、だから……
「3日後だな」
「3日間の間に一回なの!?」
穂乃香がしょぼくれている。
ちょっと可哀想な気がしてきた。
いや、甘やかすな俺。ここは厳しく!
「次の組手でもっと勝てるように頑張らなきゃな」
「…………分かった。次はもっと勝つ……! その内全部勝ってたくさん甘えるんだから!」
全部勝たれるのは色々と不味いな……
まあ、目標が出来た事とやる気が出た事は良い事だ。
頑張れよ、穂乃香。