可能性
説明を終えて夕食の準備に取り掛かる。
本日のシェフは俺。
二回連続でラミウムに任せてたからな。今回は俺が作ります。
スキルレベル7の実力を見せる時!
人のだけどね。
という訳で作りましたシチューです。
スキルがきちんと使われてないって?
仕方ないじゃん。買った食材少ないんだもの。
今度買ったらちゃんと作るよ……きっと。
リノが黙々とシチューを食べている。時々口の周りが汚れる。
それを拭いてやるのは水奈かラミウム。この二人は面倒見たい派だから。
面倒見る程じゃないけど眺めてたい、可愛がりたいのが神奈とママ呼びされたフィサリス。
父系的立場からその光景を見守るのが日坂とロータス。
相変わらず関心が薄いのが俺と穂乃香。ぶれないね。
穂乃香はママと呼ばれたくはあったけれど、別にリノに対し関心が強い訳じゃ無い。
俺は契約のため育てる義理こそあれど、興味が強いかと言われるとそうでも無い。
「氷河、お前リノちゃんについてどうするつもりなんだ?」
「どうするって育てるんだろ」
「でも俺らはレベリングとか訓練とか……クーデターも止めに行くだろ? その際リノちゃん一人にするのか?」
「リノ次第だな。戦闘に立ち会いたくなければ誰か一人残すし、危険を承知で付いて来たいなら連れて行く。戦闘に参加したいなら戦わせてやる」
「戦闘に参加させる場合もあるのか!?」
「本人が望むならな」
俺としては立ち会わせず、水奈と一緒に残すのが一番良い。
水奈は性格的に戦闘に向いてないからな。
本人は足手纏いになりたくないらしいが。
リノ
スキル『魔物調教Lv1』『召喚術』『意思疎通』
「リノはモンスターテイマーとしての才がある。生霊でいた事があってか霊体や動物なんかとも意思疎通が取れる。それに加えて魔法の適正が高いのは聖魔法と空間魔法のレア二つだ。魔力と攻撃力はそんな高くないが、リノには可能性がたくさん詰まってる」
ゴーストの家族と過ごしてた少女の適性が高い魔法が、聖魔法って言うのも皮肉な話ではあるがな。
「戦闘を望まないなら家事全般を叩き込んでも良い。俺が料理してる間ずっとリノは見てたしな。掃除は水奈もやたらやってるし、裁縫なんかもぬいぐるみ作るのが趣味のフィ――」
「――ご主人様?」
「……フィアとかが教えてくれるだろ」
怖っ! 笑顔なのに全然目が笑って無いよママ。
ごめんフィア、少しの間で良いからそういう事にしておいて。
「で、結局のところリノ次第だが……リノどうしたい?」
「一緒にいたい」
うん。それは分かった。
というか切実だね君も。
「一緒に居たいっていうのは戦闘にもか?」
「うん」
「そうか……剣術とかを教えてやってもいいし、魔法でも教えれない事はないが」
「魔法……あのキラキラ?」
「ああ、お前が触ろうとしたキラキラだ。後はモンスターテイマーになるとかだな」
「もんすたーていまー?」
どう説明するべきか……適正はそれが高いんだよなぁ。
「簡単にいうとペットが出来る」
「月島様、それはあまりにもザックリし過ぎていませんか?」
「表現としては間違ってないだろ」
分類が難しいんだよ。
精霊の契約は対等、奴隷の契約は主従、モンスターテイムも主従だがある意味ではパートナー的にも成り得る。
「ペット……わいばーん欲しい」
わいばーん……? ワイバーン!?
え、ワイバーンがペットに欲しいの!? マジで!?
この屋敷には書物が多く、リノはモンスターの図鑑を良く見てたのか。
それで気に入ったのがワイバーンと。マジか。
(ワイバーン……魔結晶欲しかったし丁度いいかな)
「リノ、ママがワイバーンの卵取って来てあげるよ~」
「ほんと?」
「うん。本当~」
ワイバーンってレベル70近くあるんだけど……
いや、フィサリスなら問題なく倒せるんだろうけども。
リノの初テイムがワイバーン……将来は大物かもしれない。




