白世界
1話では、三点リーダーの存在を知らずに、書きあげてしまいました。
今回からはバシバシ使っていきたいと思います。
白い世界…
(なるほど、異世界小説もあながち嘘じゃないんだな)
上も下も分からない。
自分がどうなってるのかもあやふやだ。
自分の体は17年間生活したものと変わっていなかった。
飛び降りる前の状態と言った方が正しそうだ。
「横永青明様で間違いありませんね。」
(ビックリしたああああああ!)
慌てて周りを見渡すが誰もいない。
どこを見渡しても白一色で埋め尽くされている。
不意打ちに弱すぎる心臓をなんとか整え、自分を納得させる。
そう、死後の世界は何でもありだと。
(うん、とりあえず、驚かすのは止めてほしいな―)
それはともかく、とりあえず、質問に答えなければ話は進まない。
「え、ああ。そうです。」
「はい、確認しました。それでは、これからペースへの転移手続きを行います。」
(うーん、声が男にも女にも聞こえる。これが中性的ってのか。)
「あのー、すいません。その前にペースってのはなんですか。」
(まぁ、異世界の名前かなんかだろうな。)
「はい。ペースとは、これから横永様が行く罪を償う場所です。」
「罪を償う場所?いや、俺は別に悪いことはしてませんよ。
まぁ、だからと言って聖人君子ではありませんでしたがね。」
自分は有体に言って良い種類の人間ではなかっただろう。
だが、悪事を好きこのんでするような人種でもなかったのは確かだ。
まぁ、もう少し悪い事が出来たならば、自分の環境はあのようにはなっていなかっただろうとは思うが。
(もちろん今更そんなこと言うつもりもないけどな。)
「横永様の罪とは、自殺の事です。」
「いやいや、自殺って、別に…。」
「いえ、主の定めた罪に入っております。まぁ、ダンテの神曲を読んでいなければ分からない事ですが。」
ぶっちゃけ、どんな罪かは気づいていた。
ただ、基礎的な知識が正しいのかを確かめたかっただけだ。
(それにしても、この声の主は性格が悪いな。)
「で、その罪を償うって何をするんですか。」
「通常、大人の方であれば、身体が樹と化し、永遠にアルピエに新芽を摘ままれます。」
(おぞましい事この上ないな…。)
アルピエを分かりやすく言うと、人面鳥である。
鳥の体に人の顔、見ただけでも精神崩壊を起こすことだろう。
「しかし、若者の場合は、少々異なっておりまして、異世界ペールにて罪を償ってもらいます。」
「えっと、具体的には…。」
「それは、あちらで説明されますので、ここでは手続きのみとなります。」
どうやら、なんでも答えてくれるわけではないらしい。
(とりあえず、断れる感じでは無さそうだし、ちゃちゃっと手続きしちまうか。
これ以上情報は落とさないだろう。)
「それじゃあ、手続きってのをお願いします。」
「はい、分かりました。進めさせて頂きますね。それでは、まず、ウィンドウと唱えて下さい。」
「う、ウィンドウ」
(地味に恥ずかしい)
「あ、声に出さなくても十分ですよ。」
(これはわざとやってるな…。やはり性格が悪いな。)
唱えると、目の前に四角い画面が出てきた。
上から名前、性別、種族、年齢、職業、スキル、所持金、所持ポイント
異世界転生において定番だと言って過言じゃないだろうものだ。
「それでは、顔、容姿、声、身長、その他身体的な事で変更したい点はございますか。
今回、ペースに行くにあたって、横永様の持病は治させて頂いてます。」
「そしたら、特にないですね。」
(別に自分の容姿は変えるほど悪いわけじゃないし、持病を治してくれるなら文句もないしな。)
「はい、それでは、これで手続きは終了します。」
「…え!?」
「ですから、これで手続きは終わりです。」
「いやいやいやいや、早すぎるでしょう!もっと、色々しなきゃいけない事があるんじゃないですか?」
(これからがワクワクポイントだろうが。職業とかスキルとか、男のロマンが!)
「いえ、職業は向こうに行ってから決めますし、他の項目は職業に付随しますから、ここでは説明しない決まりになってます。」
「はぁ、まぁ、そう言う事なら…。」
別にそう決まっているなら、食い下がる必要はないだろう。
(そもそも、罪を償うって言ってたしな。)
「それでは、ペースに飛ばしますので、目をつぶって下さい。」
言われたように目をつぶる。
視界が暗くなると、死ぬ直前の記憶が甦ってきた。
(ざまぁみろか…なかなか冗談のセンスがあるな。)
「では、罪人よ、行きなさい。」
そして、白い空間から、人はいなくなった。
「くっく、こいつはどう動くかな。」
低く響く声が名残惜しそうに消えていった……
更新のタイミングがまちまちですいません。
時間がある時に打ってます。