娘、店長、息子、朝の子
「まさか、真子ちゃんが美奈子の娘だったとは!」
とても嬉しそうに煙草に火を付けるカッコイイおじさん、元い、この喫茶店兼BARの店長、赤道正志-アカミチマサシ-さん。は、母とは昔友達だったらしく、あまりにも私が母に似ていたからビックリしたと言う
求人誌を持っていたからか、バイト探しているのかと聞かれて頷いた。すると今日から喫茶店の方で雇ってくれるらしい!!やった!バイト見つかったぜ!
なんだかトントン拍子で怖いわ!なんて思いながらメモ帳片手に店長の話を雑談混じりに聞いていると
カラン、と入り口のドアに付いているベルが軽快に鳴った
は、初めてのお客様!!
「い、いらっしゃいま……
「あ、真子ちゃん大丈夫。コイツ俺の息子」
入って来たのは学ランの男の人だった。
なんだ、私の接客デビューが、緊張返してくれ。と思ったけど店長の息子様だから顔に笑顔を貼り付けて会釈した
「………。」
ギロっと睨まれた?!こ、怖、!!何この人反抗期ですか?店長に似て顔は良いのに誠に残念ですよ。そう思ってると再びドアのベルが鳴った
「ちょ、何で置いてくの!!あ!正志さんこんにちはぁ!」
「おー綾ちゃん、いらっしゃ…
「あ!?」
っと思わず出た声を手で引っ込めた。店長が不思議そうな視線を向けてきたので慌てて首を振る
この子!朝の子だ!
マスクをしていたから気づかれる事はないのだけれど、背中に冷んやりと汗が滲むような変な緊張感が押し寄せてきた。
《世界は狭い、小説の世界は特にね!》