美術部、バイト、公園、サトシ様
ホームルームが終わって、真っ先に美術室へ向かった
顧問の先生の話を聞いたり先輩の作品を見せてもらったりと素晴らしい時間を過ごし、その場で入部届けを提出した。
入学式だったからなのか、美術室には先生しか居なかったけど見せてもらった作品は凄く凄く素晴らしいもので、いつか先輩に会って色々教えてもらおう!と脳内お花畑状態で美術室を後にした。
ただ、ひとつ、問題なのは画材だ。
ばーちゃんに言えば買ってくれると思うけど、どうだろう。美術部より柔道部に入れと言われたらちょっと面倒だ。
……となると自分で稼ぐしかない!バイトだ!!
次から次へと新しい事が増えて行くような気がして、興奮するぜ!!と鼻息荒く校舎を出ると
なにやらざわざわと大勢の声がしてその方向へ目をやる
学校のすぐ隣にある公園に女子が集まっているみたい。
不思議に思っていると、あ!と香奈ちゃんの言葉を思い出した
この人混みの中に香奈ちゃんは居るのだろうか?それにしても、一体何の騒ぎだろう……?
人の隙間から視力2、0を発揮すべく公園内を覗いてみると黒い集団が見えた
あれは……男子?
黒い色は学ランじゃないかと思っていたら、周りの女子がキャアキャアと騒いでいる中で
「サトシ様」という名前が良く出てくる
一番人気はサトシ様か……
どんなかっこいい人なのか1度見てみたいと思ったがそれよりバイト探さないと
香奈ちゃんには会えなくて残念だったけどまた寮に帰ったら謝ろう、そう思って人混みから脱出をした。
《ちなみに、耳も、鼻も、よく通ります》