おかえり、ただいま、赤道、写メ
「あー!おかぁーえりぃ!」
「っ!ただいま!」
寮に戻ると、香奈ちゃんが笑顔で迎えてくれた。なんだかホッとする。さっきの事全部、その笑顔で忘れさせて!なんつって!
気分を切り替えて「公園に行ったけど人混みが凄くて見つけられなかったよ」と笑ながら言うと、ぐふぐふと笑う香奈ちゃん。
その様子を部屋着に着替えながら不思議に思ってると「ジャジャーン!」と効果音付きで、携帯画面を見せてきた。
楽しそうだな香奈さんや。そう思いながら画面を見た瞬間、体が宙に浮いた
「ひぃ!?」
「……ま、真子ちゃん?」
そんな私を今度は香奈ちゃんが不思議そうに見て、画面を確認しながら首を傾げていた。
「ど、どうして……何でその人写メ?」
「どうしてって…今日公園で撮ったの!坂男の中で1番カッコイイよねぇー!!
真子ちゃんは赤道智志様の写メ撮れなかったのぉ?」
うわぁ……赤道智志ってあの一番人気のサトシ様と同一人物?そういえば顔は良いのにって私も一瞬思いましたけど。もう二度と見る事は無いだろうとも思いましたけど。
「……写メ、は、撮らなかったな、ははは」
「不良って感じ?ワイルドな感じ?カッコ良かったよねぇ!あーんあの厚い胸板で抱きしめて欲しいぃー!」
そんな事したらあの彼女さん、もっと怒るだろうなぁ……なんて思いながら、写メを送るよ!と言い出した香奈ちゃんを必死に止めた。
《ただいま、か、》