ゲーム開幕
『皆さんおはようございます』
テレビの画面には白い背景と黒い文字だけが映った。
『皆さんは村人ですが、この中に二人の人狼が紛れているようです』
『村人の皆さんはこの人狼を全滅させてください』
『人狼の人は村人と同じ数になるように村人を食べてください』
レオナ「これって…」
ユウタ「明らかに人狼ゲームだよな」
『毎晩夜9時になりましたら皆さんこの部屋に集まってください』
『夜9時から10時の間に投票をし、人狼と思われる人物を1人殺してください。殺し方は自由です』
『殺せなかった場合、全員死亡します』
『夜1時から2時の間は全員各個室に1人ずつ入り、部屋から出ないようにしてください。』
『ただしこの時人狼だけは部屋から出ることができ、1時から2時の間に村人を1人殺してください』
『殺せなかった場合、全員死亡します』
アール「おいおいなんかこれまずくね?」
ゼロ「人狼ゲームのリアル版ですね」
『皆さんの体内に即効性の毒薬を仕掛けました。ルールに反したりした場合、無条件に死亡します』
『村人、人狼のどちらかの生き残りが確定した時点で、勝利した方は自由の身となります。
正面玄関を出たところに解毒剤がおいてあるので、それを使用してください』
『なお、村人の中には預言者が1名存在します。人狼は2名存在します。他の人は村人です』
『各個人の役職は各小部屋に役職が書かれたカードと説明があります』
『それを他人に見せたり、見ようとした者は死亡します。既に死亡した人のカードを見た場合も同様です』
『それではそれぞれ頑張って生き延びてください』
再びブンと音をたてて画面は真っ暗になった。
カズ『なに…これ』
アール「…そろそろユウタネタバレいていいよ」
ユウタ「だからマジで俺じゃないって」
サクラ「殺すとか死ぬとかこれ本当なんですか?」
カズ「何にしても今まだ昼の3時だし一旦個室に行ってみよう」
ゼロ「部屋に役職あるとか、いってましたもんね」
ユウタ「じゃぁ皆9時前までは自由に過ごすってことでいいかな」
アール「了解」
サクラ「わかりました」
カズ「よし行こうぜ」
各々が立ち上がり、小部屋に向かった。
小部屋の扉にはネームプレートが貼られており、
ネット上のニックネームが書かれてあった。
ユウタ、と書かれたネームプレートのが貼られた扉の中に入った。
中はまるでホテルの一室で、アナログテレビ、シングルベッド、洗面所、ソファなど一式揃っている。
そして問題の役職カードが入ってると思われる封筒がベッドの上におかれていた。
黒い封筒の中を恐る恐る開けて中身を確認した。
一枚の黒いカードのみが入っていた。
『ユウタ(18)あなたは村人です』
ひとまず自分が人狼出ないことに安心し、ベッドに横になった。
(本当に人が死んだりするのかわからないけど、皆人狼ゲーム経験者で、しかもお互い何度もゲームをしている。
慎重に行動しなければ…)
コンコン。
部屋の扉にノックされ、ビクッとした。
サクラ「ユウタさん?あの部屋に入ってもいいですか?」
ユウタは咄嗟に役職カードをベッドの下に隠した。
ユウタ「ごめん、いいよ」
サクラ「すみません。お邪魔します」
サクラが部屋に入ってくると若い女性というからか、妙に緊張してきた。
サクラ「あれ?この部屋で少し暖かいような気がするんですが…気のせいですかね」
この部屋には特に暖房等といったものは設置されていない。
ユウタ「うーん。他の部屋入ってないから分からないけど特に暖めるものはないし気のせいじゃないかな」
サクラ「そうですよねっ私結構寒がりなんで人の部屋に入って錯覚してしまいましたっ」
サクラの無邪気な微笑みに顔が緩む。
ユウタ「ところでどうしたんだ?何かあったか?」
サクラ「あ、特にこれといった用事はないんですけど…ちょっと1人じゃ心細くて」
ユウタ「ああ、そう言うことなら構わないよ。怖いのは分かってるから」
サクラ「ユウタさんはこのゲーム本当に人が死んだりすると思いますか?」
ユウタ「…うん。正面の出入口もガッチリ固めてあるし窓もないから情報は外に漏れないし。
環境としては人を殺せるんだよね」
サクラ「…ですよね。でも皆今日会ったばっかですよね。人を殺せって言われても実感湧かないです」
ユウタ「それは俺も。俺たちどうなっちまうんだろうな」
サクラ「あの…しばらくここにいてもいいですか?」
ユウタ「うん。構わないよ。良かったらベッド使って」
サクラ「す、すみません。ありがとうございます」
ユウタの隣にサクラが座り、途端緊張感がまして何を話したらいいか分からなくなった。
しばらく無言のままでいると、サクラの方から話しかけてきた。
サクラ「ユウタさんって…結構モテますよね?カッコいいし優いし。彼女とかは要るんですか?」
ユウタ「え?ええ!?全然モテないってー、か、彼女なんかそんなもの…」
サクラは「えーウソだぁー。だって今だって割りとユウタさんの事私好きですよ?」
ユウタ「え、ええ!?ちょ、ちょっと!」
サクラ「あはは、ちょっとからかってみましたっ」
ユウタ「もぅー。勘弁してくれー」
サクラ「ユウタさん…じゃなくて馴れ馴れしいかもしれませんがユウタって読んでもいいですか?」
ユウタ「も、もちろんだよ!じ、じゃあ俺もサクラ、で」
サクラ「よらしくお願いしますね」
ユウタ「うん、よろしくね」
それからしばらく二人で他愛もない話をしていた。
ユウタからしてあっという間のひとときだった。
久しぶりのこの感覚。
サクラ「はぁー。ユウタと話してるととても楽しいけどそろそろ9時ですね…」
ユウタ「そうだな。行かなきゃな…」
サクラ「がんばりましょう!」
二人で広間に向かった。




