それぞれ
ユウタ「こんな状況だけどまずは皆名前くらいは知っときたいから簡単な自己紹介しよう」
頷く者と動じない者といるが、ユウタは積極的に仕切っていった。
ユウタ「俺の名前はユウタです18歳だけど留年していま高校二年生です」
自分の自己紹介を終えると、隣にいる先ほどの男性にお願いします、と小声でいった。
「…俺の名前はカズです。36歳で土木関係の仕事してます。よろしく」
長髪で後ろに髪を縛って、耳ピアスも開けている。
たが目付きは、とても優しそうだった。
ユウタは礼だけすると、そのまま時計回りに自己紹介をお願いした。
「私はサクラです。22歳大学生です」
統一感のある漆黒の髪色とセミロングで、まだあどけなさが残る顔つきである。
この時点でユウタはまさか、と疑問に思った。
10人いて3人は「狼」のメンバーと同じ名前である。
(まぁただの偶然か)
「俺はアツヤです。42歳ですけど色々あって無職です」
金髪のツーブロックで目が細く、ややキツイ顔つきをしている。
「僕の名前はゼロです。38歳です。名前は本名です。よろしくお願いします」
前髪が長く、片目しか見えていない。
だが姿勢の良さなどからしてとても優しいそうな印象だ。
するとユウタの右隣にいる女性が口を開いた。
「あの~。私の思い違いだったら失礼、オンラインチャットゲームで『狼』ってグループ知ってますか?」
ユウタ「あ!」
ユウタは今ここにいるメンバーが『狼』のメンバーであることを確信した。
ユウタ「やっぱりそうですか!俺も知ってます」
カズ「え?じゃぁ皆『狼』のメンバーなの?」
その問いには皆が頷いた。
カズ「そーなのか…でもなんで」
ユウタ「まずは一通り自己紹介を終えよう」
サクラ「まって。アツヤさん、ってだれかですか?」
アツヤ「ああ、ごめんごめん。『狼』だとナナで操作してました」
カズ「なんだお前ネカマかよー」
ナナ「まぁー皆『狼』でのニックネームだろ?俺のこともナナ、で呼んでくれ」
ユウタ「わかったよナナさん別に非難しないからよろしくね。
次の人お願い」
「僕はリョウです。15歳ですけどよろしくお願いします」
180センチ近くありそうな高身長で眼鏡をおり、気が小さそうで身を細めている。
「あ、俺か。俺アールです。25歳で調理師やってます。よろしく」
やや長髪を茶髪に染めて世間一般のイケメン、
に入ると思われる。
たが調理師、ということから、
マナーなどはしっかりしていそうだ。
「俺は18歳高3のマサ…です。よろしく」
ユウタの同い年であるが、留年の差から後輩になる。
どこにでもいそうな高校生の雰囲気だ。
「私はマイです。33歳主婦です」
艶々の茶髪ロングで優しそうな目をしている彼女は
見るからにお母さん、といった印象。
「最後に私ね。私はレオナですー。21歳だよー。皆よろしくね」
こちらも茶髪とロングで、元気ハツラツそうに笑顔をたやさない印象だ。
ピアスなどもしているが、良い印象だ。
ユウタ「おっけー。皆本当に『狼』メンバーなんだね」
アール「ちょユウター。まさかこれがオフ会じゃないよな?」
カズ「こんなオフ会あるかよ」
ユウタ「まぁもちろんだけどこれは俺が企画したものじゃない。
俺だって昨日寝てから起きたらここにいた」
レオナ「そういえば昨日リーダー寝落ちしちゃったもんねー」
ユウタ「ああ。悪いな」
昨日人狼ゲームの準備をしているところ睡魔にオソワレテ寝てしまったのか…
悪いことをしてしまった、と反省した。
アール「取り合えずこの建物調べますか」
ユウタ「一通り見てみたけど個室とお手洗い、この部屋くらいしかなかったよ」
カズ「そりゃ随分と分かりやすい設計だな」
サクラ「ちょっと皆さん!よく見たらそのテレビ台の下にビデオ置いてありますよ」
サクラは部屋の中央に置かれているのは、
アナログテレビとそのテレビ台の下にある黒いビデオテープをゆび指した。
レオナ「あー!ほんとだぁ!遠くて気が付かなかったー」
ユウタ「見て…みるか」
ゼロ「勝手に見て大丈夫ですかね」
カズ「どーせ暇だし、いーだろー」
サクラ「じゃぁ見ますよ」
サクラはビデオテープをビデオデッキに入れ、再生ボタンを押してからテレビの電源をつけた。
古めかしい黒いアナログテレビはブンと音をたてて光った。




