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人狼   作者: 華蝶風雪
第六章 人狼終了
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エピローグ


全てが終わる少し前。





『村人達の推理によって人狼は全滅しました。村人の皆さんお疲れ様でした。

正面玄関の扉のロックを解除したので、そこから解毒剤を取得し、自分に打ち込んでください』


『お疲れ様でした』


そして古めかしいアナログのテレビの画面はブツンと大きな音をたてて真っ暗になった。


カズ「本当に終ったのか…」


ユウタ「そう…みたいだな」


サクラ「3人しか助からないんですね…」


ユウタ「それでも俺達は頑張って生き延びたんだ」


カズ「多くの犠牲者を出したけどな…」


サクラ「本当ですよね…精神的にも体力的にも疲れました…それに今までネットとはいえ仲良くしていた仲間をほとんど失ったのですから…」


ユウタ「そうだよな。みんな…全部主催者が悪いんだ。

勝手にこんな形で殺し合わせて…」


カズ「悔しいがっても死んだ仲間は甦らないんだよな…はやく解毒剤を取りに行こう」


ユウタ「そうだな…サクラさん、大丈夫か?」


サクラ「ええ、大丈夫だから。行きましょう」


そして、三人は解毒剤のある正面玄関に足を進めた。


ゲームが終わるまで固く閉ざされた館の扉はとても冷酷的であった。


その扉をユウタが生きるという強い意志を持って開けた。


扉の外は大自然となっていて周りに木々が一面に広がっている。


森林の中にポツンと人狼の館は置かれているようだ。


そしてすぐ目の前にバーにあるような脚の長いテーブルが置いてあり、その上に注射器が7つ、白い透明の箱の中に置かれていた。


人狼ゲームのルール上、人狼が二人だから生き残れる最大人数は、村人7人である。


それがこの注射器の数の意味だ。


ユウタ「こんな皮肉なこと…」


カズ「まじで犯人ゆるさねぇ。ぶっ殺してやる」


サクラ「議論する前にはやく打ちましょう…」


ユウタは透明の箱を開けて注射器を3つ取り出した。それぞれカズとサクラに渡し、腕に注した。


注射器の中にある解毒剤を注入した二人を確認したユウタは自分に刺さっている注射器を外した。


カズ「おい、なにやってんだはやく打てユウタ」


ユウタ「…ふふふ…ははははは!」


カズ「ど、どうしたお前…」


サクラ「ユウタ…?」


すると突然カズとサクラは、自分で注射器を注した部分に激痛が走り、倒れこんで苦しみだした。


カズ「ユウタお前…まさか!」


ユウタ「ははは!悪いな二人供!この憎き死の人狼ゲームの主催者は、なんと俺でした!」


サクラ「そ…んな…しんじられ…ない!」


ユウタ「二人ともお疲れ様でした。俺はこの館の持ち主であり、この館の住人だ。

始めからここは俺の家だったんだよ」


カズ「てめぇ…ぶっころ…してやる…ぐぁぁああ!」


カズは怒りと憎しみを持ってユウタに近づくが、毒が全身を駆け回り、それどころではなく、のたうちまわった。


ユウタ「最後の最後で油断したな。皆をずっと騙し、最後まで真実に辿り着けなかった正体は、俺。大狼だ!」


サクラ「ユウタ…みんな…を…返して…。ユウタのこと…好きだったのに…」


毒が全身を回った二人は遂に絶命した。


ユウタ「終わった…後片付けしなきゃなー…。めんどくさい」


ユウタの留年した理由はこれであったのだ。


留年前からやっていた人狼ゲームに過度にはまってしまい、しばらくやっているうちに物足りなさを感じていた。


そんな時ユウタは叔父の別荘につれていってもらえる事になり、

その別荘がこの人狼の館である。


この別荘を見た途端、ユウタの思考にリアル人狼ゲーム、が思い浮かび、その実現を夢見た。


そして留年をし、リアル人狼ゲームの主催を決意したユウタは誘拐事件を装い、この別荘に自力で来たのだ。


そして準備をしている時訪れた叔父や家族は用意した武器で永遠の闇に葬った。


毒薬などはサイト等から調達し、その資金はスリで集めた。


準備が整うと、サイトで人狼のグループを作り、そこに集まった人を拉致していく。


さすがに一人で同日拉致は無理なので、何人か協力者を雇った。


グループメンバーに住所発信ウイルスを入れ、住所を特定。

現地に赴き、催眠薬で拉致する。


メンバー全員長野県に住んでいるため、一晩でなんとか拉致することができたのだ。


作業全体でヘマはしなかった。


警察に捕まるのは時間の問題であるが、成功したことにユウタは十分満足していた。


しかしながら子どもながらここまでやれたことを不思議に思うことと、とてつもない達成感で心が満たされた。


サクラが初日に部屋に来て部屋の温度の高さに気づかれたのには正直焦ったが、熱源であるパソコンはちゃんと隠しておいてあったので支障はなかったはず。


自分が人狼ゲーム主催者であり、同時に参加者である以上決して人狼や投票で死んではならない。


その点は最高にスリルを味わえた。

今でもゾクゾクする。


といっても常に常備している小型リモコン一つで自分以外の全員を毒で殺す事ができるが、

それではつまらないしせっかくの準備を台無しにする気分になる。


そういう意味でも本気で人狼ゲームを楽しめた。


因みに役職は本当にランダムで、封筒に入れたものを自分含めて適当に配った。


ユウタ「最高に楽しかったなー。次は俺が人狼ってのもありだな」


そうして人狼の館はこれからも血を流していく。







ありがとうございましたー

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