表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼   作者: 華蝶風雪
第四章 人狼三日目
16/23

メモ



三日目午後9時。


ユウタ「お、遅れてすいません!考え事してたら集中しすぎてて…」


ユウタが広間に入ったのは9時ジャストであった。


カズ「おま…間に合ったのか…」


ユウタ「そう…みたいだ…」


レオナ「危なかったわね。ここに来てルール無視で死ぬなんてシャレにならないわよ」


ユウタ「気を付けます…」


カズ「じゃあ揃ったし話し合うか……」


「……」


これまで寝るときすら神経を削らされ、疲労は皆ピークに達しているはず。

その上さらにまた削らされる。


誰も喋らないのは無理はなかった。


アール「どうする…か」


ユウタ「……なぁ。いっそ一日目みたいに投票するか?」


ゼロ「それは…ランダムってことですか」


レオナ「ユウタ!…今の状況わかってるの?もう人が居ないのよ!?」


サクラ「ユウタこんなときに何いってんの!もっとしっかり考えようよ」


アール「サクラさんの言うとおりだ。ユウタ」


ユウタ「じゃぁ何か分かったのかよ」


アール「それを今から皆で考えるんだろ」


カズ「まぁ…でも俺は賛成だけどな。その方が気が楽だ」


アール「そんなこと言ってお前が投票さらたらどーすんだよ」


カズ「別に構わないさ。もう、こんなことして生きてるの馬鹿馬鹿しく思えてきた。

まだ生きたいって思ってる人の為にカッコよく死んでやるよ」


サクラ「カズさん馬鹿な事言わないでください!自分から死を選ぶなんておかしいです!」


カズ「そんなこといってもサクラさんはまだ生きたいんでしょう?」


サクラ「…それは…そうですけど」


カズ「人殺してまで生きたいなんて思わないよ。もういいんだ。俺を投票しろ」


ゼロ「僕はカズさんとは別で疑ってる人がいるのでそういう意味で投票はしたいですね」


ユウタ「疑ってる人?」


ゼロ「はい。でも投票まで言いません。それに皆わかっているでしょう? 」


ユウタ「…そうだな。俺もおそらくゼロさんと同じだ」


サクラ「ユウタ意見あるなら言ってよ!何だまってんのよ!」


レオナ「そうよ!リーダーのくせに…。それにナナさんの左手のメモの事まだ終わってないじゃない!」


カズ「…あれ?」


ユウタ「…レオナさん。メモは右手に握られてましたよ?」


レオナ「あ…いい間違えてたわ。それよりもあのメモのこと。私の推測だとー」


ユウタ「別に俺は皆にメモのこと公表したときに『手に握られていた』と言っただけで、右手とか左手に握っていたなんて一言もいってない!」


アール「右手に握ってたこと知ってたの死体を運んだ俺とユウタとカズさんだよね」


ユウタ「最初に何で左手に握ってたなんて言ったのか分からないけど、これでレオナさんがメモあのメモを握らせたことがハッキリしました」


レオナ「ちょっと待ってよ!言い違えだって!あんなメモ初めて見たし!そもそも何で自分で自分のこと人狼だって言う必要があるの!」


ユウタ「混乱させるためだろ。敢えて自分を疑わせておいてそれを断固否定する。

皆の集中力だって削れる。結果としてはプラマイゼロだからな!」


カズ「なんで自分でリスクを負ってまでメモのこと今持ってきたんだ…」


レオナ「皆ちゃんと話し合おうとしないからメモについて聞いてみただけだよ!何で私を疑うの…」


サクラ「あ、ああの…話聞いててわかりました。やっぱりレオナさんは……人狼です…」


レオナ「な…なにいってんだよお前まで!」


カズ「サクラさんどう言うことだ?」


サクラ「えっと…。レオナさんがメモを握らせたことは分かりました。

でも最初無意識に左手って、言いましたよね。私見たんです。ナナさんの左手にメモが握られてた事。」


ユウタ「サクラ…さん。それはつまり…?」


サクラ「私…こう見えても行動力はあるんです。実は今日の午前2時になった直後にナナさんの部屋に確認しに行きました。」


カズ「つまり人狼の行動時間が終わった直後だな」


サクラ「ええ。それでいち早くナナさんの左手にメモが握られてるところを発見したんです。

それで、人狼を発見できるかも知れないと思って右手にすり替えました」


ユウタ「…なるほど…メモはそのまますり替えたのか?」


サクラ「いえ…これもまた私がすり替えました」


ユウタ「じゃあ…元々握られていたのは?」


サクラ「えっと、『レオナしろ』でした。」


そういってポケットからくしゃくしゃのメモをとりだし、皆に見せた。


しろ、の部分だけ汚くなっているのは同じだ。


レオナ「サクラさん…あなたがすり替えたなら私が本当の白かも知れないじゃない!」


ユウタ「いいや、レオナさん。さっき貴方は俺とカズさんとアールさんしか知らない事を知っていて暴露した。それが証拠となりうるものだ」


カズ「まって…ノートってゼロさんしか、もってないんじゃないの?」


サクラ「いえ…本当にごめんなさい。実は本当は各部屋にノートが1人一冊ずつ置いてあったんです。

でもこれもまた人狼見つけ出す策になるとおもって…皆のを回収しました。

ゼロさんにだけは一冊渡したんです

勝手なことしてごめなんさい」


カズ「なんで…ゼロさん?」


ゼロ「僕もこの部屋で目覚めてからすぐに建物を探索しました。

その時に大量のノートを抱えたサクラさんとバッタリ会ってしまいました」


サクラ「理由は話して一冊渡したってことです」


カズ「…なるほどね」


アール「ところで最初のメモには…なんと?」


サクラ「『レオナ しろ』です…」


ユウタ「…なるほど。レオナさんが自分のこと黒っていうのはおかしいと思ってたがやっぱり最初は自分のこと白ってことにしたわけだな」


カズ「でもそのあとサクラさんにレオナさんは黒って書かれてパニックになった…」


アール「元々ナナさんはレオナさんの事を予言して事実をメモには記されたから白にした、が自然だな」


ゼロ「結論付きましたね」


レオナ「み…みんな…」


ユウタ「レオナさん…責めるように言ってごめん。ランダムに選ばれた被害者なのはわかってる。でも少しでも生き残りを増やすためなんだ。本当にごめん」


レオナ「……」


レオナはうつむき、絶望したような声で言った。


レオナ「…私が……人狼です…」
























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ