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冬馬君の日常  作者: だかずお
4/16

スーパー銭湯に行く




『スーパー銭湯に行く』



三人は冬馬君の家に帰った。


帰ってもしばらくは思い出して笑ってしまう、やっぱきみ子はすごい。


家に着いた時には17時を過ぎた時刻


「 パパが帰って来てから スーパー銭湯に行くよ」と正子が言った


「はーい」


三人は二階にかけあがる。

多網も久しぶりの冬馬君の部屋の景色に和んだようだった。


「懐かしい、この部屋」と嬉しそう


三人はさっそく部屋に布団を敷く

「これこれ この部屋が布団を敷いて、いっぱいになる 」冬馬君ははしゃいでいた、あの夏の日々を思いだす。


布団も敷いて、いつでもくつろげる、準備は万端だ!


右側に大喜が、真ん中に冬馬君、左側に多網が寝る感じになった。


「やったー冬馬の家旅行だ 夜はみんなで過ごせる」

大喜もテンションが上がってる


やはり泊まりに行く夜が始まる前などはワクワクする


そのうちに隆が帰って来た。


下から正子が

「みんな、そろそろ行くよー」


「はあい」


三人は下にかけて行く


ブゥウーン 出発



外はもう夜 真っ暗だ


「こんだけ寒いと温泉気持ち良さそうだ」隆は車の窓を開けて夜風を肌に感じながら言った。


車はスーパー銭湯に着き

「さて、あったまるぞー」


チケットを買って男湯 女湯に別れる


「多分俺たちのが先にあがってるだろうから、出たらそこの食事出来るお座敷に座ってるよ」と隆が正子に言っていた。


三人は隆をおいて着替える所に、先に一目散に向かった

ロッカーに服をいれて、いざ風呂場へ


すると、冬馬君が身体を洗ってる横に10歳くらいの男の子が。

見ているとシャンプーの中に水などをいれてイタズラしている


その男の子はその場を離れて他に行った。

そこへ何も知らない多網が来て、シャンプーを使っている


「多網、そこのシャンプー今、男の子が水いれて、ほとんど水なんじゃない」


近くで見ていた男の子は笑っている


多網の顔はカッと怒りからか、赤くなっていた。


冬馬君はさっそく外の露天風呂に向かい

外に向かう、ドアを開けると 外の冷たい空気が身体に触れ

ひゃー寒い はやく湯に浸かりたい。


でも、この寒さがまた何とも言えない


寒い 寒い お風呂に浸かり


「ぷはーっ 最高だ」


冷たい空気がお湯に浸かってない肌に触れる寒さと、お湯に浸かってる部分の温かい感じを同時に感じて、何とも心地良かった


暫くすると大喜も、寒い 寒いと言いながら冬馬君の浸かってる風呂に来る


「いやー、あったけー」大喜はご機嫌ニッコリ笑顔


すると、さっきの男の子も外に出て来た


外には二つの露天風呂


寝転びながら浸かれる寝湯が三つあった。

男の子は冬馬君達が入ってない方の風呂に行った。


「いやー気持ち良いね」冬馬君が大喜に言う


「うん、最高 外はこんなに寒いのに、お湯の中はあったかいや」


すると多網も外に出て来る


見てると、よっぽど寒かったのか身体を丸めて小走りでこっちに向かってくる。


その時だった、さっきの男の子が多網の前に立つ


多網は男の子をよけて右に、すると男の子も前を塞ぐように右に


多網は左に行こうと、男の子も左に


キーっ 多網は寒いらしく、はやくお湯に浸かりたかった


右に行こうとすると、男の子もそちらに来て、なかなか通れない


多網は風呂に浸かっていないにもかかわらず、茹でタコの様に顔は真っ赤になっていた。


あれは怒りの顔だと、眉間のしわをみて冬馬君は察する。


やっとのことで男の子をよけ多網は風呂に浸かった。


「あの子はわざとやったのかな?」冬馬君は多網にどう思ってるかきいてみた。


多網は返事せず、ただカッカしている


大喜はそれを見て大笑い


冬馬君達が入ってる風呂に、他に二人のおじさん、一人の老人が浸かっていて、すぐそこに、あの男の子が。なんと多網のすぐ横に座っている。


みんな話をせず ただ静かにお湯に浸かってシーンとしている。


その時だった 湯の中からブクブクブク


これはオナラだ


多網の隣にいた男の子は、多網の顔を見てビックリした顔をした


それを見ていた人達は多網のオナラだと、クスクス笑い始める。


冬馬君達も「多網」と、言っては笑った


多網は確信していた。

このガキめ 俺のせいにしたな


多網は怒った

さっきのバイはある威力のオナラをして、こいつのせいにしてやる


ブリブリ 多網は勢いよく、力み過ぎた


ブクブクすさまじい音。

確かにさっきのバイはあるであろうオナラだと言うことは一目瞭然

だが、だからこそ 発信元はすぐに誰だか分かった。


しかし、一番の失態は力み過ぎて ミが出かかってしまったのだ


多網はケツをおさまえて、走って出て行ってしまった。


あの光景、夏のプールでも似たのを見たなと、冬馬君は思いだし笑う。


プリプリケツが再び走り去る


その後、その露天風呂の中は爆笑に包まれている


そのうちに隆もやってきて


「あーいい湯だ こりゃたまらん」


冬馬君達は少しのぼせたので、寝湯に移動した。


「こりゃ気持ち良い」


二人が寝湯で寝てると多網は戻ってきた。後一つ寝湯があったのでこちらに向かって来た。

だが、男の子は走って来て多網を抜いては寝湯に寝っ転がってしまったのだ。


多網は真っ赤になっていた


まるで真っ赤なチンパンジーの様


じっと、怒りの形相で男の子を睨んでいる


今にもあの子に噛みつくんじゃないかと、心配になった冬馬君は寝湯を多網に譲った。


しかし、あの男の子は多網が嫌いなんだろうか?


冬馬君は室内のお湯に浸かりに行く


すると男の子が横に


冬馬君はきいてみた

「さっきの人は僕の親戚の多網って言うんだけど、君嫌いなの?」


男の子は返事に困った様子をみせたが


口を開く

「僕お母さんと来たから、こっちで一人で寂しいんだ、だから誰かと遊びたくて」


「何だそんな事か」


「僕達と良かったら一緒にいていいよ」


「本当?」男の子は嬉しそうだった


そこに大喜も来て


大喜にも事情を話、三人で風呂に浸かっていた


多網もこちらに来たが、遠目から、あの男の子をじっと睨んでいる


冬馬君は多網に事情を話した


すると男の子が「さっきはごめんなさい」多網に謝る。


多網は急にオナラをした


ブクブクブク


「仲直り」


冬馬君と大喜は笑った。全く意味の分からない仲直り方法に


まあ、とにかく良かった


外では隆は空を眺め湯に浸っている。

そして子供達の様子を眺めては、自分が子供の頃に、親に銭湯に連れて行ってもらった事などを、思い出してはしみじみとしていた


いつの間にやら自分が、自分の子供を連れて来てるんだもんな


あっという間だ


何だか急に自分の親に何かしてやりたいな、などと思っては 微笑んだ。


いつまでも自分の親や家族が元気でいてくれたらなぁ など考えていた。

当たり前にある日常

それが何とも幸せに感じた


当たり前にあるものはついつい、そこにあるありがたみを忘れがちになってしまう時がある。

ふとリラックスした拍子に隆は、当たり前にある日常をありがたく思っていた、「こんなこと、しみじみ感じるなんてお風呂の魔法かな」隆は一人つぶやき笑う。


お風呂を出る頃には、男の子ともすっかり仲良くなっていた子供達。


着替えも終え外に出てから隆がみんなにジュースを買ってくれて飲んでいた


するとその子のお母さんが


「あら すみませんうちの子にまでジュースを」


「いや、良いんですよ」


「お兄ちゃん達がいっぱい遊んでくれたんだ」


「あら、良かったわね 本当にありがとうございました」


男の子とお母さんは挨拶をして帰って行った。男の子はよっぽど楽しかったのか三人と別れるのが、少し寂しそうだった


多網も何だか寂しそうな顔をしていた。


「また」 多網が珍しく叫ぶ


男の子はずっと ずっと いつまでも、手を振っていた


こういう出会いも良いものだ と冬馬君は思った


「さて、そこで夕飯にしよう」


ちょうど席に座ってすぐ正子も風呂から出て来る

みんなで合流し夕食タイム


「あーサッパリした」


「良い湯だったね」


大人たちもご満悦の様だった


「さてと、そろそろ帰ろうか もう22時になるんだね」正子が言った。


帰りの車の中はポカポカ暖かかった



「ただいまー」


三人は二階にあがり、布団の上に


「あー部屋落ちつくな」冬馬君は寝転んでくつろいだ。

そして部屋いっぱいに敷き詰められた布団を見てなんだか、また嬉しくなった。


「冬馬の部屋落ちつくね。もう、布団も敷いてあるし楽ちんだ。ここに寝転ぶと、夏中夜中まで語り合った日々を思い出すよ」と大喜


「みんなで話ながら寝れる最高だね」


冬馬君もずっと一人だったから、今日二人が部屋に泊まって賑やかなのは凄く嬉しかった


すると多網が「今日も寝ないよ」


そうこなくっちゃ


「よーし今日の夜中もまだまだ遊ぶぞー」


「おーっ」


三人の夜はまだまたこれからだった




つづく


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