きみ子再び
『きみ子再び』
二人はさっそく清香達の話をしている。
「夏休み以来連絡とってないね」冬馬君は少し心配そうに言う。
「ねっ、もう随分会ってない気がするよ、早くアミにも会いたいな」大喜も同じ気持ちだった。
下から突然、正子が冬馬君を呼ぶ
「ねえ多網からまた電話よ」
「えっ、何だろう ちょっと行って来る」
「もしもし多網どうしたの?」
二階では多網どうしたんだろう?来れなくなったのかなと、大喜は考えたりしていた。
暫くして冬馬君が戻って来る
「多網何だって?」
「前に会った多網のガールフレンドみたいな人?きみ子覚えてる?」
「もちろん」
「今その人とうちの近くの公園にいるから来ないかって」
「行こうか」
二人は、さっそく公園に向かう事にした。
公園にはブランコに乗った二人の姿が、多網は手をあげて挨拶している
相変わらず上下真っ黒な服に角刈り、隣には正反対にずいぶんカラフルな服を着たきみ子がいた
「二人とも久しぶり元気だった?」
夏休み以来のきみ子だ。
「うん、元気」
突然多網はみんなの前でかっこつけようとしたのか、いきなり目をカッと見開き、そしてブランコから飛び降りた、着地は見事失敗し転がる多網
それを見た、きみ子がブワッハッハッハ 腹をかかえて笑っていた
多網は何事もなかったように立ち上がりズボンをはたく
何なんだろうこの流れ?
やっぱり変な二人だと冬馬君と大喜は笑う。
「そうだシーソーやろうよ」きみ子の提案
冬馬君ときみ子が一方に、もう片方に大喜と多網が
冬馬君と、きみ子のほうが下にずっしり下がり動かなくなる
「君、重いんかな」ときみ子は言い
きみ子は多網と場所を変わる
きみ子の方はまた、ずっしり下がり動かなかった。
きみ子は「シーソーやめよう」と言い急に降り、その反動で冬馬君と多網は地面に急に落ち、急所をうった冬馬君は、いたたと飛び跳ねている。
多網はよほど痛かったのか、悲痛な顔を浮かべ硬直中
あははは 大喜は大爆笑
ゴメンと言い きみ子はこらえられず ぶふふと笑った。
きみ子は、お詫びのしるしとして、みんなにアイスを買って来た。この寒い中 アイスを買ってくるのが、きみ子らしかった。
みんなが寒い中アイスを食べてる時、それは起こる。
ふと、見るときみ子の足元に大きなウンチが
「きみ子さん危ない」
とっさに叫んだ自分が何故、きみ子に「さん」をつけたのか分からなかったが。
きみ子がウンコ ふんだ
「どうしたの?急に大きい声ビックリするじゃない」
きみ子は全く気付いていない
冬馬君は一瞬言おうかと思ったが黙ってる事に。
不運にもそれに気付いてしまった大喜は、手で顔を覆い必死に笑わないように頑張っていた。
たまに見える大喜の顔は笑いをこらえる為、真っ赤になっていたのだった。
その時きみ子が
「何か嫌だ臭くない 多網こかないでよ」と言った
大喜はまた手で顔を覆った、顔は真っ赤だ。
冬馬君もそれを見て、笑いが堪えられなくなり下を向く
たっ、たのむ 頼むからきみ子、今話かけないでくれ まともに会話出来る自信は全くない。
少し遅れて多網が「屁してない」とポツリとつぶやく
「おっかしいな何か臭うんだよ」と、きみ子は言い何故か自分のワキの匂いをかいでいた。
前にも思った事だが、これが清香でなくて本当に良かった。
多網が、きみ子のどこに惚れたのか全く分からなかった。
確かに顔と雰囲気がどことなく、多網に似ているような。
「それじゃあ冬馬君?」
まともに顔をあげて答えられなかった
笑ってるのがばれてしまうからだ、必死に笑いをこらえ顔は真っ赤だ。
臭いのもとは、まさかあんたの足の下だとは口が裂けても言えなかった
下をうつむきながら首を横にふるのが精一杯である。
「えっ、じゃあ、こいたの大喜?」
その聞き方もレディーとしては、なかなか。
大喜は限界だった。笑いをこらえながら返事をした為、声が裏返ってしまう。
「違うよ」
腕で顔を隠して答える
「不思議だなぁ?私はこいてないからね」きみ子は言った
暫くの沈黙の後
臭いが不快だったからかはわからなかったが、きみ子が
「さてと、みんなは今日冬馬君のうちに泊まるんでしょ」
「私はお邪魔だろうし、そろそろ帰るよ」と言った。
そして立ち上がった瞬間確かにきみ子は言った
あっ 嘘と・・・
冬馬君は、聴き逃さなかった。
きみ子は不自然に、まだここにいると言いベンチに再び座りこんだ。
ウンコふんだのを隠すつもりの様だ。
それを察した 冬馬君と大喜は分かった、また、とすぐに立ち上がる
しかし多網が「家まで送るよ」と席をたたなかった
明らかにきみ子の顔は眉間にしわがよっていたが、多網は全く気付いていない
「多網行こうよ」冬馬君が誘う
やっと多網は立ち上がり、その場を動く
きみ子から離れて二人とも大爆笑をした。やっぱきみ子は凄い
多網は何だか分からなかったが、二人にきみ子のよさが分かったのかと、満足気な笑みを浮かべている。
「あ きみ子に言うの忘れた」
と、つぶやいて突然多網は公園に走っていった 。
「まっ、まずい」
二人は多網を追っかける
公園の入り口で多網は笑っていた
ぷっぷくっくっくくく
よっぽどツボに入ったらしい
みるとベンチのイスで靴についたウンチを、必死にこすりつけてるきみ子がいた。
「ちっ ウンコ片付けろやー」
きみ子はわめいていた
冬馬君と大喜も声を殺して笑った
「きみ子がこっち振り向く前に逃げよう多網」
多網が返事する頃、時すでに遅し
きみ子は足をベンチにこすりながら後ろを振り返ってみていた。
あはははは
あはははは
気まずい一瞬が流れ三人は手を振り帰っていた
帰り道、多網はケラケラ笑っている。
きみ子が ウンコ踏んだ
きみ子がウンコ踏んだ
と言って
冬馬君も大喜も笑いが止まらなかった
いやー面白かったなあきみ子 最高だ
「明日から二連休 みんなこれからうちに泊りにくるし、最高だ」
さて、お家に帰ろう!!
「今日はこれからみんなでお風呂に行くんだよ」冬馬君は多網にも今日のプランを伝える。
多網もニッコリご機嫌だ
三人で過ごす休日が始まった
つづく




