ご機嫌冬馬君
『ご機嫌冬馬君』
夜、部屋の机で冬馬君は清香の事を想っていた。
会いたいなぁ
でも、電話するのも何だか恥ずかしいような、そんなモヤモヤした気分
「やっぱり大喜と計画たてて連絡するのがいいか」
このまま、会わないで、そのうちもう会えなくなるんじゃないかと冬馬君は心配していた。
前に会ってからもう随分連絡もしてないし、会ってもいない
あのパッチリとした瞳に可愛らしい声、冬馬君はため息をついた
「どうしてるかなぁ?」
冬の冷たい風が窓を揺らしていた。
もう随分寒くなったなぁ。
あの夏休み、半袖で過ごしてた日々が懐かしい
しかし 冬馬君はニッコリ笑う。
もうすぐ冬休み
今年の冬休みが、もう今から待ち遠しかった。きっと大喜や多網も泊りに来るだろう、クリスマスに大晦日
冬馬君は、テンションがあがり飛び跳ねた。
冬馬マリオがジャンプするような光景 ピョン
「そうだ、冬休みに清香とアミを誘って、大喜と四人で遊べば良いんだ」
ピョン ピョン 冬馬マリオが二回連続ジャンプをする
冬馬君は大ご機嫌
「お風呂入っちゃいなさい」下から正子が言った
「はぁーい」
やっぱり休みが近いと自然とウキウキしてしまう、冬馬君であった。
洋服を脱いで風呂場に入る
「あー寒い、寒い」
シャワーを浴びて、さっそく湯槽に浸かった。
「ぷはーっ、冬のお風呂は最高だなぁ」
「極楽、極楽」
冬休みが近いおかげで、あれだけ嫌いな学校が苦にならない
もうすぐ冬休みにクリスマス
今年の冬も楽しくなりそうだ
「いやー最高だ」暖かいお湯の中、一人ニンマリ笑っていた
その時だった
「おーい冬馬電話だよ」父 隆の声だ
「誰?」
「清香ちゃん」
そこからの冬馬君は、凄まじい敏速な動きだった、電話口まで一瞬の無駄もない動き、びしょ濡れのまま、全裸、ケツ丸出しで冬馬マリオのビーダッシュ、まさに、スターをとったマリオの様である。
それを見た正子が「ちょっとあんた、何してるの!」冬馬君の清香への気持ちが分かり笑ってしまった。
「もしもし、ひっ久しぶり」
「急に電話してごめんね、今大丈夫だった?」
「ああ、もちろん全然問題ないよ」
全裸で、ケツ丸出し 廊下はビチョビチョだった
その光景を部屋からこっそり見てる、隆と正子は大笑い
「あのね、アミが冬休み映画のチケット、抽選で四枚当たったから、二人誘ってみんなで行こうって、大丈夫か二人にきいてみてって、言われたから電話したのどうかな?」
「もちろん、大喜もきっと喜ぶよ」
「そう、じゃまた冬休み入ってから連絡するね」
「うん、じゃあまた」
「うん、じゃあ」
久しぶりの清香の声
うっ嬉しい ヒャッホー
冬馬マリオは電話口の所、全裸で少なくとも八回は飛んだ ピョン ピョン ピョン
ようやく寒さを思い出し
「あーさぶっ」と言って風呂場に走って戻って行った。
その光景を影でみていた隆と正子は、まだ大笑いである。
「あー早く大喜に伝えてあげたい、顔はニンマリ、大ご機嫌な冬馬君であった。
風呂の中では、何度も清香と電話で話したことを思い返しては、また一人で嬉しくなっていた。
外では、隆がビショビショになった電話機の下を拭いている
お風呂から出て来た、冬馬君の顔もニンマリ笑っていた 。
廊下で、ピョン またピョン ピョン
もはやコントローラーが壊れたマリオである
「おやすみなさい、お母様、お父様」と階段を上がって行く
「相当ご機嫌だな」
「ええ、ふられなきゃいいけど」と正子は苦笑いした
冬馬君は布団の中も、電話で話したことを思い出しては嬉しくなり、ニンマリ笑顔だった
冬休み前の日々
一体今年の冬休みはどんな事が待ち受けているんだろうか?
冬馬君は口ずさんでいた
「ジングルベル ジングルベル 鈴がなる」
のほほんとした日々の中、冬休みまでもう少し
つづく




