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冬馬君の日常  作者: だかずお
11/16

イライラ冬馬君




『イライラ冬馬君』



学校から帰ってきた冬馬君は、ご機嫌である。


「やったー家でのくつろぎタイムだ」


冬馬君は自分の部屋の机の引き出しを開けて、お気に入りのカードを眺めようとした。気に入ってる物をわけもなく眺める、これまたなんだか気持ちが高揚するのだ。


ワクワク ワクワク


「あれっない」


「どこだろう?」

どこを探しても見当たらなかった。



「あれ~っ、ないな」



結局一時間くらい部屋を探したが全く見当たらない。冬馬君はイライラしていた


「あーなんでないんだよ、むかつくなぁ」ついに独り言がでるようになる


「なんだよー、なんでないのあー」


下に降りていき、正子にたずねた。

「お母さん、僕のカード知らない?」少し怒り気味である


「知らないわよ」


「どこにも、ないんだよね、どっかしまったんじゃないの?」


「触らないわよ、自分でどっか置いたんじゃないの?」


冬馬君はぷんすか怒り二階にあがった


探しもの、何だか見つからないと落ち着かないのである、しかもお気に入りのカード。

こういう時、とにかくイライラする。



冬馬君は必死に探した。しかし、いっこうに出てこない


「あーもうイライラするなぁ」


「あームシャクシャする」


怒って部屋のヌイグルミを投げたりした


そして足で床をドンドンやっている。


「静かにしなさい!」

下から正子が怒って声をだす


冬馬君は「もういいよ」と叫び、壁をたたいた


イライラはとまらない


下に降りて行き、リビングのテレビで、DVDを観ることにした。

しかし、見つからない気持ちの悪さは残っている、もちろんイライラも。

気分転換だ。

DVDをいれるといつも映るのに映像が乱れうまく映らない。



「あれぇ?」


冬馬君の怒りがまたこみあげてきた


気づけば、機械に向かって叫んでいる


「次いれて、映らなかったらすてちゃうからな!!」


ディスクを入れて、映るのをまった。

この間が何ともじれったく、またイライラさせる、こういう時はちょっとしたことでイライラしてしまう。



音がなった



映像を観ると画面に線が入りうまく映らない



「あーもう」冬馬君は怒鳴り


そして機械を叩いた、とんだとばっちりを受ける機械ちゃん。


「全然使えないよこれ」


「さっきから何してるの?ものにあたってもしょうがないでしょ」

正子も飽きれた様子だ


「あーっ」

冬馬君の怒りはおさまらず


二階にかけあがった。

二階に上がる階段の足音が、いつもの二倍は音が大きくうるさい。


冬馬君はこういうイライラをどこにぶつければいいのかわからず、ものをよく叩いた。


「カードも、どこにいったんだよ、あーもうっ」


今は机を叩いている



その時ピンポーン



玄関を開けた正子が下から

「慎司が遊びに来てくれたよ」



「えっ?」



冬馬君は下に降りていき、二人は外に遊びに行った


「イライラしてたし助かったわ」

正子はつぶやき苦笑い。


二人はいつもの川に向かって歩いている


「あのコンビニのお兄さんいるかな?」慎司が言った


「行ってみようか」


不思議なもんで、今はさっきのイライラはどこへやら、さっきほど感じなくなっていた。


コンビニに行くとお兄さんがレジをやっている


「こんにちわ」


「いらっしゃい!」


やはり冬馬君はこのお兄さんに会うと何故か心が癒された、優しい雰囲気のお兄ちゃんみたいに感じたからかも知れない。



二人は、そこでお菓子を買い川に向かう


「ありがとう、またね」

お兄さんはニッコリ微笑んでいた。

二人は川辺に座って、お菓子をさっそく食べている



「今や、あの夏休みがずいぶん前に感じるね」と冬馬君


「うん、あのキャンプ旅行楽しかったなぁ」と慎司


二人の夕暮れの川を見つめながらの話は続いている。


暫くすると後ろから声が

「相変わらずしぶい小学生だな」と、微笑んでお兄さんがきた


「ちょうど仕事終わったから、まだ二人ともいるかなと思って」


「はいこれ」

お兄さんは二人にお菓子を買ってきて渡してくれた。



「ありがとうございます」


今はお兄さんも加わり三人で話している


「今日は僕ずっとイライラしてたんです、お気に入りのカードは見つからないし、DVDはうまく映らないし」


「あはは僕もよくあるよ」


慎司もあるあると頷いていた


「みんな一緒だね」とお兄さんは微笑んだ


何だか冬馬君は嬉しかった。


今は気分はスッキリしている


「イライラする時はどうする?」と慎司がたずねた


「僕はイライラした時はものたたいたりして 怒ってる」と冬馬君


「小さい時は僕もよくそうしたな、何だかおさまらないよね」とお兄さんは笑った


「最近は怒るだけ怒ったら、なるべくすぐ気分転換するよ、ずっとイライラしてるのも何だか気分よくないしね」


「気分転換の秘訣はこれ」と、お兄さんは変な顔をした


二人はそれをみて大笑い


「鏡の前でこんな顔して見てると、何だか怒るのもバカらしくなってくるよ」


気分は自分でつくれる、出来事に反応してるだけじゃなくて良いんだ、選べるんだ。


どうせなら、喜んでいたい。

怒るだけ怒ったら、悲しむだけ悲しんだら、ほらまたニッコリ笑おう、一緒に笑おう!!


皆はニッコリ笑いあい

綺麗な夕焼けに染まる川を見つめながら、三人はいつまでも話していた。



「ただいまー」


家に帰り部屋に戻ると何だかカードのことがやっぱり気になり、また探し始めた しかし見つからない。

またイライラしはじめた、その時、ハッと思いお兄さんの言葉を思い出す。


鏡の前で変な顔をしてみた


一瞬、こんな時に変な顔をしてる自分に腹が立ち鏡を叩こうとしたが、そんな自分が何だかおかしくなり笑ってしまった


その時


「あっ!」


引き出しの隙間から下に落ちていたカードを発見。


「あったー」


冬馬君は喜んで飛び跳ねる


「あーっ」


よく見ると、カードは折れ曲がっていた


みるみると湧き上がる怒り


どこにも当たれない憤りが、再び湧き上がっていた


鏡に映る顔は多網ではないが、真っ赤になり湯でタコのよう


冬馬君は必死に変顔をした


凄まじい光景である



湯でタコが変顔


茹でタコが変顔



「冬馬ご飯よ」突然正子が部屋を覗く


「えっ?」正子は驚いて声をだしてしまった



茹でタコ変顔冬馬君と正子の目があったのだ。



「アハハハハハ」




「ハハハハハハ」




鏡に映る、茹でタコは変な顔で笑っている



正子もそれをみて苦笑いして笑っていた



アハハハハハ



あはははははは・・・




何とも笑えるカード紛失珍事だった。




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