冬馬君の日常
『冬馬君の日常』
(このお話は「冬馬君の夏休み」の続編です)
冬馬君はギリギリまで寝ていた、もっと、もっと、まだ寝れる
ハァー、今日も学校か
夏も終わり
だんだん寒くなってきている、冬馬君は布団から全く出たくなかった。
行きたくない小学校に、わざわざこんなはやくに起きて行くなんて、嫌だなあ気分は全く乗らなかった。
ああ、夏休みに戻りたい
みんなが泊まりに来ては賑わっていた、家の中
夜中まで語れたあの生活
海に祭りに花火大会
もうすでに夏休みが恋しかった、あの楽しかった日々を思い出す。
あれ以来、大喜や多網にも会っていない
みんなどうしてるかな?
家は近いけど学校が始まると、あまり会わなくなる生活スタイルは去年と変わらなかった。
ハァー学校めんどくさいなぁ、愚痴ばかりの冬馬君
ため息をついて、下の階に降りて行く
「急ぎなさい、ご飯出来てるから」母の正子は言った。
やはり朝は食べ物が喉を通らなかった。
口の中でパンが、パサパサして喉に詰まってしまうので、牛乳と無理に流し込んで食べていた。
清香はどうしてるかな?
毎日の様に思っている事の一つ
会いたいな
清香は、夏休みキャンプ場で知り合った 一目惚れした女の子。夏休みは本当に楽しかった。
今や、窓にぶら下げていたあの思い出のテルテル坊主は気付いたら無くなっていた。
毎日学校に行く前、支度する時間はほとんどなかった。
それは、冬馬君はギリギリまで、布団から出ずに寝ているからだ。
後五分、後三分と、いつもギリギリまでねばり布団から出なかったのだ。
「行って来ます」
毎朝、足取りは重い
学校に着くまでの外の景色を見てる頃は、まだ良かったが校舎が目に入り、階段を登る頃は憂鬱な気分だった。
三年二組の教室につき、席について座ると
クラスで1番冬馬君がよく話す、友達の山ちゃんが近くにいたので話ていた。
彼とは性格も何処か似ていて、話やすかった。
一番仲も良く、よく遊ぶ慎司は隣のクラスだったので、休み時間にたまに会うくらいだ。
先生が来て朝の会が始まる
心の中は、これから帰れるまで、何時間あるんだろうと数えていた。
家に帰って、自分のしたい事をして過ごしてる事ばかり想像している
はやく終わらないかな学校
なるべく平和な気持ちで過ごしていたい、悩みごとを増やしたくない、冬馬君は苦手な人には近寄らなかった。
授業が終わり
休み時間には、山ちゃんと話す。
授業をこなす度に、家に帰る時間が近くなってくるのは嬉しかった。
そうなると、少し気分も良くなってくる
授業中は、清香の事やら夏休みの思い出に浸っては過ごしていた。
ああ、ちょうど夏休みのこの日は祭りに行った日だ、とか、社会の時間 地図の本を開いては、旅行で行った熱海の場所を見ては懐かしんでいた
給食を食べてる時も、山ちゃんと話している、ああ山ちゃんと席が近くて本当に良かった。
山ちゃんなどには夏休みの話をしたりしたけど、他のクラスメイトとはあまり話はしなかった。
最後の授業が終わるチャイムが鳴る
心の中は、やったーやっと帰れると気持ちは高ぶっていた。
サヨナラの号令が終わると、山ちゃんと隣のクラスの慎司と一緒に帰る
この瞬間はたまらなかった。
帰り道
冬馬君は慎司に
「あの夏休みに知り合ったお兄さんのいるコンビニ外から覗いてみようよ」
「いいね」
お兄さんとは夏休みに出会った、あの告白するのを見届けたお兄さんである、まだあれから交流は続いている。
外から覗くとお兄さんはレジをやっている、冬馬君達に気付き 手を振ってくれた。
時々こうしてはお兄さんにも会いに来ているのだ。
それぞれみんな家に帰り、冬馬君もうちに着いた。
「ただいまー」
行く時と、気分は正反対
やったー嬉しいな 学校終わった
さっそく、お菓子を出し漫画を読みながら寝転ぶ
あーこの瞬間がたまらない、まるで生き返った様な感じがした
この自分の自由な時間、最高である
はぁー家は落ちつくなぁ。
この瞬間と空間が好きな冬馬君。
漫画を読み終え、カレンダーを見ては冬休みまでどれくらいか数えたりしていた。
冬馬君には楽しみもある、それは冬休み
クリスマスに元旦
これは冬馬君にとって楽しみのイベントの一つであった。
今からワクワクするなぁ
その日は、ゴム人形などで1人で遊んでいた。
活発な子は外で、みんなで運動でもしてるんだろうな?などと頭をよぎる
まあ、いいや人は人だと、人形で一人遊び続けていた
「えいやー、とおーっ」夕方過ぎに
父の隆が帰って来る
「ただいま」
みんなでリビングに夕食を運び食べ始めた。
隆は冷蔵庫からビールを取り出し、美味しそうにさっそく飲みはじめ「あーっ仕事終わりのビールは美味しいな」
「何だか夏休みは毎日 大喜や多網がいて賑やかな夕食だったなぁ」と隆が言った。
「学校始まると、忙しいのかあまり来なくなるわね」
夕食を済ました後も暫くテレビを観ていた。
冬馬君は、ハッとテレビに釘付けになる、そうそれは、あの清香に似てる子が出ているコマーシャルが映ったからである。
あのコマーシャルはまだ流れていた。
今だにこれを見る度に胸はドキドキし嬉しくなっている、いつまでも流れていて欲しいコマーシャルだった。
冬馬君のテンションはコマーシャルのおかげで上がっていた、ああまた清香に会いたいな。
「そろそろ、お風呂に入って もう寝る準備しなさい」
「はあい」
この時間になると明日の学校を意識し始める。
お風呂につかって リラックスして二階にあがった。
あー学校は長く感じるのに、家に帰ってからはあっという間だなぁとつぶやき嘆く。
明日の準備をして布団に入る、寝る前の時間は好きだった。
起きる瞬間は本当に嫌だったけど、大喜や多網は学校楽しんでるのかなあ? 清香は今頃どうしてるんだろう?
みんなに会いたいな
あの夏の後、冬馬君の日常は今こんな感じで過ごしていた。
つづく




