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No.430.冬の始まりの終わり
中途半端に曇りだしてる窓ガラス
無節操に 流れてるミュージック
出会いの時の大切な音も もう 届かない
きらびやかな街角 すれ違いの影も見えないまま
移り行く人込み 眺めながら センチな声にひたる
隈だけがやけに目立ちはじめる
暗がりの中 ポツンと一人 座り込んで 掌睨んでる
何が駄目ってわけでもない 何が気に食わないのかもわからない
やけにいらいらしてしまって 意識してないのに言葉で傷つける
もどかしさに打ち震えて うらめしさに焼け焦がれて
誰かが誰かを見つめて 誰かに恋して 誰かを愛して 誰かが裏切って
二十六年目の冬は はがれ落ちてゆく
ありのままの姿 さらしてみても 全てが夢の出来事
陰が 吸い込まれてゆく 白い粉におおわれたハイウェイ
無垢な少女の一途さを弄んで 落ちてゆく
皺だらけの罪と罰に彩られたレインデイ
強く 優しく抱いた あの頃は 過ぎ去り
今は一人 何かに向かって歩くしかない そう それだけ




