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No.416.face no face
目覚めた朝 肌寒い 息の白い部屋
かすかに曇っている 黒いタンスの鏡
ただ一人 ぬくもりのかけらもない
タバコのグレーな煙がさみしそうに漂い消え行く
濡れたタオルには もう 誰の香りもない
face no face 誰の顔も響かない
face no face 微笑すらも浮かばない
case of case
眠らない夜 どす黒い 雲だけが見える
仄かに光る 遠い街のネオンサイン
すれ違う 影も足音もわからない
ワインのディープな波紋がむなしそうに広がり移り行く
乾いた空気には 既に君はいない
face no face 涙の意味に気付かない
face no face 悲しみすらもうまれえない
face no face 誰の顔も響かない
face no face 微笑みすらも浮かばない
case of case うわべだけの絆ばかり




