表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ふりーだむ

作者: 北本てつ

朝方目が覚めて時計を見ると4:23。あと2時間は眠れるな、よしよしと思って目を閉じたとき唐突に人生のピークはとっくに過ぎたのだと悟った。


世の中の8割は"仕方ない"でできている。

そんな風にジョークを飛ばして乾いた笑いをビールで潤すような人生、これが人生の苦味か?

私も大人になったのだ。


ビルを爆破しようと思った。これはテロではない。ただ、そう思ったのだ。


私の人生の絶頂期をビルの高さにしたらどれくらいになるだろうか?明確な基準はないので個人の主観での判断になるが重要なことなので考えてみた。


二階建てのアパートよりは高い気がする。新宿では小さくて目立たないくらいの高さか?


まあ、5階建てビルぐらいにしておこうかな。


時刻は6:00前である。今日は人生を見に行こう!


大量のダイナマイトを車に積んで手ごろなビルを探しに出発してからもう5,6時間たつ。お昼になった世間には平和な時間が流れている。


まいった、全然みつからねえ。


もう5階建てとかじゃなくてもいいや。次の曲がり角を右折して最初に目に付いたビルが私の人生のピークね。と自分ルールを決めて曲がった先にあったのはビルというかマンションだった。でもまあいいや。


私はマンションの地下駐車場へ行って車を止めた。トランクからダイナマイトを運び出して石柱に設置し始めたところに警備員のおじさんがやってきて何をしているのか聞いてきた。


警備員のおじさんもダイナマイトと一緒に設置することにした。


すべてのダイナマイトを設置し終えたらもう15:00になっていた。私は屋上へと急いだ。別に急がなくても良いのだけど、私は西日が嫌いだたそがれ時が嫌いだ。


屋上からの景色は上々でピークの時はきっとこれくらい上々な人生だったのだな~と思うと悲しいような誇らしいような。ダイナマイトのスウィッチを握り締めてため息を一つついた。


暫くぼんやりしていると下のほうが騒がしい。見下ろすとさっきの警備員のおじさんが警察の人に保護されていた。ダイナマイトはどうなっただろうか?不安になった私は直ちにスウィッチを押すことにした。


ポチッと


物凄い爆音とともにビルが崩れだした。良かった間に合った!


見えていた景色がだんだん上昇していく。いや、ビルが沈んでいくのだ。この感覚知っているぞ。これだよ、これ!


ああ、我が愛すべき人生よ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ