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プロローグ
今日も俺は夢を見る。
夢は抽象的で曖昧なものような気がする。
でも、俺の見る夢はソレとは違い、ひどく現実的だった。
広がる荒野。
瓦礫と化した、建物。
原型すら留めぬ人々。
蠢く黒い影。
闇に食い尽くされた空。
そして、その全てを嘲う魔女。
俺の見る夢は、世界滅亡の夢だった。
ここが日本なのか、外国なのか、はたまた地球でさえない別の星なのか。
それは分からない。
でも、ソレを見るたびに俺は酷く悲しくて、悔しくなる。
「タす、け……て」
目の前で、焼け爛れた顔をした少女が言った。それっきり、その少女が声を発する事はなかった。
神様。
もしもこの滅びた世界にいるのなら、俺の声が聞こえるのなら。
どうか、どうか、
俺にこの世界を救う力をください。
たとえ、これが夢なのだとしても
そう願わずにはいられなかった――。