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序章:汚い部屋の中心で何かを叫ぶ

 『ネコマタとマイちゃん』と同時進行で創った二つ目の連載作品です。自分は特撮物が大好きなので、カッコイイヒーローを創れたらいいな~なんて考えてたりします。文章がかなり汚いと思いますがどうぞ、よろしくお願いします。

 あと、こっちの更新は少し遅いと思いますので、スイマセン。

 ふと、窓越しに外を見る。


 八時を過ぎて暗くなったそこには、カップルや家族が手を繋ぎ、仲良く歩いていた。

 その顔はとても幸せに満ち溢れていて、アパートの二階から見下ろす僕なんて関係なく笑っていた。


 まるで、僕がこの世に居ても居なくても、関係ないように笑っていた。


「………………はあ」

 バイトを転々とする冴えない大学生の僕に、もちろん彼女が出来る訳も無い。家族とも不仲で、一人暮らしを始めてから一度も連絡をとってない。

 きっと僕は…いや、間違いなく僕はダメ人間だ。分かっていてもどうにもならないけど…。

「……バイト、どうしようかな」

 ボソッ、と。汚い部屋の真ん中で独り言を呟く。

 今日、僕はバイトを二週間でクビにされた。理由は、コンビニでレジ打ちをしていたが、何時まで経っても仕事が遅い、覚えが悪い、ただそれだけ。

「…そんだけでクビとか……ありえないよ」

 ねっころがり、誰に言うでもなくぼやいた。…最近は独り言が多くてダメだな。

 …とりあえず、電気を点けよう。あと、カップ麺醤油味を食べて、大学のレポートをまとめて、そうだ!今日は見たい深夜アニメがあった!後は……寝るか。

「……楽しくない」

 こんな変化の無い日々が続けばそりゃあ飽きるよな…。昔はもっと楽しげなキャンパスライフを夢見たはずだったのに。

 小学生の頃は未来なんて、僕の想像にも及ばない未知の世界だったのに、知ってしまえばなんてこともなかった。それは、欲しかった物をやっと手に入れて、でも箱を開ければ期待ハズレで、時が経てば興味を無くす感覚。それに近い。

 そんなちょっとブルーな気分の時、僕は不意に何かを思い出した。

「……何かに…なりたかったはず…」

 大学の経済学部に居る僕だが、昔…そう、幼稚園児だった時、僕はあれになりたかった。


 誰にも負けない、無敵のヒーロー。


 テレビやビデオの中で、悪の組織が差し向けた怪人共を崖の上に颯爽と現れ、変身の掛け声と共に姿を変える戦士がやっつける。そんな正義の味方に昔の僕は憧れた。何時か僕も変身出来るようになると信じてた。

 でも、いくら待っても変身出来るようにはならなかった。いつの間にかそんな夢さえ忘れてしまった…。

「…………ふぅ」

 思考を停止し、バネが軋むベッドに身を委ねる。わずかに体が弾み、そしてゆっくり沈み始める。周りは静かですぐに寝れそうだ。あ、寝たらアニメ見れないや。テレビ点けとこ。

「…あ~ぁあ、何か起きないかなー」

 と、この後何かが起きるフラグが立つように言ったりした。もちろん返事はない。

「……ホントに…楽しくないよ…」

 独り言を連発する僕。誰かが同情してくれるはずないのに…。いや、同情してもらいたいのかな?

 まあいいや。どうせこの日常が変わる訳じゃないし…。あ、これもフラグっぽいな。

「……あれ?こんなドラマやってたっけ?」

 ベッドで寝転びながらテレビを見ると、そこには可愛らしい少女の胸から上までがアップで映っていた。

 金髪のワンレンでかなり現実離れした服を着ている。アニメから抜け出したような姿に綺麗な顔だった。見た感じ歳は十五、六才かな?

 …知らない女優だ。てか子役?

「………動かないな」

 テレビの少女は一時停止しているように動かず、ジーッとしかめっ面で前を見ているだけだった。

 …なんか、僕を見つめてるようで恥ずかしいんだけど…。

「ちょっと!そこの貴方!」

「お、喋った」

 やっと話が進むのかな?

「喋るに決まってるでしょが!いいから、もうちっとこっち来い」

 共演者は誰だろ?ブーム的に嵐の誰かかな?さっきから金髪の女の子のアップしか映らないけど。

「貴方の事よ!とっととこっちに来なさいったら!!」

「……あ、ラーメン作らなきゃ」

「無~視~す~ん~な~!!早く来なさいよ、風螺 玄紅〔フウラ ゲンク〕!!」

 ……ん?俺の名前?

「…あぁ!同姓同名…!」

「こんな名前貴方しかいないでしょが!」

 ……んん??返事した?

「…いや、いやいやいや、これで反応したらやっぱりテレビでしたと言うオチに決まってる。僕はそんな恥ずかしい事はしないぞ」

「とっとと来なさい!冴えない彼女いない歴=年齢で童貞大学生の風螺 玄紅ウウゥッ!!」


 え?


「ぇえ?」

 ベッドから起き上がり、テレビに近づく。

「そうそう、最初からそうしなさい!まったく…」

「…………………」

「で、いきなりだけど落ち着いて聞い…あの、もしもし?」

「……信じられない」

「はい?」

「僕の日常に変化が来た」

 夢じゃないよな?夢じゃないんだよな?凄い、フラグを立てといてよかった!

「ん~、まあいいわ!じゃあ用件だけど…」

「う、うん!」

 ガシッ!とテレビにしがみつくように顔を近づける。

「ちょ、近。つ、つまり……ザッ…がね、」

 と、何故か突然ノイズが聞こえた。

「悪い…ザッザッ…で、怪…ザザッ……変しザッ…てもらっ…ザッ……ザザッ…ザッ…様代行…ザッ」

「な、何!?聞こえないぞ!?」

 まずい、まったく聞き取れない。これじゃあ僕はこの日常から抜け出せない!

「…ザッ…よ、電波が悪…ザザッ…仕方ないからザッ…また今度にするわ!」

「こ、今度?」

「そっ、今度よ!…ザッとりあえず、今日の所は…」

 そして、少女は僕に向かって微笑んだ。その笑顔に、僕は何故か泣きそうになった。


「全部、夢って事にしなさい!」


 そして、僕の見る世界が逆転し、目の前が真っ暗になった。




───────────-




「あれ?」

 気が付くと、僕はベッドの上で俯せに寝ていた。窓から光りが入ってくるって事は、今は朝なのか?てか…

「…女の子は?フラグは?え?」

 まさか、全部夢か!?

「う、うわああぁああぁ!!」

 ヤバい!恥ずかし過ぎる!あんな中二病みたいな夢を見るなんて!

「あああ!恥ずかしい!もうやだ!」

 仕方ない、全部忘れよう。無かった事にしよう。とりあえず大学に…。

「…あ、レポート」

 まとめてない…。

「…………楽しくないぞ」


 とにかく、これが僕の日常。そして、これからが僕の非日常。少女が言っていた「また今度」と言う言葉の意味を理解するのは、それほど遅くなかった。


 謎の少女がまたも現れ混乱する玄紅。説明もなく連れて行かれたのは名も知れぬ街。月夜が照らすビルの屋上で、玄紅は叫ぶ!!

「家に帰りたあああいッ!!」

「違うでしょ!変身よ変身!」


 次回もお楽しみ下さい!


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