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振り向かせたい助手ちゃんと靡かない書生さん

作者: 二枝秋

元々、漫画にしようとしていたのを小説に無理矢理したので読みづらい所や拙い所が多々あるかと思います。

ご了承下さい。

※堂上の一人称を誤字していたので、訂正しました。

ドタドタと慌てて走る音が聞こえる。

「先生!」

そう言ったのは、助手の須郷朱音だ。

「どうしたんだい?」

書生である、堂上勇人が言う。

「どうしたじゃないですよ!全然、進んでないじゃないですか!」

「書きたい内容が、思い浮かばなくてね…」

「またですか…」

堂上は、いつも書く内容が浮かばず助手を困らせている。

「…」

じっと、朱音の方を見る。

「なんですか?」

「君は、僕の助手だよね?」

そう朱音に問い掛ける。

「そうですけど…」

「何かいい案をくれないかな」

「ええ…」

堂上は、たまに無茶振りをして朱音を困らせることがあるが至って本人は真剣である。

「恋愛小説…とか」

「どんな?」

「ええっと、男女が遠距離恋愛する話とか…」

「君に聞いた僕が馬鹿だったようだ…」

「なら、聞かないで下さいよ…」

この一連のやり取りがいつも起こっている。

この書生の助手をするということは、そういうやり取りにも耐えられる精神力も必要ということだ。

「恋愛小説か…」

「結局、それにするんですか?」

「君の内容はアレとして、恋愛小説を書こうかな。」

「アレって…」

「そこでだ。君に協力をして貰いたい。」

堂上は、朱音に協力を仰いだ。

「協力ですか?」

「ああ。僕には恋愛経験がないから君に協力をしてもらいたくてね。」

「えっ」

「僕を振り向かせたいのだろう?いい機会じゃないか。」

「そ、そんなわけないじゃないですか!」

「どうだか。」

「〜!!」

「それで、返事は?」

「協力します!!」

「最初から、そう言えばいいものを。」

「先生の、バカ!!」

その、朱音のセリフを聞いた堂上はこう答える。

「バカで結構。」

「先生は、少しデリカシーというものを覚えた方がいいですよ!」

「…誰のせいだと」

とボソッと呟いた。

「先生、何か言いました?」

「いや、何も」

疑問に思いながら朱音は堂上の方を見る。

「ほら早く!手を動かして下さい!」

「その前に、やることがあるだろう。」

「なんですか?」

「さっきも言ったが、僕には恋愛経験というものがない。だから…」

「だから、なんですか?」

不思議そうな目で、朱音は堂上を見る。

「いや、自分で何とかする。」

「ええ!?気になるじゃないですか!」

「協力してくれと言ったのは先生ですよ?」

と朱音は物凄い勢いで堂上に言う。

「確かに、そうだが…」

「じゃあ、手を…繋いで欲しい…」

とお願いをした。

「はい!!」

「参考のために、聞きたいんだが…」

「手を繋ぎながら聞くなんて…先生、強いですね…」

「うるさい」

「で、何を聞きたいんですか?」

「君は、僕のどこが好きなんだ?」

「全部です!」

と満面の笑みで答える。

「…そうか」

(先生、一瞬だけ嬉しそう顔をしたような…気のせい…だよね)

「なんだ?人の顔をジロジロと見て…」

「な、なんでもないです!」

「次のステップだ。」

「デートをするぞ。」

と嬉しい気持ちを抑えつつ、朱音に言う。

「分かりました!!」


「今日は、先生とデート〜♪」

「たかが、デートごときで何をそんなに浮かれている。」

「先生…」

憐れむような目で堂上を見る朱音。

「なんだ。」

「…たかがって言わないで下さい!」

「好きな人とデートするのは女の子にとって、めちゃくちゃ嬉しいことなんですから!」

と、朱音はめちゃくちゃ怒った。

「…すまない。」

「分かればいいんです!」

「デートだから、手を…繋ごうか。」

「へ、あっ、はい!」

「少しだけ、恋愛というものが分かってきた気がする。」

朱音と体験していく中で、色々と大切なことが分かった堂上。

「本当ですか!?」

「ああ、君のおかげだ。礼を言おう。」

「先生が、素直にお礼を言うなんて…明日は雪が降るかもしれないですね!」

「どういう意味だ。」

「珍しいって意味です!」

と、蘭々に目を輝かせながら朱音は言う。

「後で、覚えておくといい。」

「す、すみません…」

「分かればいい。」

「そろそろ、帰りましょうか!」

「そうだな。」


「先生!おはようございます!!」

「…おはよう」

「ダメじゃないですか!こんな所で寝ちゃ!」「風邪引きますよ!!」

「今日は、早いんだな。」

「当然です!」「早く、恋愛小説を完成させてもらいたいので!!」

「とはいえ、こんなに早くなくてもいいだろうに。」

「とか言いながら、タバコを吸うのやめて下さい!」

「はいはい」

実は、ベビースモーカーである堂上は嫌々タバコの煙を消した。

因みに、紙タバコ派である。

「先生、タバコやめたらどうです?体に悪いですよ?」

「君が、そこまで言うならやめようか。」

「別に、無理強いをしたいわけじゃ…」

「もともと、止めるつもりだったからな。」

「なら、いいですけど…」

「須郷くん」

「ふぇ?」

と突然名前を呼ばれて気の抜けた返事をした朱音。

「今、名前…!!」

「僕の体の心配をしてくれたことに礼を言う。」

「タバコが、体に悪いのは…事実ですから…」

「須郷くんは、大丈夫なのか?」

と朱音の体を気にかける堂上。

「私…ですか?」

「僕がタバコを吸っている間、換気はしていたとは言え煙を吸い込んでいたかもしれないと思ってな。」

「私は、大丈夫ですよ!ご心配ありがとうございます!」

「なら、いいんだが。」

「私の体の心配をしてくれたの、嬉しかったです!堂上先生は、優しいんですね!」

「素直に、心配になっただけだ。」

「堂上先生」

「なんだ?」

「以前、どこが好きかって聞いたの覚えてますか?」

と、デート体験の時に堂上が聞いたことを再び問い出す朱音。

「言ったな。」

「私、堂上先生のそういう優しいところも好きです。それに、努力をするところも好きです。」「後は、怒った顔も好きです。それと…」

「いい加減黙らないと、キスするぞ。」

「〜〜」

「顔が真っ赤だな。」

「堂上先生が、そんな恥ずかしいこと言うからです!!」

「これくらいで照れているようじゃ、まだ子供だな。」

「…1つ聞いてもいいですか?」

「聞こうか。」

「堂上先生は、どうして私に協力をお願いしたんですか?」

ずっと気になっていたことを、聞いた朱音。

「どうして、そんなことを聞くんだい?」

「だって…」

「堂上先生は、私のことは何とも思ってないじゃないですか。今まで好意を向けられた覚えもないですし…」

「…」

腕を組んで朱音をじっと見つめる。

「僕は…須郷くんのこと、好きだよ。」

「人としてって意味ですよね?」

「いや?ライクではなくて、ラブの意味なんだが…」

「えっ…」

本人から聞くことが無いであろうセリフを聞いて驚く朱音。

「僕に好かれるのは嫌だったかな?」


「そ、そんなことないです!」

「堂上先生が、私のことをそんな風に思ってるとは思っていなかったので…」

「ずっと前から、そう思っていたよ僕は」

「えっと、いつから…ですか?」

堂上は、続ける。

「須郷くんが、デリカシーとか何とか言っていたくらいからかな」

「そ、そんな前から…」

「それで、僕と付き合うの?付き合わないの?」

「付き…あいます…」

「じゃあ、明日からよろしく」

「でも、小説はどうするんですか!」

「この実体験を小説にしようかな」

「いいですね!それ!」

「早速、恋人らしいことをしようか。」

「恋人らしいこと…何をするんですか?」

「キス…しようか」

「えっ!?」

「堂上先生、待っ」

朱音が話している途中で、キスをした。

「これは、恋人同士の特権だからね」

「そ、そうですね…」

堂上は少し嬉しそうに笑い、朱音を優しく抱きしめたのであった。

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