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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第4部 新婚旅行編

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恋と迎える、初めての朝

朝の光が、障子の隙間から射し込んでいる。

 まだ少しひんやりした空気の中で、私は静かに目を覚ました。


 隣には——恋がいた。

 穏やかな寝息。髪の乱れた横顔。

 まるで夢みたいで、でもちゃんと“現実”だった。


 昨日、私は言った。

 恋のことが好きだと。

 女の子になった私として、ちゃんと恋をしたと。


 そして——恋はそれを受け止めて、抱きしめてくれた。


 (……なんでこんなに、胸がふわふわしてるんだろう)


 寝返りを打った恋が、ふと目を開けた。


 「……おはよう、カノン」


 その声に、心臓が跳ねる。


 「お、おはよう……恋」


 目が合うだけで、昨日とはちがう。

 ふたりの間には、ちゃんと“想いを交わした証”がある。


 「昨日の夜、カノン……可愛かった」


 「……っ! あ、あの、それ、ずるい……!」


 枕を抱きしめて、私は思わず顔をうずめる。

 恋がくすっと笑って、「ごめん」と言いながらも、声はあたたかかった。


 「今日も一日、一緒にいようね。……俺の奥さん」


 「……もう……ばか……」


 だけど、その言葉が嬉しくて、

 私はもう一度、恋の隣に身体を寄せた。



***


 朝食は旅館の食事処でいただくことになっていた。


 「カノン、焼き鮭好きでしょ?」


 恋が私の皿にさりげなく切り身を取り分けてくれる。

 何気ない仕草なのに、胸がぎゅっとなる。


 「……ありがと」


 なんてことない会話。

 でも、目が合って、ふたりで笑うだけで、心が満たされていく。


 食事を終えて部屋に戻ると、私はこっそり恋の背中を見つめた。


 (……昨日までは、どこか“夢の中”みたいだったのに)

 (今日からは、“恋人”として、夫婦として、ちゃんと隣に立ちたいって思える)


 「着替えたら、出かけようか。散策コース、昨日調べておいたよ」


 恋が振り返り、スマホの画面を見せてくれる。

 近くには川沿いの遊歩道や、小さな神社、甘味処があるらしい。


 「……うん、行きたい。一緒に歩きたい」


 浴衣姿で並んで歩くなんて、

 想像するだけでちょっと照れくさいけれど。


 そのあと、準備を終えた私たちは、

 旅館の入り口で並んで靴を履いた。


 「……カノン、手、つないでもいい?」


 「うん……。私から、つなぎたかった……」


 自然に指が絡む。

 そのぬくもりが、昨日とはちがう形で伝わってくる。


 外の空気は少しだけひんやりしていて、

 でも私の心は、恋とつながって、あたたかかった。


 こうして少しずつ、私は“星宮カノン”としての人生を歩いていく。

 恋と一緒に、この道を。

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