表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第3部 新婚生活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/70

ふたりの入籍日

「じゃあ……書くよ?」


日曜の朝、リビングのテーブルに並んだのは、

コンビニで受け取ってきた一枚の婚姻届。


カノンと恋は並んで椅子に座り、少しだけ緊張した空気の中、ボールペンを手に取った。


「こういうのって、もっと式とか挟むもんだと思ってた」


「私たちにとっては、毎日が“式”みたいなもんだったから」

恋の言葉に、カノンはくすっと笑う。


「……じゃあ、まず私から」


ペン先が紙に触れる音がやけに響く。

カノン・星宮。

恋・山岡。

書き込まれていく名前に、ふたりの未来が少しずつ重なっていく感覚。


「──書いた。次、恋ね」


恋も一つひとつ丁寧に書き入れていき、ふたりの名前が正式に並んだ瞬間、少しだけ沈黙が落ちた。


「……これで本当に、“夫婦”になるんだね」


「うん……私、実感してきた。怖くない」


カノンの声は少し震えていたけれど、目は真っすぐ前を見ていた。



***


その午後、ふたりは役所へと向かった。


婚姻届の受付窓口は思っていたより静かで、拍子抜けするほどあっさりと手続きは進んだ。


「これで完了です。おめでとうございます」


担当職員の女性が笑顔で言った瞬間、恋がぽつりと呟いた。


「結婚、しちゃった……ね」


「うん。……しちゃったね」


ふたりは手をぎゅっと握り合った。

誰にも見せる必要はない。これは、ふたりの物語の“はじまり”なのだから。



***


帰り道、商店街の花屋の前を通りがかると、カノンが立ち止まる。


「結婚祝い……お花でも買って帰ろうか」


「いいね。……でも、誰から誰への?」


「私から、恋へ」

カノンはそう言って、真っ白なかすみ草の花束を手に取った。


「これ、花言葉知ってる?」


「え?」


「“永遠の愛”。──私たちに、ぴったりでしょ」


恋はふっと息をのんで、それから笑った。


「じゃあ私からは……この手。ずっと、離さないって意味で」


ふたりは手をつないで、歩き出す。


新しい夫婦として、最初の一歩を。



***


エピローグ


その夜、婚姻届の控えが冷蔵庫にマグネットで留められていた。

ふたりで買った記念マグカップが並び、カレンダーにはハートマークのついた今日の日付。


「……おかしいね。名前、変わっただけなのに、全部が特別に見える」


「ううん、違うよ。名前じゃなくて、“関係”が変わったんだよ」


「そうかもね。じゃあ今夜は、旦那さんと一緒に寝ても?」


「その言い方はちょっと……照れる」


「じゃあ奥さん?」


「……もっと照れる」


ふたりの笑い声が、静かな夜に溶けていく。


こうして、恋とカノンは“家族”になった。


まだまだ未熟で、未完成だけど──

きっと、幸せになれると信じている。


ふたりで選んだ未来なら。



***


『同棲編』完結!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ