ふたりの新生活スタート
引っ越しの朝、カーテン越しに柔らかな光が差し込んでいた。
「……ここが、私たちの新しい家なんだ」
カノンはまだ実感が湧かず、少し緊張した面持ちで窓の外を見つめる。
隣で手伝いながら笑う恋が、荷物の箱を抱えて振り返った。
「緊張してる?」
「うん。なんだか不思議な気分で……」
「大丈夫だよ。ふたりならきっと楽しい生活になる」
新居の中はまだ段ボールだらけで、どこに何があるのか分からない。
「まずは荷物を片付けよう」
恋がそう言って、ふたりで箱を開け始めた。
カノンは慣れない手つきで洋服をハンガーにかけ、恋は家具の組み立てを担当する。
時折、笑い声が響き、ぎこちなさも徐々に溶けていった。
「ねえ、カノン」
「なあに?」
「ここで一緒に暮らすって、どう思う?」
カノンは少し考えた後、静かに答えた。
「怖い部分もあるけど……恋となら、どんなことも乗り越えられる気がする」
恋は優しく微笑んで手を握った。
「じゃあ、これから毎日を一緒に積み重ねていこう」
そうして、ふたりの新しい暮らしが始まった。
***
荷物を片付けていると、ふと恋が棚の隅に置かれた古い写真立てを見つけた。
中には、カノンと恋が並んで笑っている高校時代の写真が収まっている。
「これ、覚えてる?」
恋が写真を手に取り、懐かしそうに微笑む。
「うん……あの頃はただの友達だったのにね」
カノンも笑いながら答えた。
「今は婚約者、そして同棲中のパートナーだよ」
恋は少し照れくさそうに言う。
「そうだね……なんだか信じられない」
ふたりの距離は少しずつ縮まり、居心地の良さが増していく。
やがて、外は夕暮れ時。
カノンがキッチンで料理を始めると、恋がテーブルをセットしながら声をかけた。
「料理、手伝おうか?」
「ありがとう。でも今日は簡単なもので大丈夫」
「そう?じゃあ、飲み物を用意するね」
慣れない手つきで作った夕食は完璧ではなかったけれど、ふたりの笑顔は満点だった。
「これからも、ずっと一緒だよね」
カノンが言うと、恋は真剣な表情で頷いた。
「もちろん。カノンとなら、どんな未来も怖くない」
その言葉に、カノンは胸の奥が熱くなるのを感じた。




