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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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カナの告白

「かな!天!何してるの?」


私と天が静かに話していると、美羽の明るい声が私たちの間に割って入った。


「ごめん!今行くね」


私は慌てて笑顔を作りながら答える。少しだけ天に目線を送ると、彼女は小さく頷いてくれた。


――あとで、ちゃんと話すから。


その無言の約束を胸に、私は皆の輪に戻った。


***


その後、私たちは駅前のカラオケに立ち寄り、熱唱と爆笑のひとときを過ごした。気付けばスイーツショップにも寄り道して、クレープやアイスを分け合って笑い合った。


楽しい。

けれど、時間が進むにつれて、胸の中に小さな棘のような焦りが芽生える。


――このまま何も言わなかったら、私はまた後悔する。


「そろそろ帰ろうかな」


夕焼け色に染まった空の下、美羽がそう呟いた時、私は咄嗟に口を開いた。


「待って!」


みんなの視線が一斉に私に集まる。


「どうしたの?そんな大きい声出して」


みうが不思議そうに首を傾げる。私は深く息を吸ってから、意を決して言った。


「今日、こうして集まってもらったのは……話があるからなんだ」


「……話?」


「そういえば、電話でも言ってたよね。大事な話があるって」


天と目を合わせる。彼女は、頷いていた。


「実は――」


声が震える。だけど逃げることは、もうしない。


「私……本当は、元は男なんだ」


一瞬、空気が止まったように感じた。誰も何も言わない。風の音だけが静かに耳を撫でた。


私は全部を話した。

どうして女の子の体になったのか。

日々感じる違和感と、周りを騙しているような罪悪感。

そして、今日まで隠してきたことへの後悔。


「顔も体も女だけど……心のどこかに、やっぱり“男だった意識”が残ってるんだ」


喉が渇いた。息が詰まりそうだ。


「……そっか」


みうが、ぽつりと呟いた。私はうつむいて、拳を握った。


――これで、終わりかもしれない。


「話してくれてありがとう」


え?


「……え?」


思わず顔を上げると、美羽も天も、恋も、穏やかな顔で私を見つめていた。


「怒って……ないの?」


「怒る理由、ある?」


「だって……皆のこと騙してたし、隠してたし……」


「事情があるって、何となく感じてたよ。けどさ、男であれ女であれ――カナはカナでしょ?」


天が言った。まるで当然のことのように、あっけらかんと。


「私たちが仲良くなったのは、カナが“カナ”だったからでしょ?体がどうとか、性別がどうとか、そんなの二の次だよ」


「……ありがとう」


涙が出るかと思った。でも、今は泣かない。だって、ようやく自分を認めてもらえた気がして――心の奥が、あったかくなった。


気が付けば、街は夕焼けに染まっていた。


私の影が、友達の影と一緒に、夕日に照らされて伸びていた。


――ああ、よかった。本当に、話せてよかった。


「ありがとう、みんな」


もう一度、心からそう伝えた。


そして私は、私として――“カナ”として生きていく。


これからも、ずっと。

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