姉妹ふたり旅 ~関西旅行・最終日~
「姉さん! 飛行機って何時の便で帰るの?」
二日目の夜を京都のホテルで過ごした翌朝。私は、ブュッフェに向かう支度をしながら姉に尋ねた。
「13時に新大阪空港を出発する便よ」
「えっ、じゃあ……なんで京都のホテルに泊まったの? そのまま大阪のホテルにすれば良かったんじゃない?」
素朴な疑問だった。飛行機が大阪から出るなら、当然、大阪のホテルに泊まる方が都合がいいはず。
けれど、姉は少し笑って首を横に振った。
「それも考えたんだけど、せっかく関西まで来たんだし、奈良にも寄っておきたくて」
「奈良かぁ!」
「それに、お土産も買わないとでしょ?」
「……あ、忘れてた!」
私はハッとして、手を止める。たしかにお土産のことなんて、すっかり頭から抜け落ちていた。
「その様子だと、完全に忘れてたみたいね」
「うん……ありがとう、姉さん。気付かせてくれて」
そうして、朝食のビュッフェを済ませた私たちは、早速奈良へと向かった。
道中、京都の名物でもある八つ橋を2箱、お土産として購入。奈良では鹿せんべいを友人へのウケ狙いで買うつもりだった。
「渡したい人がたくさんいるから大変だよ」
「カナは友達多いから、大変よねぇ」
姉が少しからかうように笑いながら言う。
「楽しいことや思い出を共有したいだけだよ」
奈良では、観光こそ短時間だったが、のんびりとした時間を過ごすことができた。鹿と遊んだり、お土産を選んだり――まるで夢のようなひとときだった。
「奈良、楽しかった?」
「うん! でもそんなにいれなかったから、また来たいかな」
「そうね。今度はUSJにも行ってみたいわよね」
「USJかぁ……絶対楽しいだろうな!」
話は尽きないが、時間は無情に過ぎていく。
「今は……11時ね。そろそろ大阪に戻るよ」
「えー、まだ早くない?」
「大阪でお好み焼き食べるのよ!」
「えっ……! お好み焼き!? やったー!」
こうして私たちは奈良を後にし、大阪へと移動した。
昼食は、姉が事前に調べておいた評判の良いお好み焼き屋さん。しかも、自分たちで焼くスタイルだった。
「やっぱり手作りだと美味しいわね」
「うん、すっごく美味しい!」
粉の香ばしい匂い、ジュウジュウと鉄板で焼かれる音、それをヘラで器用にひっくり返す姉の姿。全部が、旅の締めくくりにふさわしい瞬間だった。
食後には、少しだけ時間が余ったので、駅近くのたこ焼き屋でまたひと口。
「……たこ焼きもやっぱり外せないね」
「もう、お腹パンパンよ!」
笑い合いながら、私たちは再び荷物を抱えて空港へと向かった。
「お土産もたくさん買ったし、そろそろ空港行くよ!」
「うん……。ほんと、楽しいことってあっという間だよね」
「また来ましょう」
新大阪空港に着いた私たちは搭乗ゲートを通り、しばらくしてから飛行機に乗り込んだ。
窓の外には青い空が広がり、ふたりで見た風景がまぶたの奥に焼き付いている。
「姉さん、楽しかったね……」
「そうね、カナーー」
姉の声が、どこか遠くに聞こえる。
私は眠くて、そのあとの言葉がぼんやりとしか聞き取れなかった。
「――さようなら」
私の意識が、静かに沈んでいった。
こうして、私たちの2泊3日の関西旅行は幕を下ろした。
でもこれは、終わりじゃない。
またいつか、姉と一緒に旅に出よう。
次はきっと、もっと遠くへ。




