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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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姉妹ふたり旅 ~関西旅行・最終日~

「姉さん! 飛行機って何時の便で帰るの?」


 二日目の夜を京都のホテルで過ごした翌朝。私は、ブュッフェに向かう支度をしながら姉に尋ねた。


「13時に新大阪空港を出発する便よ」


「えっ、じゃあ……なんで京都のホテルに泊まったの? そのまま大阪のホテルにすれば良かったんじゃない?」


 素朴な疑問だった。飛行機が大阪から出るなら、当然、大阪のホテルに泊まる方が都合がいいはず。


 けれど、姉は少し笑って首を横に振った。


「それも考えたんだけど、せっかく関西まで来たんだし、奈良にも寄っておきたくて」


「奈良かぁ!」


「それに、お土産も買わないとでしょ?」


「……あ、忘れてた!」


 私はハッとして、手を止める。たしかにお土産のことなんて、すっかり頭から抜け落ちていた。


「その様子だと、完全に忘れてたみたいね」


「うん……ありがとう、姉さん。気付かせてくれて」


 そうして、朝食のビュッフェを済ませた私たちは、早速奈良へと向かった。


 道中、京都の名物でもある八つ橋を2箱、お土産として購入。奈良では鹿せんべいを友人へのウケ狙いで買うつもりだった。


「渡したい人がたくさんいるから大変だよ」


「カナは友達多いから、大変よねぇ」


 姉が少しからかうように笑いながら言う。


「楽しいことや思い出を共有したいだけだよ」


 奈良では、観光こそ短時間だったが、のんびりとした時間を過ごすことができた。鹿と遊んだり、お土産を選んだり――まるで夢のようなひとときだった。


「奈良、楽しかった?」


「うん! でもそんなにいれなかったから、また来たいかな」


「そうね。今度はUSJにも行ってみたいわよね」


「USJかぁ……絶対楽しいだろうな!」


 話は尽きないが、時間は無情に過ぎていく。


「今は……11時ね。そろそろ大阪に戻るよ」


「えー、まだ早くない?」


「大阪でお好み焼き食べるのよ!」


「えっ……! お好み焼き!? やったー!」


 こうして私たちは奈良を後にし、大阪へと移動した。


 昼食は、姉が事前に調べておいた評判の良いお好み焼き屋さん。しかも、自分たちで焼くスタイルだった。


「やっぱり手作りだと美味しいわね」


「うん、すっごく美味しい!」


 粉の香ばしい匂い、ジュウジュウと鉄板で焼かれる音、それをヘラで器用にひっくり返す姉の姿。全部が、旅の締めくくりにふさわしい瞬間だった。


 食後には、少しだけ時間が余ったので、駅近くのたこ焼き屋でまたひと口。


「……たこ焼きもやっぱり外せないね」


「もう、お腹パンパンよ!」


 笑い合いながら、私たちは再び荷物を抱えて空港へと向かった。


「お土産もたくさん買ったし、そろそろ空港行くよ!」


「うん……。ほんと、楽しいことってあっという間だよね」


「また来ましょう」


 新大阪空港に着いた私たちは搭乗ゲートを通り、しばらくしてから飛行機に乗り込んだ。


 窓の外には青い空が広がり、ふたりで見た風景がまぶたの奥に焼き付いている。


「姉さん、楽しかったね……」


「そうね、カナーー」


 姉の声が、どこか遠くに聞こえる。


 私は眠くて、そのあとの言葉がぼんやりとしか聞き取れなかった。


「――さようなら」


 私の意識が、静かに沈んでいった。


 こうして、私たちの2泊3日の関西旅行は幕を下ろした。


 でもこれは、終わりじゃない。


 またいつか、姉と一緒に旅に出よう。


 次はきっと、もっと遠くへ。

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