姉と私と、はじめての空の旅
今日は、姉と二人で行く二泊三日の関西旅行の出発日。
朝の陽ざしがカーテンの隙間から差し込み、部屋の空気を明るく照らしていた。私はベッドの上でリュックに荷物を詰めている。
「そろそろ出発するよ、準備できた?」
扉の向こうから聞こえる姉の声。私は荷物をぐっと締め、勢いよくファスナーを閉じた。
「できたよ!」
「忘れ物ない?」
「姉さんこそ、忘れ物ないの?」
そう言うと、廊下から「ないない!」と軽やかな返事が返ってきた。
荷物を持って玄関を出る。車に乗り込み、エンジンがかかる音とともに、私たちの旅が静かに始まった。
「空港に行くよ!」
姉の声に、胸がふわっと弾んだ。
「やっぱり、正月は混んでるなぁ……」
ハンドルを握りながら、姉がフロントガラスの先を見つめてつぶやく。
「昨年の年末前に行った方が良かったかな?」
車の流れが鈍いのを見て、少し心配になる私。
「そんなことないよ! 旅行は行きたい時に行くものだし、目的地が一つなわけじゃないんだから」
姉は私の不安をさりげなく受け止めてくれた。
それから約20分後、車は空港の駐車場へと滑り込む。
「チケット発券して、早く乗ろ!」
どうやら、姉は渋滞を見越して少し早めに家を出てくれていたらしい。
「うん!」
空港ロビーに足を踏み入れると、非日常の空気に胸が高鳴った。旅行客のざわめき、アナウンス、キャリーケースの音、すべてが“旅に出る”という現実を感じさせてくれる。
手荷物を預けて、X線検査を終えた頃には、私はもうすっかり旅人の気分だった。
「姉さん、飛行機乗ったことある?」
「そんなにたくさんはないけど、2回くらいはね」
「どこに行ったのか、気になるな〜」
「ふふ、知りたい?」
「……そんなことないよっ」
笑い合っているうちに、アナウンスが流れた。いよいよ搭乗の時間。
「カナ、乗るよ」
「うん、わかった!」
初めての飛行機。高鳴る鼓動を抑えながら席に着く。窓の外には、青い空へと向かう滑走路が見えた。
「……やっぱり、空って広いね」
姉と少し話したかったけれど、機内では静かにしていた方がいいだろうと判断し、私は目を閉じて眠ることにした。
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約2時間後。
「カナ! 着いたよ! 起きて!」
「うーん……おはよう……」
「おはようじゃない! 早く起きなさいって!」
「ご、ごめん、姉さん……」
少し寝すぎてしまったらしい。急いで目をこすりながら身支度を整え、飛行機のドアから地上へと降りる。
客室乗務員の笑顔がまぶしい。ああ、これが本当に“旅”なんだ。
新大阪空港――今、私たちは大阪府に降り立った。
「行くわよ!」
姉が元気よく一歩を踏み出す。
「あっ、待ってー!」
私も慌ててその背中を追いかける。
二泊三日の関西旅行。
ふたりだけの、小さな冒険が、いま幕を開けた。




