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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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38/70

大晦日の、少し静かな夜に。

 年越しまで、あと六時間。


 私は、自分のスマホで今年撮った写真を眺めていた。懐かしさと、ちょっとした恥ずかしさが交差する。あっという間の一年。特に、女の子になってからは月日が流れるスピードが一段と早くなった気がする。


「懐かしいなぁ……」


 制服姿で友達と写る写真。文化祭で撮った集合写真。みうや天とふざけ合ってる自撮り。……どれも、すごく愛おしい。


「今年も、終わりか……」


 画面をスリープにして、ふうっと息を吐く。来年はきっと、もっと忙しい。姉さんとの関西旅行、引っ越し、そして——母さんとの同居。


「まさか、一緒に暮らせるなんて思わなかったな……」


 ぽつりとつぶやく。あれは突然決まったことで、未だに実感が追いついていない。でも、それでも——母さんともう一度一緒に暮らせることが、ちょっとだけ楽しみだった。


 私は布団の上でうとうとしながら、風呂に入っている姉が出てくるのを待っていた。


(早くお風呂入りたいな……早く、年越したい……)


 そして——みうや天、クラスメイトたちに会いたい。あとは、なぜか私と結婚しようとしてる人もいるけれど、それはまあ、今は置いておこう。


「カナ! お風呂入ってきな!」


 姉の声が脱衣所から響いた。どうやら順番が来たようだ。


「わかったー」


 私はのそのそと立ち上がり、部屋着を持って脱衣所へ向かった。湯気のこもった浴室に入ると、ふっと気が緩む。


(姉さんと歳を越すのは、今年で最後になるかもしれないのか……)


 自然と、そんなことを思っていた。小さい頃からずっと一緒だった。朝起きて、顔を合わせて、当たり前のように笑っていた時間。それが、変わっていく。そんな未来がすぐそこまで来ているのだ。


 湯船の中で目を閉じながら、私は静かに思い出に浸った。


 風呂上がり、私は姉とテレビを見ながら、年越しまでの時間を過ごしていた。


「お、そろそろ時間ね」


 年明けまで15分。私は気がついた。


「年越しそば、準備しないと!」


「あっ、忘れてた!」


 姉は慌てて立ち上がり、キッチンに向かう。


「三分待つのよ!」


「了解!」私はスマホを取り出して、タイマーをセットする。


 年明けまで10分。タイマーの音が鳴った。


「三分、経ったよ!」


「ありがとう!」


 二人でそばを前に並んで座る。


「美味しそう」


「でしょ? いつもと違うの買ってみたのよ」


「たまには違うやつもいいかもね」


 夜も遅いので、私たちは一杯のそばを半分こにして食べることにした。


 年明けまで、あと5分。


 私はテレビのチャンネルを変える。画面の中では、各地の神社が映し出され、除夜の鐘を待つ人々の姿が映っている。


 そして——鐘の音が、静かに響いた。


 ごーん……。


 テレビ越しに聞こえるその音は、どこか心の奥まで染み込んでくるようだった。


 さらば、2024年。


 ようこそ、2025年。


 来年、私は新しい場所で暮らし、きっと新しい自分になる。それでも——。


 私の物語は、まだまだ続いていく。

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